村上春樹はノーベル賞を取れるか?その選考方法と相性・確率は20%と予想

      2017/02/17

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今年もまた10月になって、ノーベル賞各賞が発表されつつあります。

ノーベル文学賞については、今年もまた村上春樹が取れるか?が話題になっていますね。

ちなみに今年(2016)のノーベル文学賞は日本時間10月13日(木)午後8時ごろに発表されるようです。

日本では、村上春樹の受賞を期待する人が数多くいてこれも恒例のニュースになっています。

ギリスのブックメーカー(賭け屋)では今年は春樹氏が1位だそうです。
(最新オッズでは2位)

私は、村上春樹はノーベル文学賞は取れないとずっと思っています。

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ノーベル文学賞候補、村上春樹

 

「村上春樹・ノーベル文学賞」がマスコミで騒がれ始めたのにはきっかけがあって、2006年にフランツ・カフカ賞を受賞してからです。

その前に2年続けてカフカ賞受賞者がそのままノーベル文学賞を取ったので、次は村上春樹だ、となった訳です。

2004年 エリフレーテ・イェリネク(オーストリア)

2005年 ハロルド・ピンター(イギリス)

が カフカ賞→ノーベル文学賞 を受賞したのです。

「村上春樹はノーベル文学賞は取れないと思っている」

と書きましたが、その理由は一口で言うと、作風がノーベル賞に向いていない、ふさわしくないと思っているからです。

しかしそうは言っても、では

ノーベル文学賞の選考基準は?

一体誰が選んでいるの?

という疑問が湧いてきます。

ネットで調べました。

ノーベル文学賞の選考方法など

 

■まず、毎日新聞の記事で以下のものを見つけましたので、引用します。

アカデミーは定員18人、実働16人の終身会員で構成され、全員がスウェーデン人だ。1月末まで世界中のペンクラブや元受賞者から推薦を募る。候補者は年平均350人ほど。その後、小委員会が4月までに約20人を選び、夏前に約5人に絞り込む。それから2カ月かけ、アカデミー会員は週1回の公式会合をしながら5人の全作品を読み込み、10月に投票で過半数に達した者を受賞者にする。

複数の地元ジャーナリストらによると、今年はこれまでの周期からみて、ジャンルでは詩人か短編作家、地域で見ると中東、米国、アフリカが濃厚だがアジアもあり得るという。

という訳で全員がスウェーデン人のアカデミー会員が審査していることはわかりました。

この文では、選考の基準のほうはよく分かりません。

選考基準とか、誰が候補だったかをノーベル財団が一切公表しないのです。

(*50年経ったら誰が候補だったかを公表するらしいです。それで三島由紀夫があと一歩で取るところだったことが分かったそうです) 

過去の受賞者リストを見ると、絶対強いのは「圧制に反抗する文学」です。

ノーベル財団設立の趣旨からしても、人類愛、博愛主義、反戦、体制批判、自由と民権といったキーワードが有利なようです。

 

村上作品がノーベル賞と相性がよくないと思われる理由

 

ここで、遅くなりましたが復習の意味でwikipedia の村上情報を貼ります。

 

村上 春樹
(むらかみ はるき)
Murakami Haruki (2009).jpg

エルサレム賞授賞式でスピーチを行う村上(2009年
誕生 1949年1月12日(67歳)
日本の旗日本京都府京都市
職業 小説家翻訳家
言語 日本語
国籍 日本の旗日本
教育 文学士
最終学歴 早稲田大学第一文学部映画演劇科
活動期間 1979年
ジャンル 小説翻訳随筆紀行文ノンフィクション
主題 社会システムと個人
代表作 風の歌を聴け』(1979年)
羊をめぐる冒険』(1982年)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年)
ノルウェイの森』(1987年)
ねじまき鳥クロニクル』(1994年・1995年)
アンダーグラウンド』(1997年、ノンフィクション)
海辺のカフカ』(2002年)
1Q84』(2009年・2010年)
主な受賞歴 群像新人文学賞(1979年)
野間文芸新人賞(1982年)
谷崎潤一郎賞(1985年)
読売文学賞(1996年)
桑原武夫学芸賞(1999年)
フランツ・カフカ賞(2006年)
世界幻想文学大賞(2006年)
朝日賞(2007年)
早稲田大学坪内逍遙大賞(2007年)
バークレー日本賞(2008年)
エルサレム賞(2009年)
毎日出版文化賞(2009年)
スペイン芸術文学勲章(2009年)
小林秀雄賞(2012年)
ヴェルト文学賞(2014年)
アンデルセン文学賞(2016年)
デビュー作 『風の歌を聴け』(1979年)
配偶者 村上陽子(1948年10月[1] – )
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私は春樹氏の小説は長編も短編も全て読んでいます。
■特に初期の作品(一応「ノルウェイの森」あたりまで)に特徴的なことは、非常に個人的な世界を描いていることです。
 
