ジョン・コルトレーン:初期の代表作、名盤、マイルス、モンクとの共演など

ジョン・コルトレーン
1926年9月23日 – 1967年7月17日(享年40)
*ちなみにマイルス・デイビスが1926年5月生まれ、スタン・ゲッツが1927年生まれ。みんな同世代でした。(ソニー・ロリンズは1930年生まれ)
「ジャズの歴史はコルトレーン前とコルトレーン後に分かれる」
という言葉があります。それほどのジャズの巨人であるということです。
私も長くジャズを聴いてきて、この言葉は実感として分かります。
→コルトレーン以降のサックス奏者で、コルトレーンの影響がなかった人はいない。
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すでにJAZZのレコードや特定のジャズ・プレイヤーについてかなりの数の記事を書いています。
しかし、コルトレーンについてはなかなか書けませんでした。
それだけコルトレーンについて書くことは難しかったのです。コルトレーンの全体像に迫るにはかなり長い記事が必要だと思いました。
あなたはコルトレーンについて、どのようなイメージを持ってありますか?
・ジャズらしい音楽を演奏するコルトレーン
・沁みるバラードを演奏するコルトレーン
・激しい音楽を演奏するコルトレーン
・何だか難しい音楽を演奏するコルトレーン
コルトレーンの音楽はその約12年(1955~1967年)の実質活動期間の間にかなり変化していますから、どれも正しいと言えます。
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その音楽活動はレコード会社によって分類するのが、妥当かと思います。
a)Prestige時代
(マイルス・デイヴィス・クインテットの時代は一部はColumbia レコードに録音されています)
b)BlueNoteではリーダーアルバムとしては〈Blue Train〉の1枚のみ
他プレイヤーのアルバムへの参加
c)Riverside など:セロニアス・モンクとの共演
d)Atlantic時代
e)Impulse時代
■結論めいたことを、先に書いてしまいますが、
私はコルトレーンの最もコルトレーンらしい演奏はImpulse時代にあると思っています。
その時代のコルトレーンに一番チカラを入れたいと思っています。
よって、初期の頃は単に、アルバムを紹介するだけになりそうです。
ただ紹介するアルバムは「コルトレーンを聴くのに外せないアルバム」と思うアルバムとしているつもりです。
*この回では1回目として「モンクとの共演」までを紹介させて頂きます。
Contents
Prestige・レコードの時代(1部Columbia)
マイルス・ディビス・クインテット時代
マイルスのグループのテナーサックス奏者として起用されたコルトレーン。
1955年当時はほぼ無名だったコルトレーンに目をつけるあたりが、さすがマイルスの慧眼と言えます。
それでは、コルトレーンが入ったマイルス・クインテットのアルバムを並べます。
これらのアルバムは、あくまでもマイルス・デイヴィスのリーダー・アルバムです。
主役はマイルスです。基本的にマイルスが先発ソロを取ります。
そして、レッド・ガーランド(piano)、ポール・チェンバース(bass)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(drums)のトリオが実にいい演奏をするものでそちらに耳が行きます。
いやマイルスの後にソロを取るコルトレーンも頑張っているし、かっこいいものがたくさんあります。
例えば3.のRelaxin’の〈You’re My Everything〉でのソロ。
バラード演奏なのですが、すでにコルトレーンの特長である、ビブラートの少ない硬質な音でのソロはバンドの雰囲気に良く合っています。
しかしながら、
「すごいテナーサックス奏者が現れた」という感はありません。
しかし、そこがコルトレーンらしいところです。
少なくともコルトレーンは天才肌の人ではなかったのです。
コツコツと努力を重ねて、段々すごくなってゆくタイプだったことが分かります。
●You’re My Everything by Miles Davis from ‘Relaxin’ With The Miles Davis Quintet’
マイルスの6重奏団のアルバム(1958年)
■1958年、マイルスのグループのテナー奏者として3枚のアルバムに参加しています。この時期はキャノンボール・アダレイ(as)が入っていましたので、6重奏団になっています。
(すべてColumbiaレコード)3.〈Miles At Newport〉 ではピアノが〈Kind Of Blue〉のピアニスト、ビル・エヴァンズになっています。
Prestige におけるコルトレーン・リーダー・アルバム
Prestige レコードにはたくさんの録音があります。
コルトレーン名義のものや、レッド・ガーランド名義のものなど。
後からコルトレーン名義に変えられたものなど、入り乱れてややこしいことになっています。
■ここではコルトレーン・リーダー・アルバムの代表的なものを挙げます。
●ビリー・ストレイホーンが作ったバラード〈Lush Life〉を聴きましょう。
Coltrane(ts),Donald Byrd(tp),Red Garland (p),Paul Chambers (b),Louis Hayes (ds)
■Prestigeには忘れてはいけないアルバムがあります。
■「テナー・マドネス」:ジャズ史を飾る1枚。ロリンズとコルトレーンというモダン・テナーの2大巨人の録音された唯一の共演(ただし1曲のみ)。
すでに余裕のロリンズに、登り龍コルトレーンが敢然と挑む。
これを聴くとコルトレーンの演奏がいかに”モダン”であったかが分かる。
●聴きましょう。Tenor Madness。どちらが吹いているか注意深く聴き分けましょう!
