鹿島茂の本紹介・対談集「オン・セックス」・21世紀の性を考える
鹿島茂さん(1949年生まれ、フランス文学者)のことを初めて知ったのはTV番組「週刊ブックレビュー」だったと思います。
「週刊ブックレビュー」はNHK/BSでやっていた本レビューの番組で、毎回多彩なゲストを迎えて合評スタイルで語り合うという楽しい番組でした。
司会者は週替りでしたが、メイン司会者は亡き児玉清でした。
そしてメインアシスタントは中江有里でした。
楽しみに見ていたので終わって残念です。また復活してもらいたいものです。
鹿島茂のこと
記憶で書くのですが、鹿島茂さんが「週刊ブックレビュー」に出演した時、しょちゅうパリを訪れている話をしていました。目的はもちろん古書店巡り。そして掘り出し物(これが実に多い)を見つけるとどんなに高くても欲しくなる。借金してでも買ってしまう。
その結果日本に帰って来て、ある駅前の5階建てのビルを見ると、その各階に入っているサラリーマン金融会社5社全てから金を借りていましたーーーというエピソードを語っていました。
面白い人だなぁと思いました。
19世紀フランスを専門とし、バルザック、ゾラ、ヴィクトル・ユーゴーらを題材にしたエッセイで知られるが、その他にも幅広い分野での評論活動を行っている。古書マニア(19世紀フランスの希覯書が主な対象)としても有名で、猫好きでもある。
鹿島建設の御曹司であるとの噂が流れた事もあった。近年は、セックス関係(セクソロジー)の著書が多い。
ーーーWikipediaより(下線は筆者)
オン・セックス
さて、今日紹介したい本は(もちろん!)フランス文学ではなく、セクソロジーの本です。
対談集です。
オビにはこう書いてあります。
SEXと人間にまつわる真実と謎を、歴史・文学・思想・・・そして性の実践から解き明かす刮目の一書。
セックスの劇的な変化が今、男にも女にも襲いかかっている!
碩学、SM・ポルノ作家、性技指導家、開かれた女たち・・・15人との、驚嘆と知的興奮、戦慄と抱腹絶倒のダイアローグ&ディスカッションで、21世紀最大のテーマに果敢に挑む、目から鱗のセックス対話大全。
私がごちゃごちゃと説明するより各章のタイトルと対談者名を列記するほうがよほど内容が伝わると思いますので、・・・そうします。
【丸谷才一・山内昌之・張競】
2.ポルノの世界史ーー暴走する日本人のSEXは歴史の必然!
【氏家幹人・張競・伴田良輔】
3.極悪人の世界史ーーときに戦慄、ときに抱腹絶倒の悪漢列伝!
【張競・氏家幹人】
4.英雄の性愛史ーー古今東西の権力者たちの性行動を徹底解析
【張競・佐伯順子】
5.開かれた女たちーー「御開帳」「もっと奥まで」・・・女はもう止まらない!
【藤本由香里・酒井あゆみ・南智子・北原みのり】
6.女体の正しい味わい方ーーフェチとは”愛の放浪”と見つけたり!
【睦月影郎】
7.不貞の進化論ーー欲望に忠実でなければ幸せになれない!
【団鬼六】
8.セクシー・ガールの誕生ーーエロティシズムは国境を超える!
【荒俣宏】
9.革命的性技ーー男女のセックスは非対称と心得るべし!
【山村不二雄】
10.ポルノグラフィー進化の歴史ーーポルノに未来はあるか!
鹿島茂のエッセイ
11.二十一世紀の性ーーエロスを考察すれば世界の歪みが見える!
【山田陽一】
いかがでしょうか?
何とも刺激的で壮観なタイトルと対談者たちですね。
どこに関心を持たれましたか?
団鬼六?荒俣宏?丸谷才一?
欲望に忠実でなければ幸せになれないーーという言葉?
・対談の中で実にたくさんの人が語られるのですが、AV監督の代々木忠の名前があちこで現れるのが面白いことでした。
・フロイトの精神分析が荒唐無稽なものとして語られていました。つまり21世紀の性を考えるのにフロイトはもはや無効ということになります。
フロイト<代々木忠
・「開かれた女たち」や他のところでも語られる日本の性(産業)の特殊性の話はまさに「目から鱗」でした。日本の中にいるとわからないのですが、日本はかなり特殊な状況にあることは知っておくべきでしょう。
下の1冊も併せて読むと更に深まります。
この2冊を読めばかなりSEXに詳しくなりますよ!(なった後が問題ですが^^)
またこの本も興味深いものでした。但し前の2冊ほど「役立つ」本ではありません。
フランス文学を研究する者がセクソロジーに移ってきたのもある意味必然的なことかと思いました。
まとめ
この「まとめ」に書くのも変な話なんですが、
「月曜から夜ふかし」という番組見てありますか?
マツコ・デラックスと村上信五が司会する深夜番組です。
いろんな(ちょっと不思議な)シロートさんを紹介する番組で、フェフ姉さんとか桐谷さんが全国区で有名になっています。
そこで沖縄の居酒屋を経営する男性が登場しました。
よそ見しながら見ていたので正確ではないかもしれません。
(男性は酔った上での発言なのでどこまで本気なのか?という気もします)
いまよくやっていることは?という質問への答えが
「嫁の写真をみながらオナニー」というものでした。
さらに、もし奥さんが浮気したらどうする?という質問への答えが
「嫁が浮気しているところを想像しながらオナニー」と答えていました。
そしてその行為を「ヨメニー」と名付けているそうです。どこまで嫁さんが好き?と驚くような人でした。
それが何故ここに書くこと?と言われるでしょうね。
「オン・セックス」を読みながら、なぜかこの男性のことを何度も思い出しました。
「オン・セックス」であとがき的にこう書いてありました。
「二十一世紀の問題は全てセックス絡みの問題である」
鹿島茂は心からそう思っているのです。