ビル・エバンスの名演・名盤を聴こう!ジャズに命を懸けた男が弾くピアノ(その1)

      2017/04/23

sponsored Link

ビル・エヴァンズ(Bill Evans) こと ウィリアム・ジョン・エヴァンズ(William John Evans、1929年8月16日―1980年9月15日)

(注)Evans の片仮名表記は記事の題では、日本での慣例に従って「エバンス」にしましたが、本文中では最も正確と思われる「エヴァンズ」表記としています。

51歳で亡くなっている。

ジャズ評論家で友人でもあり、「ワルツ・フォー・デビー」などの曲の作詞家だったジーン・リースは

彼の生涯は世界で最も時間をかけた自殺のようなものだった」と語ったと言う。

その麻薬常習や周りの人の死の問題は、ここに書くことは本意ではないので、書きません。
(ただ、アルバムを紹介するにあたって、どうしても触れないと書けないアルバムがありますので、そこで少し触れます)

’58、’59年の録音盤

私が初めてエヴァンズを知ったのは〈Kind Of Blue-1959年〉のピアニストとしてだったと思います。確か・・・

メンバーの中でただ一人白人で、もう一人のピアニスト・ウィントン・ケリーとは明らかに違う音とタイム感覚で弾いていました。

●その後私が買ったアルバムで最も古いエヴァンズの録音アルバムは〈Everybody Digs-1958年〉と〈On Green Dolphin Street-1959年〉です。

初期エヴァンズがを聴くためには、貴重な2枚です。

 

◎〈Everybody Digs〉からヴァーノン・デュークが作った美しい曲〈What Is There To Say?〉を聴きましょう。
*ジェリー・マリガンも自分のアルバムタイトルに使った曲です。

ベースはサム・ジョーンズ、ドラムスはフィリー・ジョー・ジョーンズです。

これを聴くとエヴァンズは最初からエヴァンズだったと思います(変な文章でスミマセン^^) ただアップテンポの曲では激しい打鍵も行っています。

◎〈On Green Dolphin Street〉からは〈You and The Night and The Music〉「あなたと夜と音楽と」にします。こちらはベースがポール・チェンバースになります。
*これ全曲演奏になっていますので、1曲で止めてください。

この2曲を聴くとドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズとは意外に相性が良かったと思います。 この後でもいくつかのアルバムで共演してますから。

エヴァンズもバッパーとしてもピアノも弾いていたことも分かります。

◎参考:ちょっと寄り道になりますが、同曲をキース・ジャレットのスタンダード・トリオの演奏で聴いてみたい誘惑にかられました。

1986年日本公演でのライブ映像がありましたので、是非!

この音取りはやけにゲイリー・ピーコックのベースが目立ちまくることになっていますが、そこも含めていい動画です。

もちろんジャック・ディジョネットのドラムも、キースのピアノも快調!

キースもエヴァンズの影響を受けたピアニストですからね。
時代が違うとこれくらい違いますね。

sponsored Link

スコット・ラファロとの4部作

 

’59年から’61年にかけてベース:スコット・ラファロ、ドラムス:ポール・モチアンのトリオで以下のRiverside4部作と言われるアルバムが残されました。

 

1.Portrait In Jazz 1959

 

2. Explorations 1961

 

3. Waltz For Debby 1961

 

4. Sunday Night at The Village Vanguard 1961

 

この中では3.の「ワルツ・フォー・ディビー」が可憐な表題曲とその他の選曲の良さで、突出して有名になりました。

「ワルツ・フォー・ディビー」確かジャズのレコードの売上総枚数で「カインド・オブ・ブルー」に次いで2番目ではないでしょうか。(日本だけのことでしょうか?)

ただ他の3枚も甲乙つけがたい名盤、名演奏です。

1.2.はスタジオ録音

3.4.はライブ録音です。
(1961/6/25に同日録音されたもの at the Village Vanguard,NYC )

この4枚の中から2曲を挙げたいのですが、迷います。
それぞれのアルバムにいい曲が入っています。

非常にありふれた選択になりますが、

1.から「枯葉」

3.から「マイ・フーリッシュ・ハート」(愚かなり我が心)にします。

言うまでもないことですが、スコット・ラファロの前にはこのように対話するベースを弾いたベーシストはいませんでした。

2曲続けてどうぞ!