(音質が明らかに違います。硬質で高音を多用するのがコルトレーン。最初のソロはコルトレーンです。--12分半あります)
Rollns, Coltrane (ts),Red Garland (p),Paul Chambers (b),Philly Joe Jones (ds)
■「ソウル・トレーン」:’58年2月録音のこのアルバムでは、すでにその音の代名詞である「シーツ・オブ・サウンズ」Sheets Of Sounds が完成しつつあることが分かる。
翌年の〈Giant Steps〉で更に飛躍する前の総決算のようなアルバム。
●Soul Trainからはバラード曲ではなく ‘Russian Lullaby’を聴きます。
リーダーアルバム以外でコルトレーンを聴くアルバム
BLUNOTEにおけるコルトレーンのアルバム
1.はジョニー・グリフィン、ハンク・モブレイとの3テナーのブロウイング・セッション。
2.Sonny’s Crib/Sonny Clark :好きなレコードです。コルトレーンとしては新鮮なソニー・クラーク(ピアノ)、リー・モーガン(トランペット)などとの共演が聴けます。コルトレーンのテーマ演奏&ソロがめちゃめちゃかっこいいのです!
3.BLUE TRAIN:最初のテーマが演奏される時、まるで汽車(トレーン)が動き始めたような気がします。ジャズが始まる!という興奮を覚える始まり方です。続くコルトレーンのソロのかっこいいこと!
これもモダンジャズを代表する1枚です。間違いなく。
*できればこの盤はアナログ・レコードをターンテーブルに載せて聴きたいものです。
そうすると「ジャズを聴いている!」という恍惚に浸れます。
Lee Morgan-trumpet
Curtis Fuller-trombone
John Coltrane-tenor sax
Kenny Drew-piano
Paul Chambers-bass
Philly Joe Jones-drums
モンクとの共演
1.Monk’s Music:このエピソードは語られ尽くしてジャズ・ファンなら常識なのですが、〈Well You Needn’t〉で、モンクの長い奇妙なピアノ・ソロの後、自分の出番を忘れていたコルトレーンに対して、モンクが「コルトレーン、コルトレーン!」とソロを促す声が入っています。慌てて入るコルトレーンが微笑ましいです。
佐賀県鳥栖市にある老舗ジャズ喫茶「コルトレーン・コルトレーン」の店名はここから来ています。
〈Well You Needn’t〉
2.3.:コルトレーンはセロニアス・モンクとの共演から多くの滋養を吸収したと思われます。
修行僧のようなジャズに全てを捧げた男、モンクの精神性はコルトレーンのその後の変貌と進化に深く関わっているように感じられます。
*各アルバムについてのコメントは最小限しか書くことが出来ませんでした。
*しかし1957年、58年には「一体どれだけの録音に参加しているのだ!」と驚くほどの録音がありますね。
ここに紹介しきれなかった録音もまだまだあります。
◎ここまで読んでくださってありがとうございます◎
この後2回分の続き記事がありますので、良かったらよろしく!
ジャズを変えた男の名演、名作、代表作(コルトレーンの代表作は「Ballads」ではない!)
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コルトレーンを聴け!インパルス時代のコルトレーン(その2):名盤・「クレッセント」~「至上の愛」~「オラトゥンジコンサート」