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真の天才ジャズ・ピアニスト:バド・パウエル Bud Powellの名盤 【改訂版】

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。

ジャズの世界で真に天才と呼べるのはチャーリー・パーカーとこのバド・パウエルではないでしょうか。

 

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Bud Powell (1924年9月27日 – 1966年7月31日):モダンジャズピアノを完成させたピアニスト。
モダンピアニストで真に天才と呼びたくなるのはパウエルですね。

あっ、いやセロニアス・モンクというまた別の意味での天才がいることはいますね。

初期名盤

1940年代後半から50年代初頭にかけて音楽面の最盛期を迎えるが、50年代中期以降は麻薬やアルコールなどの中毒に苦しみ、精神障害(統合失調症)を負う。
しかしながら、不調期の録音においても、呻き声を発しながらの鬼気迫る演奏を聴くことができ、これを含めてパウエルの個性として評価する声が多い。

パウエルは精神疾患の治療で電気ショック療法を受けた、また警官に頭部に暴行を受けた為に、指が以前の様に上手く動かなくなったというのが通説である。
ーーーーWikipediaより引用 (下線 筆者)

Wikiの記述の通り、パウエルの絶頂期、その天才の輝きが最もはっきりと分かるのは40年代後期~50年代初期の録音と言われています。

しかし25歳で警官に頭を殴打され、精神病院で電気ショック療法を受けた天才ピアニストはその後も悪戦苦闘しながら41歳で亡くなるまでピアノを弾き続けたのです。そしてその演奏は最後まで聴くに値する演奏だったことは、明らかなのです。筆者は初期の才能が溢れかえる演奏に驚きながらも、後期の演奏を好んで聴いています。

 

初期のパウエルを聴くのに最も適したアルバムはこれではないでしょうか。

収められた最初の8曲が1947年の録音で、残りは1953年の録音です。
’47年の方から〈Indiana〉 を聴きましょう。

カーリー・ラッセル(ベース)、マックス・ローチ(ドラムス)のトリオです。

’47年にこのモダンなピアノには驚きです。

またその運指は「天才パウエル」を証明しています。
指が88鍵からこぼれ落ちそうです。

 

BLUE NOTEレーベルがAmazing Bud Powell シリーズとしてVol.1からVol.5までを録音していますのでこの後はこのシリーズからアップします。

初期パウエルに当たるのはVol.1とVol.2です。

ここからバラード演奏〈It Could Happen To You〉を聴きます。
ベースがトミー・ポッター、ドラムス、ロイ・ヘインズです。(1949年)

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このアルバムからもう1曲。
今度はピアノトリオではなく、ファッツ・ナヴァロ(tp)とソニー・ロリンズ(ts)が加った演奏で〈Bouncing With Bud〉です。

繰り返しになりますが、’49年の演奏の新しさに驚きます。
今のジャズピアニストの演奏とどこが違うというのでしょうか。

 

中期名盤

Amazing Bud Powell Vol.3 -Bud!から〈Blue Pearl〉という曲を聴きましょう。

● ステキな曲です。
‘57年録音なので、絶頂期を過ぎた演奏ということになりますが、味わいという点ではこちらの方が、心に響く演奏家もしれません。
ポール・チェンバース(b),アート・テイラー(ds)でした。

Amazing Bud Powell Vol.4-Time Waits 
から〈Sub City〉という曲です。

(*バド・パウエルの曲にはWebb-Cityという曲もあります。パウエルはどのような意味でこれらのタイトルをつけたのか?不思議です) 

モダンジャズ・ピアノ・トリオの見本のような演奏だと思います。
勢いは初期よりは落ちていますが、十分に魅力的でカッコイイです。

サム・ジョーンズ(b),フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
(1958年)

Amazing Bud Powell Vol.5ーThe Scene Changes

これは日本では超有名盤です。

クレオパトラの夢」Cleopatra’s Dream が入っています。
(昔のジャズ喫茶でよくかかっていました。この曲が有名なのは日本だけだそうですよ。当時日本にいなかったピアニスト秋吉敏子はこの曲を知らなかったそうです)

聴きましょう。

今聴いても心躍る、親しみの持てる曲です。
ちなみにこのアルバムは速い曲ばかりで、バラードは入っていません。
全てパウエルの自作曲が演奏されています。
これも上と同じポール・チェンバース(b),アート・テイラー(ds)でした。(1959年)
(*この青いジャケットに写りこんでいる、後ろから覗き込んでいるのは当時3才だったパウエル・ジュニアだそうです)

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今までに紹介したアルバムが全て入っている廉価版ボックス・セットが出ています。大変お徳用です。

またその続編も出ています。

後期傑作アルバム

1961年ヨーロッパ(パリ中心)に渡ったパウエルが、ピエール・ミシュロ(bass),ケニー・クラーク(ds)というトリオでセロニアス・モンクに捧げるアルバムを吹き込みました。

このアルバムはプロデュースにキャノンボール・アダレイが名前がクレジットされています。

〇モンクの曲 OFF MINOR

〇There Will Never Be Another You

 

そして後期パウエルの演奏から、大好きな1枚です。

収録曲

1.How High The Moon
2.Dear Old Stockholm
3.Body And Soul
4.Jor-Du
5.Reets And I
6.Satin Doll
7.Parisian Thoroughfare
8.I Can’t Get Started
9.Little Benny
10.Indiana
11.B-Flat Blues

Gilbert Rovere(b), Carl Donnell “Kansas”Fields(ds) 1964年録音

〇エリントン・ナンバー〈Satin Doll〉を聴きましょう。
(*このアルバムはエリントンがプロデュースしたものです)

〇I Can’t Get Started をやってくれています。

● 1964年パリでの録音です。
確かに昔の勢いはここにはありません。
しかしそれに代わる何かがあるのではないでしょうか。
特に〈I Can’t Get Started 〉「言い出しかねて」はこの時期のパウエルだからこそ出来た演奏だという気がします。

パウエルがアメリカに戻って亡くなるのは’66年7月ですから、残された時間はあと2年間でした。

おわりに

ジェフ・ダイヤーが的確なことを書いていますので引用します。

バド・パウエルを初めて耳にするとき、彼のいったいどこがそんなに特別なのか、それを理解するのは簡単ではない
というのは、彼の演奏は他のみんなの演奏と似たように聴こえるからだ。

それは実のところ、他のピアニストがみんなバド・パウエルのように弾いているから過ぎないのだが。

 ーーーージェフ・ダイヤー著「バット・ビューティフル」より

 

◆1940年代後期から60年代までを駆け足で追ってみました。たったこれだけの紹介でパウエルの真価を伝えられたとは思いませんが・・・
実に、ダイヤーの言う通りなのです。

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ありがとうございます

 

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