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ジャズについて書かれた最良の本:ジェフ・ダイヤー著「バット・ビューティフル」村上春樹訳

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。

ジェフ・ダイヤー:Geoff Dyer   1958年英国生まれ、オックスフォード大学卒

その著書「バット・ビューティフル」は村上春樹によって翻訳され、一部の人の高い評価を得ましたが、その難解さもあって(文章が難解というのではなく、その意味するところが難しいという)、広く読まれているとは言い難いのが現状だと思います。

原著は1992年度サマセット・モーム賞を受賞しています。

はっきり書きますが、ジャズのことを知らない人にとっては、一体何を書いているのか良く分からない上に、出てくる固有名詞も知らないとあっては、とても興味深く読めるものではないでしょう。(この点がこの本の問題と言えば問題ですが・・・・)

ではジャズを知っている人には読み易いかと言うと、そうでもなくて、余りにも自由に飛翔するその文は、どこまでが真実でどこからがダイヤーのフィクションかという思いに(なまじ知っているだけに)悩まされるということになるかも知れません。

かくいう私も、そうでした。最初は途中で放りだしました。

この人(ダイヤー)は何なんだ?と思いました。

この本を読むにはちょっとしたコツがあります。

その前に〈But Beautiful〉というのは勿論曲のタイトルです。

本のタイトルになっている、その曲を聴いてみましょう。

チェット・ベイカーの歌とトランペットです。

But Beautiful

管理人
何だこのヘタクソな歌は!と思ったそこのあなた。
 

 

 このチェト(と表記されます)・ベイカーはこの本で取り上げられますので、それを読めば納得して頂けるはずなのですが・・・

まあ、女性のヴォーカル、ナタリー・コールの歌唱も聴いてみましょう。
ナタリーはヴァースから歌い始めます。
(Love is funny~ が本当の歌詞の初めです)

Who can say what love is
Does it start in the mind or the heart?
When I hear discussions on what love is
Everybody speaks a different part

Love is funny or it’s sad
Or it’s quiet or it’s mad
It’s a good thing or it’s bad
But beautiful

Beautiful to take a chance
And if you fall, you fall
And I’m thinking
Oh, I wouldn’t mind at all

Love is tearful or it’s gay
It’s a problem or it’s play
It’s a heartache either way
But beautiful

And I’m thinking that if you were mine
I’d never let you go
And that would be but beautiful
Yes beautiful, oh beautiful
That would be beautiful I know

この本を読む順序

この本を読むちょっとしたコツとは、読む順序です。

次のように読み進めましょう。

1.訳者(村上春樹)あとがき

2.ジェフ・ダイヤーによる長いあとがきーーこれはひとつのジャズ論と言える文章です

3.「アート・ペパー」—-おれ以外のいったい誰が、このようにブルーズを吹けるだろう?

4.「チェト・ベイカー」—-その二十年はただ単に、彼の死の長い一瞬だったのかもしれない

この本では8人のジャズを代表するプレイヤーが描かれているのですが、まず白人であるアート・ペパーとチェトについて書かれた文を読む方が分かり易いと思われます。

ちなみに残りの5人は

レスター・ヤング

セロニアス・モンク

バド・パウエル

ベン・ウェブスター

チャールズ・ミンガス

デューク・エリントン

です。

帯(おび)の裏にこう書いてあります。

レスターは上官の罵声を浴び

モンクは警棒を振り下ろされ

ミンガスは破壊することを止めない

酒、ドラッグ、哀しみの歴史に傷つき

自らの迷路をさまようミュージシャンたち

しかし彼らの人生には、それでも美しいジャズの響きがあったーーー

               But Beautiful 

訳者あとがき

これを先に読むことで、この本が一体何なのか。どういう成り立ちの本なのかが分かります。

ですから、やみくもに読み始めて??となるより、訳者村上春樹のあとがきを先に読むことで、どんな本なのかを知ることが良いと思う訳です。

村上春樹はアメリカの書店で「たまたま」この本をみつけ購入します。
しかし、著者も知らないし、余り期待せずしばらくほっておいたそうです。

ただ、裏表紙に書いてあるキース・ジャレットの推薦文が気にはなっていたとのこと。

Keith Jarrett
『バット・ビューティフル』は私が友人に紹介した唯一のジャズに関する書物だ。
これはちょっとした宝物だ。「ジャズに関する本」というよりは「ジャズを書いた本」というべきだろう。
もしマテリアルにぴたりと寄り添うことが偉大なソロを形づくるとすれば、ミスター・ダイヤーの本がまさにそれだ。
 

 

読み始めてみると、村上春樹も「この本って一体何なんだ?」と思ったそうです。
これは評伝なのか?それともフィクションなのか? と。

作者ダイヤー自身がその手法を imaginative criticism と書いているとのこと。

→「想像的批評」→「自由評伝」

「訳者あとがき」についてはこれくらいにしておきます。

◎長くなりそうですので、ここで一旦区切ります。

この後「著者ダイヤーによる長いあとがき」について書いています。

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