夜空の星は何故輝くのか?:宇宙の不思議に吉田信夫が答える2冊の本紹介
ハビタブルゾーン:ここでは「生命居住可能領域」という意味で使われている。
10数億年という年月の長さをどう感じればいいのか?
われわれ人類の直接の祖先と考えられる現生人類(ホモサピエンス)の誕生がたったの20万年前ほどであることから、宇宙を考えるスケール感が少し想像できます。
ちなみに
宇宙の誕生は138億年前、地球の年齢は46億年とされています。
*この地球の年齢がほぼ分かったのは1950年代のこと、つまり、つい最近のことなのです。(驚)
夜空の星は何故輝くのか?
ーーこんな単純な質問に適切に答えることが出来る人がどれくらいいるでしょうか?
「適切に」という言葉がそもそも科学的ではないですね。
「適当に」だったら、例えば下のような答え方もあるでしょうか。
『太陽と同じように、星もエネルギーを持っていて、夜になって暗くなるとその熱量のために輝いて見えるのだよ』・・・一応納得してもらえるかもしれませんね。
しかし、色々と考える人であれば、、、「そもそも」と様々な疑問が頭の中にわいてくるのではないでしょうか?
・そもそも星って何?→星にはどんな種類がある?(恒星と惑星など)
・地球は太陽の惑星だけど夜空に見える星は何なの?
・光が見えるってどういうこと?
・星までの距離は?(一つ一つ違う距離だろうけど・・・)
・星の寿命は?
ーーーなどなど
星ー宇宙 に関する素朴な疑問にはキリがありません。
それは、地球も太陽も銀河系も宇宙も同じです。
(悠久の宇宙という言い方がされますが、それは単に長いという意味なんですね)
最初の質問『夜空の星は何故輝くのか?』に、十分科学的で正確な答えを用意することは容易なことではないことが下の本を読むと分かってくるのです。
~~『夜のしじまの何と饒舌なことでしょう』(これは名セリフですね。宇宙論にも合ってます^^)
吉田信夫の2冊の本
これらの素朴な疑問に出来るだけわかりやすく答えようとしているのが、吉田信夫の2冊の本です。
「わかりやすく」と書きましたが、結構むつかしいかもしれません。
しかし出来るだけ正確に答えようとすると、この程度の難しさは仕方ないのです。
つまりこの程度には難しくないと、逆に「知りたい」という読者に対しては不満になると思われます。
分かる人が分かればいいのです。わからない部分は読み飛ばせばいいのです。
私はそうしました。^^
宇宙に果てはあるか
こちらから読み始めるのがいいと思います。
この本の目次に並べられた疑問を書くのが一番内容の説明になると思います。
第1章 われわれはどこにいるのか 大銀河説と島宇宙説
第2章 宇宙に果てはあるか 相対論的宇宙モデル
第3章 宇宙は変化しているのか 動的宇宙論
第4章 宇宙はどれほど大きいか ハッブルの法則
第5章 宇宙はどのように始まったか ビッグバン宇宙論
第6章 ビッグバンは本当にあったのか 背景放射の発見
第7章 星はなぜ輝くのか 恒星進化と元素の起源
第8章 ブラックホールとは何か 重力崩壊の理論
第9章 世界はいかに形づくられたか 太陽系と銀河系の形成
第10章 われわれはひとりぼっちか 地球外文明の探索
第11章 ビッグバンの前に何があったか インフレーション理論
第12章 われわれはどこに向かっているのか 宇宙のエントロピー
宇宙に関する疑問のほとんどのテーマがこの目次に入っていませんか?
知的好奇心が刺激されます。読みたくなりますよね。
*目次にあるように、第7章で「星はなぜ輝くのか」が語られています。
*再度書きますが、結構難しいです。それだけに知識がある人ほど満足感は大きいでしょう。
宇宙に「終わり」はあるのか
続いてこの本を読むと更に理解が深まります。
この本次のような吉田氏の名調子で始まります。
われわれの住むこの宇宙は、ほんの138億年前に始まったばかりである。
別に言葉をもてあそんでいるわけではない。宇宙の過去から未来にわたる歴史全体からすると138億年は、実際問題として、刹那ともいえる短い期間だからである。
それでは、宇宙の死とされるビッグウィンパーの「宇宙歴10の100乗年」とはどれくらいの長さなのかと言えば
ビッグバンから 10,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 年が経過した時点のことだそうです。
(中国の最大数概念「無量大数=10の68乗」を遥かに超えています)
こちらも同じように目次を挙げることで内容紹介とします。
第1章 不自然で奇妙なビッグバン --始まりの瞬間
第2章 広大な空間、わずかな物質 --宇宙歴10分まで
第3章 残光が宇宙に満ちる --宇宙歴100万年まで
第4章 星たちの謎めいた誕生 ーー宇宙歴10億年まで
第5章 そして「現在」へ ーー宇宙歴138億年まで
第6章 銀河壮年期の終わり --宇宙歴数百億年まで
第7章 消えゆく星、残る生命 --宇宙歴1兆年まで
第8章 第二の暗黒時代 --宇宙歴100兆年まで
第9章 怪物と漂流者の宇宙
第10章 虚空へ飛び立つ素粒子
第11章 ビッグウィンパーとともに
終章 不確かな未来と確かなこと --残された謎と仮説
1冊目の「宇宙に果てはあるか」からさらに長い時間の流れの先までを描いてあります。
宇宙の始まりから現在まで、そして宇宙の終焉までと時系列を追って書いてあるのも分かりやすいです。
しかし余りにも想像を絶する話(数字)で文字通り気が遠くなりそうなのですが、人類の叡智はここまで来ているのかと驚くことになります。
追記ーサイモン・シンの名著「宇宙創成」
吉田信夫さんの2冊に併せて読みたいサイモン・シンの著書が以下です。
サイモン・シンの方が分かり易いと思います。
しかしそれでは物足りないと感じられる方には吉田さんの2冊の方が読み応えがあるように思います。
⇩こちらでシンの本について書いていますので良かったらご覧ください。
「宇宙創生」は宇宙の始まり、ビッグバン宇宙論の全歴史を分かり易く解説するサイモン・シンの力作!
★読んで下さってありがとうございます。