社会との関りを拒絶しているかのような姿勢すら感じます。
 
本人も「ディタッチメント」という言葉を使って自分の作風を語っていたと思います。
 
 ■そして、その作品は純文学とエンターテイメント小説の中間に位置している印象を持っています。(エンタメという言葉が不適切なら大衆小説的ではいかがでしょうか)
 
ノーベル賞が純文学作品に与えられるものであるなら(それは間違いないでしょう。そうでなかったらアガサ・クリスティーにとっくに与えられていたでしょう)村上作品は微妙です。今まで受賞出来ていない理由はここにあるのではないでしょうか?。
 
上のwikiの情報の「影響を受けたもの」欄ですが、チャンドラーから始まって、ドストエフスキー、漱石の名前もありますが、このようにリストアップすると何だか通俗的な印象になりますね(!?)
 
このリストの中にジョン・アーヴィングの名前を見た時、「うん?」と思いました。アーヴィングも「ガープの世界」などの映画化されるような作品を書いてますが、ノーベル賞は取っていません。何だか春樹氏にちょっと似ているような気がします。
フィリップ・ロスもカフカ賞は取っているがノーベル賞は取っていない人ですね。
 
■しかし、作風は変化します。近年の作品は社会との関りを深めてきています。(コミットメント)
 
阪神淡路大震災、オウム事件、地下鉄サリン事件、などと直接的に関わりのある題材の作品を書いています。
しかしそれらの作品、特に「1Q84」は失敗作としか思えません。
 
 
 
■エルサレムでの「壁と卵」のスピーチで「自分は卵の立場に立つ」との発言は(一部では)たたえられました。
 
またカタロニヤでの「非核」(具体的には原発反対)の立場を表明したスピーチもありました。
 
しかしながら、作家でありながら、それらの心情を作品に昇華できていない、という批判はあると思われます。
 

村上春樹の姿勢

 

村上春樹はいわゆる文壇付き合いを一切しないことで有名です。
文学賞の選考委員などもやりません。
テレビに出ることもありません。
(いま動画で見ることができるのはエルサレム賞の時のスピーチ映像くらいではないでしょうか)
 
wikipedia より

wikipedia より

ただ読者とはホームページを通じてメールでのやり取りをしています。
それをまとめた本も出ています。(新しいのは「村上さんのところ」)

その中で確かノーベル賞に触れた箇所があったことを記憶しているのですが、
春樹氏は脳減る賞」と揶揄しています。 つまり春樹氏本人が、それを取ることを全く想定外のこととしているのです。

 

とは言ってもノーベル賞が与えられる可能性はある

 

ノーベル賞の審査基準も時代とともに変化しているはずです。

もし「今世界で一番読まれている文学作品を継続的に書いている作家」という基準なら村上春樹は間違いなく一番でしょう。

何しろ世界で約50か国語に翻訳され圧倒的な支持を得ていることは間違いない事実です。

今のノーベル賞の審査グループがそこをどう評価するかです。
もっとも「既に売れすぎている」と逆の評価になることもあるのでしょうか?

ノーベル賞は世界で一番権威ある賞として認知されていますが、化学賞、物理学賞、医学賞などには異論はありませんが、平和賞という不思議な賞の例もあります。(佐藤栄作、バラク・オバマの実績のない受賞例です)

文学賞も科学的な賞に比べれば、具体的な評価が難しい賞だと思われます。

世界的な「ハルキ・ブーム」を評価するなら、受賞も有り得ると思う理由です。

まとめ:ノーベル賞を取れる確率20%と予想

 

■というような訳で、前は「取れるはずがない、やってはいけない」と思っていた私も、今は春樹氏が受賞する可能性も20%くらいあるのかと思うようになってきました。

ただ、「受賞」となったら春樹氏がどんな反応をするのか興味あるところです。手離しに喜ぶわけはないですから。
それは見てみたい気がします。
そうなったら、テレビにも写らない訳にはいかないでしょう。

