ジャズのピアノトリオの名盤20枚40曲!(ケニー・ドリュー、大西順子、マルグリュー・ミラーなど15人のピアニスト)
ジャズの典型的なスタイルのひとつにピアノトリオがありますね。
ピアノトリオを好んで聴く方も多いようです。
ピアノトリオの名盤20選を選んでみます。
名盤といいましたが、まあ、好きなピアノトリオのアルバムです。
但し
・ビル・エヴァンズ、キース・ジャレットは既にたくさん書いているので除きます。
・また、余りにも有名で、個性的なセロニアス・モンクとハービー・ハンコックも除くことにします。
その他の有名ピアニスト(例えばアート・テイタム、エロール・ガーナーみたいな大御所)も除きます。
・一人のピアニストにつき原則1枚のアルバム、多くても2枚とします。
・1アルバムから2曲を選曲。
・どちらかというと小振りな作品も入れています。
そんなに聴けるかい!というあなた。最後の1曲(And I Love Her だけでも聴いてください)
Contents
- 1 バド・パウエル Bud Powell
- 2 ドド・マーマローサ Dodo Marmarosa
- 3 レッド・ガーランド Red Garland
- 4 ケニー・ドリュー Kenny Drew
- 5 トミー・フラナガン Tommy Flanagan
- 6 ハンプトン・ホーズ Hampton Hawes
- 7 ジュニア・マンス Junior Mance
- 8 アル・ヘイグ Al Haig
- 9 ミシェル・ペトルチアーニ Michel Petrucciani
- 10 スティーブ・キューン Steve Kuhn
- 11 大西順子 Live At The Village Vanguard
- 12 ジェームス・ウィリアムス James Williams
- 13 マルグリュー・ミラー Mulgrew Miller
- 14 ロニー・マシューズ Ronnie Mathews
- 15 ブラッド・メルドー Brad Mehldau
- 16 まとめ
バド・パウエル Bud Powell
バド・パウエルも書いてはいるのですが、やはりもう一度、好きな2枚を選びます。
ザ・シーン・チェンジズ amazing bud powell vol.5
BLUNOTEのアメイジング・バド・パウエル・シリーズの最後第5集です。
このアルバムが吹き込まれた1959年は「パウエルの絶頂期はとっくに過ぎた」と言われる時期なのですが、やはり特別の愛着があります。
たしかに絶頂期の指が鍵盤からこぼれ出しそうな勢いはないのですが、親しみの持てるパウエルの名盤です。
ポール・チェンバース(bass) アート・テイラー(drums) で吹き込まれていて、所謂バラード曲が1曲も演奏されていないという統一感も魅力です。(ジャケットもイイですね)
かける1曲はもちろん「クレオパトラの夢」Cleopatra’s Dream です。
●もう1曲 Duid Deed
バド・パウエル イン パリ
これはもっと後期、パウエルがパリに移住したあと、1964年その死の2年前の録音です。
好きだからしょうがないです。陳腐な言い方ですが、この時期だからこその味わいがあると思います。
●How High The Moon
●I Can’t Get Started
Gilbert Rovere(b), Carl Donnell “Kansas”Fields(ds)
*パウエルの絶頂期の演奏はこちらでお聴きください。⇒真の天才ジャズ・ピアニスト:バド・パウエル
ドド・マーマローサ Dodo Marmarosa
その半生を精神病院で送るという不幸な人生だったマーマローサの、これはほとんど唯一と言っていいリーダーアルバム。
*他ではジーン・アモンズと競演したアルバム、Jug & Dodoが有名なくらいか。(←これも素晴らしい出来)しかしこのDodo’s Back(1961年)は素晴らしい。
Backの意味はやはり精神病院からのbackだ。当時の精神病療法はお粗末なものだったようで、バッド・パウエルと同様に電気ショック療法を受けている。一瞬の輝きを捉えたかのように、このアルバムでのマーマローサはリズミックで生き生きとしている。魅力に溢れたピアノだ。
Cottage For Saleでの何ともいえない寂寥感をたたえた演奏は聴く人の心をうつ。
これは名演ですね。
Everything Happen To Meも同様に素晴らしい。
