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菊地成孔の本、実用書としておすすめはこの3冊!「東京大学のアルバートアイラー」など

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。
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ジャズのサックス奏者、文筆家、学校講師、ジャズ評論家(アナリスト)

菊地成孔には20冊を超える著書があります。(共著も多いですが)

その中からどの本を読めばいいのか?

それは目的によります。

菊地の著書にはやや小難しいというか、難解というか韜晦とうかいというか衒学的げんがくてきというか、とっつきにくい本もありますので、注意を要します^^。

では、どんな人がどんな目的でどの本を読むとピッタリとくるかということを書きます。

菊地成孔の本を読む目的

1.音楽のことを深く知りたい。(ジャズに限らず音楽一般)

2.音楽を(多少とも)演奏する者として、音楽理論の基本的なことを知りたい。

3.音楽についての面白い話や雑学を知りたい。

 

この目的に沿った本を3冊紹介したいと思います。

紹介するのは以下の3冊です。

1.「菊地成孔セレクションーロックとフォークのない20世紀-200CD」

2.「東京大学のアルバート・アイラー」上下巻

3.「憂鬱と官能を教えた学校」上下巻

2.3.は上下2冊なので、全5冊になります。
1.は使い込んでいるので、ボロボロです。

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菊地成孔セレクションーロックとフォークのない20世紀-200CD

まず1冊目です。

菊地成孔はジャズだけでなく、他の様々な音楽について折りに触れ言及している人です。

この本の副題は『世界初の、ロックもフォークもない「オール・ジャンル」ガイド』です。

ごく簡単に言えば「ディスク・ガイド」です。

菊地が指名した各ジャンルのエキスパートと菊地が対談し最終的に1ジャンル毎に20枚のCDを選ぶという企画です。

わたし
 
どうですか?面白い企画と思いませんか?
色んな音楽のことを知りたいという方にはピッタリの企画です。
そして2大ジャンル「ロック」と「フォーク」を除外、というのが私の好みにピッタリで「こんな本を待っていた」と歓喜しました!

 

その各ジャンルは次の6ジャンルです。

Round1 ビター・ブラック・ミュージック(路上のブルースマンたち)

Round2 スウィート・ブラック・ミュージック(キャンディはどこへ行った)

Round3 ポップス (iPod 対 ボックスセット)

Round4 クラシック/現代音楽 (ヨーロッパ・エクストラヴァガンザ!)

Round5 ラテン (キャバレーの夢、カフェの午睡)

Round6 ジャズ (ジャズライフが平行四辺形だった時代)

*Round1~5でそれぞれ20枚のCDを選び最後のジャズ(は特別扱いで)100枚を選んでいます。 それで合計200CD。

◎そして選ばれたCDにそれぞれ、また解説が書かれていることも大変親切です。
困ることは選ばれたCDを全部聴いてみたくなることです。

◎ジャズだけは6人による会議の形を取っています。
(菊地成孔+村井康司、藤本史昭、沼田順、都並清史、大谷能生)

いずれも、ジャズを語らせるには最適な人選です。

さすがに菊地氏も本業はジャズ・ミュージシャンですから、ジャズについては多人数で話し、多くのCDを選ぶことになりました。

他の5ジャンルも面白いのですが、ジャズでは菊地氏のテンションが1段上っているように感じます。

各ジャンルでどんなCDが選ばれたか、それを書くといわゆるネタバレになりそうなので、(少しは紹介したいのですが)グッと我慢します。

(*一つだけ紹介:2.のスウィート・ブラック・ミュージックでは鈴木雅之のCDなども紹介されていますので、安心してください^^)

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東京大学のアルバート・アイラー

東京大学で非常勤講師として、ゼミを持ち、通年で講義を持った時の講義録です。

上巻が「歴史編」、下巻が「キーワード編」です。

講義は菊地成孔+大谷能生の2人コンビで行われています。
(*「高卒が東大で教える!?」とコーフンする正直な心情なども書いてあります 笑)