ノーベル賞という賞がどれ程の賞なのかというが試されている気もします。

■ノーベル賞に限らず、賞というものは不思議なものですね。

作家の経歴を見ると必ず受賞歴が書いてあります。

初めて読む読者はその受賞歴を参考にするのは仕方のないことです。

賞をもらうことで、評価され、認知され、収入が増えるわけですから、嬉しいことに間違いはないはずです。我らが(?)西村賢太氏などは芥川賞受賞後、収入が10倍以上になったと喜んでいます。

しかし評価も認知も収入も充分な春樹氏にはもう必要ないことかもしれませんね。

■今、思いついたことですが、ノーベル賞も「まだ十分に評価されていない人に賞を与える」という面もあるのでしょうか?  それにしては高齢の人が多いですかね。

*こうして書いていると、何だか春樹氏にノーベル賞を取ってもらいたくなりました!

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この後はノーベル賞から離れ、村上作品について思うところを少し書きます。

追記ー好きな作品・嫌いな作品

 

■お前は村上作品でどれが好きなのだ?
と問われたならばーーーーーーーーー

長編小説

ずっと、エンターテイメント小説として実によく出来ている「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」と答えていました。

↑↓ の中間にある「ダンス・ダンス・ダンス」も好きです。

 

しかしこのところ、読み直して大長編「ねじまき鳥クロニクル」が素晴らしいと思うようになりました。

1995年にこのような作品が書けたのに2010年の「1Q84」は何故うまく行ってないのでしょうか。「1Q84」はオウム真理教のことをどうしても思い浮かべるような作品ですが、同時に恋愛小説でもあります。
村上春樹はどうも恋愛小説が下手なのではないかと思います。

ですから完全な恋愛小説のノルウェイの森が余り好きではないのです。
この小説はファッションみたいな売れ方をしたので、そのことに対する反発もありましたけど。

しかし最近読み返して、思っていたより良いと思いました。

もっとヒドイ恋愛小説は「国境の南、太陽の西」だと思います。

最近の長編で割合好きなのは

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」です。

短編小説

■以上長編小説のことを書きましたが、春樹氏の短編小説集は全て好きです。
「村上春樹は短編小説が素晴らしい」という人も多いようですね。

以下好きな短編小説集を列記して終りにします。

どの本にも「これぞ短編小説」という作品が含まれています。

例えば「レキシントンの幽霊」に収録されている「トニー滝谷」のような。

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追記ー2(村上作品は重層的であり、読者に委ねられている)

ここまで、村上作品とノーベル賞の可能性を考えてきて、思うことが一つあります。

それは「村上作品は読み手に委ねられるような重層的な構造になっている」

ということです。

何を言いたいかと言えば、村上作品はそのデビュー作「風の歌を聴け」からそうであったように、平易な言葉ーーまるでアメリカの通俗小説のような言葉ーーで書かれているために、表層的に読めば「面白い、かっこいい小説だった」でおしまいと読むことができます。

しかし、より深読みする読者は、軽い言葉で語られる物語に秘められたメッセージのようなものを作品から受け止めることもできるーー。

春樹氏の小説はそのように重層的な構造になっているーーと思われます。

つまり読者の読む態度、姿勢に委ねられている部分がある、ことは間違いないと思います。

それはAmazonの村上作品のレビューなどを見てもわかります。
表層だけを見て「村上春樹らしく面白かった」とか「くだらなかった」とかのレヴューがある一方で、深く読み込みその意味する所に感動したことを書いている人もいます。
そういえば「村上小説を読み解く」的な村上作品・解読本が山のように出ていますね。これほど「関連本」が出ている作家もまた珍しい存在です。

私が何を書いているか分かって頂けないかもしれません。
そこは実際に村上春樹の作品に触れて頂いて確認してもらうしかないことです。

短編で良いですから、いや、むしろ短編のほうが、私が言っていることを理解し易いかと思います。

これをきっかけに上に挙げた優れた短編集のどれかを手に取ってもらえれば幸いです。

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管理人の以下の記事も良かったら読んでみてください。

●⇒

●⇒ 村上春樹の短編集「東京奇譚集」の魅力

●⇒ 『村上ソングズ』全29曲を聴く

●⇒ジャズについて書かれた最良の本:ジェフ・ダイヤー著「バット・ビューティフル」村上春樹訳

●⇒村上春樹の新刊長編、そのタイトルから音楽に関係あると推理した:「騎士団長殺し」

 

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