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ビル・エバンスの名演・名盤を聴こう!ジャズに命を懸けた男が弾くピアノ(その1)

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。

 

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ビル・エヴァンズ(Bill Evans) こと ウィリアム・ジョン・エヴァンズ(William John Evans、1929年8月16日―1980年9月15日)

(注)Evans の片仮名表記は記事の題では、日本での慣例に従って「エバンス」にしましたが、本文中では最も正確と思われる「エヴァンズ」表記としています。

51歳で亡くなっている。

ジャズ評論家で友人でもあり、「ワルツ・フォー・デビー」などの曲の作詞家だったジーン・リースは

彼の生涯は世界で最も時間をかけた自殺のようなものだった」と語ったと言う。

その麻薬常習癖や周りの人の死の問題は、彼について書く時に避けて通れないことではあるのですが、(純粋に音楽を聴くために)余り触れないで済ませたいと思っています。

’58、’59年の録音盤

私が初めてエヴァンズを知ったのは〈Kind Of Blue-1959年〉のピアニストとしてだったかと思います。

メンバーの中でただ一人白人で、もう一人のピアニスト・ウィントン・ケリーとは明らかに違う音とタイム感覚で弾いていました。

●その後私が買ったアルバムで最も古いエヴァンズの録音アルバムは〈Everybody Digs-1958年〉と〈On Green Dolphin Street-1959年〉です。

初期エヴァンズがを聴くためには、貴重な2枚です。

 

◎〈Everybody Digs〉からヴァーノン・デュークが作った美しい曲〈What Is There To Say?〉を聴きましょう。
*ジェリー・マリガンも自分のアルバムタイトルに使った曲です。

ベースはサム・ジョーンズ、ドラムスはフィリー・ジョー・ジョーンズです。

◎もう1曲同アルバムからソロで演奏される Peace Piece も聴きたいと思います。本当にUnbeliavableに美しい曲です。

 

これらの演奏を聴くとエヴァンズは最初からエヴァンズだったと思います (変な文章でスミマセン)

◎〈On Green Dolphin Street〉からは〈You and The Night and The Music〉「あなたと夜と音楽と」にします。
こちらはベースがポール・チェンバースになります。

エヴァンズもバッパーとしてもピアノも弾いていたことも分かります。

 

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スコット・ラファロとの4部作

 

’59年から’61年にかけてベース:スコット・ラファロ、ドラムス:ポール・モチアンのトリオで以下のRiverside4部作と言われるアルバムが残されました。

 

1.Portrait In Jazz 1959

 

2. Explorations 1961

 

3. Waltz For Debby 1961

 

4. Sunday Night at The Village Vanguard 1961

 

この中では3.の「ワルツ・フォー・ディビー」が可憐な表題曲とその他の選曲の良さで、突出して有名になりました。

「ワルツ・フォー・ディビー」は日本では、ジャズのレコードとしての総売上枚数が「カインド・オブ・ブルー」に次いで2番目のはずです。

ただ他の3枚も甲乙つけがたい名盤、名演奏です。

1.2.はスタジオ録音

3.4.はライブ録音です。
(1961/6/25に同日録音されたもの at the Village Vanguard,NYC )

この4枚の中から2曲を挙げたいのですが、迷います。
それぞれのアルバムにいい曲が入っています。

非常にありふれた選択になりますが、

1.から「枯葉」

3.から「マイ・フーリッシュ・ハート」(愚かなり我が心)にします。

言うまでもないことですが、スコット・ラファロの前にはこのように対話するベースを弾いたベーシストはいませんでした。

2曲続けて。

◎〈Autumn Leaves〉 from the Album”Portrait In Jazz”

◎〈My Foolish Heart〉from the Album ” Waltz For Debby”

スコット・ラファロの突然の死(上の3.4.の録音から11日後の1961年7月6日、自動車事故死、享年25)によって、このトリオは4枚のアルバムを残しただけで、終わりを告げました。

 
 

 

不謹慎ですが、今となってはこの4枚で充分だったような気もします。
これ以上、上書きして欲しくないような気持なのです。

それほど充実し完成された作品群だったと思うのです。

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’62年のアルバム

 

スコット・ラファロを失って約1年後に録音されたアルバム〈Moonbeams〉「月光」です。

ベースはチャック・イスラエルが勤めています。
ドラムは引き続きポール・モチアンです。

この後のエヴァンズのトリオを占う分岐点になったアルバムです。

英文ライナーに次のように書いてあります。

このアルバムには2つの「初めて」がある。

一つは、ラファロ亡きあと、初めてのアルバムであること。

二つ目は、初めて全曲バラードを演奏したアルバムであること

更に曲について書きますと

1曲目 Re:Person I Knew
8曲目 Very Early

がエヴァンズのオリジナル曲であり、その間にサンドイッチされた6曲はスタンダード・ナンバーです。

 
1曲目のタイトルはRiversideレコードのプロデューサーであったオリン・キープニューズ:Orrin Keepnews のアナグラム(アルファベットの並び替え)になっています。
know が過去形になってknew になっています。
「私が知っていた人について」

何だかラファロのことを指しているように思えてなりません。

また、〈Very Early〉「とても早く」もまたラファロを思い出されるタイトルだと思うのは深読みしすぎでしょうか?

●ベーシスト、チャック・イスラエルは「対話」しません。

それはそうでしょうね。ラファロのような「特別な」ベーシストの後任はやりにくかったことでしょう。イスラエルはむしろラファロとは反対のやり方をしているようです。 対話しないで、ピアノを支えるベースです。そしてそれはとてもうまく行っているように見えます。

●しかし、このアルバムの印象は少し抽象的な感じです。
特にオリジナル2曲がそんな感じなのです。

「ワルツ・フォー・ディビー」もエヴァンズの曲なのですが、この曲のような可憐さは全くない曲です。この頃のエヴァンズの心境を反映しているのかも知れません。

〇アルバム・タイトルは収録曲〈Polka Dots And Moonbeams〉「水玉模様と月光」から採っています。

その曲を聴きましょう。

 

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■’62年には次の2枚のような注目すべきアルバムを出しています。

 
 

1枚目が〈UnderCurrent〉「暗流」;ギターのジム・ホールとのデュオ。
2枚目〈Interplay〉はジム・ホールとフレディ・ハバード(trumpet)を入れたクインテット(5重奏団)。
ピアノ・トリオとは違う形での表現を模索しています。

〇ジャケットが印象的な〈Undercurrent〉 での急速の〈My Funny Valentine〉を聴きます。
この曲をこの速さで演奏したのは、これだけだと思います。

◯〈Interplay〉の方からは、(比較の意味で)上でもアップした曲〈You And The Night And The Music〉を聴きましょう。これが素晴らしい演奏なので、このようなフォーマットでの演奏をもっと残して欲しかったと思うのは私だけでしょうか。

フレディ・ハバードの輝かしいトランペット。そしてまたフィリー・ジョーのバシャバシャドラムのカッコよさ!

 

〇’62年にはこの他にも以下のようなアルバムが録音されています。

How My Heart Sings :Moonbeams と同じトリオ。

Loose Blues :ズート・シムス(ts)を含むクインテット。
(*思ったほど面白くないのが残念です)

Empathy :ドラムにシェリー・マンを起用したトリオ。

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■’62年まで来たのですが、ここでいったん閉じて(その1)とします。

 

エヴァンズというピアニストの神髄は後期に現れると思っています。

続きはこちらに書いていますので、是非お読み下さい。

 ビル・エバンス:ピアノに命を賭けた男の名作、名演(中期・後期の名盤を探る)

ここまで読んでくださって、ありがとうこざいます。

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