ジョン・コルトレーン:ジャズを変えた男の名演、名作、代表作(これを聴けばコルトレーンの真価が分かる)

      2017/01/20

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j-coltrane6 

ジョン・コルトレーン

 1926年9月23日 – 1967年7月17日

 

「ジャズの歴史はコルトレーン前とコルトレーン後に分かれる」

という言葉があります。それほどのジャズの巨人であるということです。

私も長くジャズを聴いてきて、この言葉は実感として分かります。

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 その音楽活動はレコード会社によって分類するのが、妥当かと思います。

a)Prestige時代
(マイルス・デイヴィス・クインテットの時代は一部はColumbia レコードに録音されています)

b)BlueNoteではリーダーアルバムとしては〈Blue Train〉の1枚のみ
  他プレイヤーのアルバムへの参加

c)Riverside など:セロニアス・モンクとの共演

d)Atlantic時代

e)Impulse時代

以上の内、a),b),c) までについては

⇒ コルトレーンの初期代表作

に書いていますので、よかったらそちらをご覧ください。

■この記事では1959年(Atlantic時代)からImpulse の1962年の作品までについて書いています。

 


 

1959年の2枚のアルバム

 

Kind Of Blue
1959年3月、4月

 

Giant Steps
1959年5月、12月

■Kind Of Blue

言わずと知れたモダンジャズを代表する1枚です。

菊地成孔は100年後にジャズという音楽を振り返ると、この1枚になるのではないか、と言っていました。

この盤についてはこちらで書いていますので、良かったら参照ください。
⇒ マイルス・デイビス・Miles Davis “Kind Of Blue”

■Giant Steps

Atlanticレコードでの第1弾です。

〈Kind Of Blue〉に参加した時、コルトレーンは自らのこの作品のことを考えていたことでしょう。たった1~2か月後の録音ですから。

まさにコルトレーンのジャイアントな1歩を記録した記念碑的作品です。

ここに納められた7曲は記憶に残る7曲です。(CDでは追加ボーナス・トラックがありますが)

1. Giant Steps
2. Cousin Mary
3. Countdown
4. Spiral
5. Syeeda’s Song Flute
6. Naima
7. Mr. P.C.
 
参加メンバーは
John Coltrane (tenor sax)
Tommy Flanagan (piano)
Wynton Kelly (piano-on 6.only)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)
JImmy Cobb (dtums-on 6.only)          です。
 
このアルバムの曲について、特に1曲目〈Giant Steps〉については語られ尽くしていますので、ここでは止めておきますね^^
1音ごとにコードが変わるとか、名手トミー・フラナガンも弾き淀んだとかのエピソードです。
「コルトレーン・チェンジ」という専門用語?もここから生まれました。
 
大事なことは、どんなに難しいことをやっても、聴いて楽しめる曲になっているということです。
そうでなかったら、今日に至るまで、いろんな人が再演したりはしないはずです。
「ナイ―マ」(または「ネイマ」)も「カズン・メアリー」も「ミスターP.C.」も入っています。 楽しみましょう。楽しめるアルバムです。
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1959年という年はJAZZの特異年

 1959年には上の2枚の他にも以下のレコードがリリースされています。

 
・Portrait In Jazz / Bill Evans
・The Shape Of Jazz To Come /Ornette Coleman 
・Time Out / Dave Brubeck
・Some Like It Hot / Barney Kessell 
 
この6枚、いずれも来たるべき60年代ジャズの在り様を(スタイルは様々であっても)提示したものとなりました。
1年前にこれだけのものが出揃ったというのも今思えば凄いことでした。
 
◇一口で言ってしまえば「モードとフリー」の時代の幕開けです。
 
当時カリスマ的な人気があった変なおじさん、植草甚一は「マイルスとコルトレーンの時代」という本を書きました。
 
 
〇同じく1959年録音のコルトレーン参加アルバムとしてキャノンボール・アダレイの〈Cannonball Aderley Quintet in Chicago〉という好ましいアルバムがあります。
マイルス・グループのいわゆる親分抜きセッションなのですが、ボス抜きでリラックスした演奏をしている楽しい1枚になっています。
 
 
 
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Atlantic 時代 

Atlantic レコードに移籍し、〈Giant Steps〉によって大きな存在を示したコルトレーンはマイルスバンドのヨーロッパツアーに付き合った後、マイルスバンドを退団します。

そして、以下のようなアルバムを発表してゆきます。

1. Bag’s & Trane
1959/1

2. My Favorite Things
1960/10

3. Coltrane’s Sound
1960/10

4. Coltrane Plays The Blues
1960/10

5. Ole Coltrane
1961/5

6. Someday My Prince Will Come/Miles Davis 1961/3

1.Bags & Trane : (’59/1)