そしてOn Green Dolphin Streetでの弾む演奏はジャズピアノの王道を行く演奏だ。このような素晴らしい演奏と精神を病むということの間にどのような関連があるのかは私には分からないが、このアルバムがジャズ・ピアノの名演の1枚であることだけは分かる。
↑文体が急に変わりましたが、Amazonレビューに書いた文を引用したからです^^
●Cottage For Sale
●On Green Dolphin Street
レッド・ガーランド Red Garland
ガーランドには数多くの録音があって、悪く言えば、どこを切っても金太郎飴みたいな感もあるのですが、そうは言ってもよく聴けばやり違いがあるもので、考えた末にこれを選びました。
ポール・チェンバースがベースでアート・テイラーがドラムであることがメインの理由です。
●Please Send Me Someone To Love
●Stompin’ At The Savoy
ケニー・ドリュー Kenny Drew
ケニー・ドリューはハードバップ期のBLUENOTEで大きな活躍をしたのですが、その多くは社主アルフレッド・ライオンの意向で管楽器を入れたもので、ピアノトリオではありませんでした。
また後年ヨーロッパに渡りSteepleChaseを中心にソロ、デュオ、トリオのフォーマットで秀作を残しています。
(日本プロデュースで量産されたイージーな企画物は問題外です)
よってここでは1956年のRiverside盤 Kenny Drew Trio と
1974年のSteepleChase盤Dark Beautyを取り上げます。
ケニー・ドリュー・・トリオ
ポール・チェンバース(bass)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(drums)
●Blues For Nica
●It’s Only a Paper Moon
ダーク・ビューティ
ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン(b)、アルバート・ヒース(ds)
●Run Away
●It Could Happen To You
トミー・フラナガン Tommy Flanagan
フラナガンはピアノの巨匠ですから何を取り上げるか恥ずかしいようなものなのですが次の2枚にしました。
オーバーシーズ Overseas
名盤の評価が定まった名盤です。
Tommy Flanagan(piano), Wilbur Little(bass) Elvin Jones(drums)というトリオで 1957年にストックホルムで録音されています。
●Verdandi
●Beat’s Up
エクリプソ Eclypso
ジョージ・ムラーツ(bass)、エルヴィン・ジョーンズ(drums)
というのも選んだ理由です。
●フラナガンの自作曲 Eclypso
●タッド・ダメロンが作った美しい曲 A Blue Time
ハンプトン・ホーズ Hampton Hawes
●Secret Love
●ホーズはもっとブルージーなアルバムがたくさんあるのですが、敢えて大好きなこの盤を選びました。
ジュニア・マンス Junior Mance
●ライラックス・イン・ザ・レイン Lilacs in the Rain
●Miss Jackie’s Delight
優しく可憐にSwingするジュニア・マンス。
アル・ヘイグ Al Haig
アル・ヘイグ(1922年ー1988年)は基本的にバップのピアニストですが、それだけに収まらない感覚のピアニストでした。スタン・ゲッツやチャーリーパーカーとも共演したのですが、その後は余り録音に恵まれませんでした。
(初期の硬派なアルバムもあるのですが、、、)
そんなヘイグが長いブランクの後1974年にspotliteというマイナーレーベルに残した〈Invitation〉というアルバムはピアノトリオの佳作と言えるものでした。
●Holyland
●Invitation
ミシェル・ペトルチアーニ Michel Petrucciani
エスターテ Estate
タイトル Estate はイタリア語で「夏」
イタリア人作曲家、ピアニスト、ブルーノ・マルティーノが作曲した夏のけだるさや美しさを表現した曲です。ペトルチアーニはこの曲を愛しほとんど初アルバムと言えるものにこの曲を入れました。
後に、このアルバムがあることでこの曲の再評価になったと思います。
●Estate
ミシェル プレイズ ペトルチアーニ
このアルバムの曲は全てペトルチアーニの自作です。●It’s A Dance
エディ・ゴメス(bass)、アル・フォスター(drums)
●Mr.K.J.