どんな内容なのかは目次を見て頂くのが早いので、手抜きと思われそうですが、下のAmazonサイトの「なか見!検索」で御覧ください。

*私が持っているのは単行本ですが、文庫本を紹介しました。

ジャズの始まりから、各時代のエポック毎に詳しく迫っています。
場合によっては、かなり専門的というか、音楽学校で教えるような内容になるところもあります。でも、それは悪くないです。

良く理解できないにしろ、面白いことは面白いのです。
(誰でも知っている簡単な話は退屈ですが、難しくてよく分からなくても、そこに何かがあると感じて、想像することはスリリングなのです)

下巻について、Amazonレヴューに私ことlemonearthが書いたレビューを引用します。

菊地成孔/大谷能生のほとんどの著作がそうであるが、
この東京大学のアルバート・アイラーの下巻(キーワード編)は上巻よりさらに衒学的になっており、その辺を嫌われることもあるようだ。
だが、このような本が他にないので、逆に貴重性を感じる。

特に第4章の「カウンター/ポスト・バークリー」は興味深く、貴重な読み物だと思う。
最後に登場する濱瀬元彦氏による講義「ラング・メソッドについて」は本書以外では読めない種類のもの。
ラング・メソッドといっても大部分の人は解からないと思うが(私も解かりません)、濱瀬氏自身が紹介する氏の著書「ブルーノートと調性」にその全容が書かれているらしい。
そしてその「ブルーノートと調性」は「下方倍音という概念に依拠している」とのこと。
以下その下方倍音の説明が続くがほとんど理解不能である。しかしこれは入口であり、難解な理論が展開されていく。
しかし、ただ難解なだけでなく、時々具体例が示されるので、はっとする。
例えばマイルス・ディヴィスの言葉として「例えば、フリジアン・スケールにしても、みんなが理解しているものと俺が掴んでいるものは全然違う」など。
そして「マイルスという人はチャーリー・パーカーと同じで底の知れない人物です。
『オン・ザ・コーナー』という作品ではシュトックハウゼンのモデルを使っていたと自ら語っています。そんな人はジャズ界には他にいません。」と語られている。

時に分かりやすい説明もあったりして、ほっと息を継ぐ個所もある。
例えば「ブルーノートとは長調であるにもかかわらず、3度、7度が半音下げて演奏され、それがミストーンとして聴こえない状況を指しています。またビ・バップ以降5度も半音下げられるようになりました」などと言う説明は非常に分かりやすい。

この第4章、ほとんど理解できないが、面白いので私は繰り返し読んでいる。

 

*現在の国立大学の教養課程でこのような講座が聞けるとは、今の学生は幸せだなぁと思いました。

*「アルバート・アイラー」というフリージャズの闘士の名前は一種記号として使われているのです。東京大学でアルバート・アイラーをかけるという「あり得ない」行動・状況を象徴しています。

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憂鬱と官能を教えた学校

次の上下巻は、実は「東京大学」の前に行われた映画美学校での12回の講義の記録なのです。
こちらも菊地成孔+大谷能生の共同作業です。

「東京大学」を読んで面白いと思った方におすすめです。

より実学として音楽を教えているものです。

よって、楽器をやる方はもちろん、より深く音楽を理解したい方におすすめとなります。

上巻が「調律、調性、旋律・和声」

下巻が「旋律・和声、律動」

が講義されます。

当然のことに、バークリー音楽院のバークリー・メソッドが前提とされた講義となっています。

 

さらに巻末に「特別寄稿」や「文庫版あとがき対談」もあって、これは面白い読み物です。

まとめ

菊地成孔(+大谷能生)による3冊の「実用書」を紹介しました。

1>2>3と段々難しくはなっていますが、そこは興味に応じて読まれると良いでしょう。

とりあえず1.はディスク案内ですから気軽に読めますので!

◎なお菊地氏のメディアでの、楽しくわかり易い説明については、こちらに記事を書いていますので、よろしかったらどうぞ御覧ください。

いま音楽を語らせると一番面白い人、菊地成孔を動画で見る:最新は「マイルスを語る」

最後まで読んでくださってありがとうございます

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