◎〈Autumn Leaves〉 from the Album”Portrait In Jazz”

 

◎〈My Foolish Heart〉from the Album ” Waltz For Debby”

 

スコット・ラファロの突然の死(上の3.4.の録音から11日後の1961年7月6日、自動車事故死、享年25)によって、このトリオは4枚のアルバムを残しただけで、終わりを告げました。

 
 

 

不謹慎ですが、今となってはこの4枚で充分だったような気もします。
これ以上、上書きして欲しくないような気持なのです。

それほど充実し完成された作品群だったと思うのです。

sponsored Link

’62年のアルバム

 

 

 

スコット・ラファロを失って約1年後に録音されたアルバム〈Moonbeams〉「月光」です。

ベースはチャック・イスラエルが勤めています。
ドラムは引き続きポール・モチアンです。

この後のエヴァンズのトリオを占う分岐点になったアルバムです。

英文ライナーに次のように書いてあります。

このアルバムには2つの「初めて」がある。

一つは、ラファロ亡きあと、初めてのアルバムであること。

二つ目は、初めて全曲バラードを演奏したアルバムであること

更に曲について書きますと

1曲目 Re:Person I Knew
8曲目 Very Early

がエヴァンズのオリジナル曲であり、その間にサンドイッチされた6曲はスタンダード・ナンバーです。

 
1曲目のタイトルはRiversideレコードのプロデューサーであったオリン・キープニューズ:Orrin Keepnews のアナグラム(アルファベットの並び替え)になっています。
そのことによってknow が過去形になってknew になっています。
「私が知っていた人について」

何だかラファロのことを指しているように思えてなりません。

また、〈Very Early〉「とても早く」もまたラファロを思い出されるタイトルだと思うのは深読みしすぎでしょうか?

●ベーシスト、チャック・イスラエルは「対話」しません。

それはそうでしょうね。ラファロのような「特別な」ベーシストの後任はやりにくかったことでしょう。イスラエルはむしろラファロとは反対のやり方をしているようです。 対話しないで、ピアノを支えるベースです。そしてそれはとてもうまく行っているように見えます。

●しかし、このアルバムの印象は少し抽象的な感じです。
特にオリジナル2曲がそんな感じなのです。

「ワルツ・フォー・ディビー」もエヴァンズの曲なのですが、この曲のような可憐さは全くない曲です。この頃のエヴァンズの心境を反映しているのかも知れません。

〇アルバム・タイトルは収録曲〈Polka Dots And Moonbeams〉「水玉模様と月光」から採っています。

sponsored Link

■’62年には次の2枚のような注目すべきアルバムを出しています。

 
 

1枚目が〈UnderCurrent〉「暗流」;ギターのジム・ホールとのデュオ。
2枚目〈Interplay〉はジム・ホールとフレディ・ハバード(trumpet)を入れたクインテット(5重奏団)。

ピアノ・トリオとは違う形での表現を模索しています。

〇ジャケットが印象的な〈Undercurrent〉 での急速の〈My Funny Valentine〉なども聴きたい曲ですが、キリがないので止めておきます。

ここでは比較の意味で、〈Interplay〉の方から、上でもアップした曲〈You And The Night And The Music〉を聴きましょう。これが素晴らしい演奏なので、このようなフォーマットでの演奏をもっと残して欲しかったと思うのは贅沢でしょうか。

フレディ・ハバードの輝かしいトランペット。そしてまたフィリー・ジョーのバシャバシャドラムのカッコよさ!(笑)

 

〇’62年にはこの他にも以下のようなアルバムが録音されています。

How My Heart Sings :Moonbeams と同じトリオ。

Loose Blues :ズート・シムス(ts)を含むクインテット。
(*思ったほど面白くないのが残念です)

Empathy :ドラムにシェリー・マンを起用したトリオ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■えー、’62年まで来ているのですが、ここでいったん閉じて(その1)とします。

 

 

エヴァンズというピアニストの神髄(その本当の魔力)は後期に現れると思っています。

続編はこちらからお読みください。

⇒ ビル・エバンス:ピアノに命を賭けた男の名作、名演(中期・後期の名盤を探る)

ここまで読んで下さって、ありがとうございます。

——————–see you again!

sponsored Link

 

 

この記事が気に入っていただけたら
いいね ! しよう

Twitter で

 - ジャズ