ゲイリー・ピコック(bass)、ロイ・ヘインズ(drums)
*K.J.とは誰のことだと思いますか?あの人しか思いつきません。
(エヴァンズ→キース→ペトルチアーニという系譜)
スティーブ・キューン Steve Kuhn
ミロスラフ・ヴィトウス(bass)、アルド・ロマーノ(drums)
●The Music That Makes Me Dance
●Oceans In The Sky
*本当はRemembering Tommorow も挙げたかったのですが、ECM盤のため音をアップできませんでした。
*この頃のキューンは勢いがありました。
大西順子 Live At The Village Vanguard
大西順子のニューヨーク、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブです。
レジナルド・ヴィ―ル(bass)、ハーリン・ライリー(drums)
硬派な大西の面目躍如のライブ盤。
この盤を代表するC.ミンガスとオーネット・コールマンの2曲をアップします。
●So Long Eric (ミンガス)
●CONGENIALITY (コールマン)
ジェームス・ウィリアムス James Williams
J.ウィリアムス(1951-2004)は’80年前後にアート・ブレイキーとジャズメッセンジャーズにも在籍した実力派、本格派のピアニストです。
残念ながら2004年に53歳で亡くなりました。
1987年に出したThe Magical Trioというアルバムも素晴らしい出来でした。
Ray Brown (bass), Elvin Jones (drums)
●Bohemia after dark
●Too Late Now
マルグリュー・ミラー Mulgrew Miller
M.ミラーもアートブレイキーとジャズメッセンジャーズのピアニストを務めました。
2013年に58歳で亡くなりました。
上に書いたJ.ウィリアムスと共通点が多いです。
ここでは2002~2003年にMaxjazzというレーベル(このレーベル音も素晴らしく良質なアルバムを出している)から出た2枚のライブアルバムを取り上げます。
Live at Yoshi’s, Vol. 1
● What a Difference a Day Makes
●If I Were a Bell
Live at the Kennedy Center, Vol. 1
●If I Should Loose You
●Skylark
これらのライブアルバムを聴くだけでも、いかにマルグリューが優れたピアニストだったか分かって頂けると思います。これからという人だったのに残念です。
ロニー・マシューズ Ronnie Mathews
ロニー・マシューズがイタリアのREDというレーベルで吹き込んだ〈Song For Leslie〉というアルバムなのですが、、、ずっと入手困難な状態が続いて幻化しています。
Amazonにも中古盤さえありません。
これなんですけど。↓
Ray Drummond (bass), Kenny Washington(drums) 1980年
それで、YouTubeでの音源が貴重な感じになっています。
軽快で楽しいピアノトリオ演奏ですが、ドラモンドとワシントンの好演もあって、ピアノトリオの佳作という印象です。
●Song For Leslie
●Once I Loved
ブラッド・メルドー Brad Mehldau
メルドー(1970年生まれ):新時代の新感覚のピアニストの旗手と言って差し支えないでしょう。
その名も The Art of the Trio というシリーズはVol.5 まで行きました。そのいずれもが意欲作で一聴に値するモノでしたし、その後次々に出た作品も同様でした。
ここでは敢えて2016年と新しい盤〈Blues and Ballads〉を取り上げます。
Brad Mehldau(piano) Jeff Ballard(drums), Larry Grenadier (bass)
一口で言えば最も聴き易いメルドー盤です。オリジナル曲は1曲もなく全てスタンダード曲です。特徴的だった不思議な和音も控えめです。
それもレノン=マッカートニーの曲など、それまでになかった選曲です。さまざま試みを行ってそれなりに認められた後でこそできた余裕のアルバムという気がします。
●Since I Fell for You
●And I Love Her
まとめ
15人のピアニストの20枚のアルバム40曲を聴きました。
「15人の選考基準は?」と聞かれたらちょっと困ります。
だってバド・パウエルから始めてロニー・マシューズまで、でたらめと言えばでたらめですから。
ただ、好きなピアニスト(の好きなアルバム)を選んだことに間違いはありません。
●多分あのピアニストが入ってない!と感じる方が多いのでしょうね。
例えば、ウィントン・ケリー、ソニー・クラーク、アーマッド・ジャマル、フィニアス・ニューボーンJr、レイ・ブライアント、シダー・ウォルトン、デイヴ・マッケンナ、ローランド・ハナ、ケニー・バロン、ミシェル・サルダビー、テテ・モントリュー、モンティ・アレキサンダー、ジョーイ・カルデラッツオ などなど・・・いやー、分かっちゃいるんですが先に20枚限定に決めたもので失礼しました。
★最後まで読んでくださってありがとうございました。see you again !