ジャズの名曲:ビューティフル・ラブ Beautiful Love 10の名盤、名演

Beautiful Love という曲 (1931年Victor Youngヴィクター・ヤングの作曲)
私が初めて聴いたのはアニタ・オディの歌でした。
そして、次に聴いたのはビル・エヴァンス・トリオの演奏でした。
この曲、この二人の歌と演奏で皆に知られるようになったと言っても過言ではないでしょう。
Contents
アニタ・オディ
そのアニタの歌を聴きます。
アルバム〈This Is Anita〉の一番最後に入っていました。
これはアニタの中でも屈指の名盤だと思います。
Beautiful Love /Anita O’day (1955年)
印象的なギターはバーニー・ケッセル、ピアノはポール・スミスでした。
Beautiful love, you’re all a mystery
Beautiful love, what have you done to me?
この出だしの歌詞を聴くと
Beautiful Love は「美しい愛」ではなく
「美しい恋人よ」という呼び掛けであることが分かります。
美しい人よ あなたの全てが謎
あなたは一体わたしに何をした?
初めて聴いた時にドキリとしたくらい印象的でした。
ビル・エヴァンス
スコット・ラファロとの競演4部作のうちの1枚
〈Explorations〉でこの曲を演っていました。
Scott LaFaro: bass
Paul Motian: drums
これはやはりピアノトリオの名演です。1961年にこのようにバッキングだけではなく、ピアノと対話するように絡みつくベースを弾いたのはスコット・ラファロが初めてでした。天才ラファロの早逝によってこの年に終ってしまうのですが。
ハンク・ジョーンズ
ハンク・ジョーンズが〈The Oracle〉と言うアルバムで Dave Holland(bass), Billy Higgins(drums)というトリオで演っているものがなかなか良いので聴きましょう。
本田竹曠
日本人ピアニスト、本田竹曠が1977年、Ron Carter (b), Tony Williams (ds)というトリオでNY録音したものも、素晴らしい演奏なので聴きましょう。
シダー・ウォルトン
えー、こうなったらピアノ・トリオ4連発で行きましょう。
・シダー・ウォルトン:piano
・パスター・ウイリアムス:bass
・ウイリー・ジョーンズⅢ:drums
というトリオでヴィクター・ヤング曲集を演っているアルバムです。
エルヴィン・ジョーンズ
次のアルバムは珍しいアルバムです。ドラマー、エルヴィン・ジョーンズの名義ですが実際はピアノトリオです。そしてintroduce されているピアニストは田中武久という人(私は知りませんでした)です。
ベースがセシル・マクビーということもあって興味深い演奏になっています。 ピアノトリオとしてはやたらドラムが目立ちますが、それはリーダーだから仕方ありません。
これはトリオの演奏ですが、別の曲ではソニー・フォーチュン(サックス)もフューチュアされています。
タイトルはat Aso-Mountain ですが、NYで録音されています。(1990年)
マッコイ・タイナー
ピアニスト、マッコイ・タイナーのアルバムですがこれはカルテット演奏。
サックスにジョー・ヘンダーソンが入っています。
McCoy Tyner (piano)
Ron Carter(bass)
Al Foster (drums)
Joe Henderson (tenor sax)
何だか全員がカッコいいです。特にテナーのジョーヘンが。このあたりになると随分ハードボイルドな「ビューティフルラブ」になりますね。
ジム・ホール&ミシェル・ペトルチアーニ
次は動画ですが
ジム・ホール(ギター)とミシェル・ペトルチアーニ(ピアノ)の競演です。
もう二人とも亡くなってしまいましたが、名手でしたね。
スイス、モントルー・ジャズフェスティバルでの映像です。 (Live At Montreux Jazz Festival/1986)
渡辺貞夫
やはり、渡辺貞夫の演奏を入れるべきですね。
日本が生んだアルトサックス奏者がパーカーに捧げる演奏。
ソフィー・ミルマン
最後は女性歌手の歌で終わりたいと思います。
新しい歌手です。ソフィー・ミルマン。
ロシア出身でイスラエルを経てカナダに移住したユダヤ系ロシア人という経歴の人です。
ハスキーボイスで歌い、キュートなルックスもあって近年人気がある人です。
まとめ
こうしてBeautiful Love という曲を、10のバージョンで聴いたのですが、初めのアニタ・オディ、ビル・エヴァンスから随分長く旅したような気分になります。
もちろんスタンダード・ナンバーというものは後のプレイヤーによってカバーされてゆくものなのですが、「上書き」されるものではありません。
過去の演奏が不滅の演奏として残ってゆきますね。