Bags とはヴァイブラフォンの王者、ミルト・ジャクソンです。
この盤の録音は〈Kind Of Blue〉〈Giant Steps〉より少し早い’59年1月なのですが、Atlanticレーベル盤なのでここに置きます。
ご存知のようにミルト・ジャクソンが入ると、ビシッとその場の雰囲気を決めてしまいます。ブルージーです! そしてそれに対応するコルトレーンもミルト色に染まりながら、かっこいいのです!
そして、ピアノがハンク・ジョーンズというのも大正解です。
コルトレーンとしては異色のアルバムとして高く評価したい1枚です

2.My Favorite Things :(’60/10)

コルトレーンが初めてソプラノサックスを披露します。「マイ・フェヴァ」はこの後死ぬまで演奏される曲となりますが、やるたびに壮絶なものになってゆくので、ここでの演奏はいささか「牧歌的」に聞こえてもう聴く気にはなれません。他の曲を聴きます。
しかし、このメンバーはマッコイ・タイナー(ピアノ)、スティーブ・デイヴィス(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)なのです。
”黄金のカルテット”まであと一歩です。

3.Coltrane’s Sound : (’60/10)

〈Central Park West〉〈Body and Soul〉などのPrestige時代を思わせるようなバラード演奏が人気があるようですが、〈Equinox〉〈Satellite〉のようなオリジナル曲に注目です。バンドメンバーは2.と同じです。

4.Coltrane Plays The Blues :(’60/10)

文字通りブルース集。3.と同日の録音。メンバーも同じ。
曲名が全て Blues To Elvin というように人の名前が入っている。(Blues To You なんてのもありますが)
しかしブルースだけをやるとさすがに雰囲気が違う。

5.Ole Coltrane :(’61/5)

「オレ」と題されているようにスパニッシュな雰囲気が漂う作品。
目を引くのはエリック・ドルフィーの参加。1曲目〈Ole〉ではコルトレーンはソプラノサックス、ドルフィーがフルートを吹く。聴き応えがある。
それとフレディ・ハバード(tp)も入っていて、激しいソロを取る。3曲目マッコイ・タイナー(p)の曲〈Aisha〉(タイナーが奥さんに捧げた)でのピアノとトランペットが美しい。

6.Someday My Prince Will Come /Miles Davis (’61/3)

マイルスのアルバムなのでコロンビア盤ですが、どうしても触れたかったのでここに置きます。
既にマイルスバンドを退団していたコルトレーンですが、呼ばれて2曲でテナーを吹いています。
〈Teo〉という曲でのコルトレーンのソロが凄くかっこいいのです。
「テオ」とは長年マイルスのプロデューサーを務めていたテオ・マセロのことです。彼の名前を冠してマイルスが作った曲なのですがマイルスのソロの後コルトレーンが悠然と出てきてソロを取るのですが、もうマイルスの子分という雰囲気ではなくオレの世界を作ります。
この後二人が共演したことはなかったと思います。(少なくとも録音されたレコードでは)

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インパルス・イヤーズ Impulse の時代

さあ、いよいよコルトレーンが骨を埋めたImpulse レコードの時代に入ります。

最初の録音は〈Africa/Brass〉 1961年だと思いますが、これは省略です。

Live At The Village Vanguard (1961)

この1961年11月1日―5日の録音はかってはバラバラに発売されて、私もバラで買っていたのですが、今では 〈The Complete 1961 Village Vanguard recordings〉 というタイトルで4枚組ボックス・セットが発売されそれが標準になっています。
(*このボックス・セット、貴重な写真やイラスト、丁寧なデータを満載したブックレット付で、なかなか豪華です)

 

はっきり言って、この4枚組を通して聴くことには体力が要ります。
1週間くらいかけて聴いたらいいと思います^^

ピアノはマッコイ・タイナー、ドラムスはエルヴィン・ジョーンズ、ベースはレジ―・ワークマンジミー・ギャリソンです。

そしてこの時、このバンドにはエリック・ドルフィー(バス・クラリネット、アルトサックス)が入っていました。

リズム隊も凄いのですが、何と言ってもコルトレーンとドルフィーの激突がこのライブを伝説にしました。

コルトレーンが1961年の終りの方でここまで過激になったのは、ドルフィーのせいだと思えます。ドルフィーに挑発されているとしか思えません。

ドルフィーは、この後短い間で退団し、チャールズ・ミンガスのもとに戻り、ミンガスのヨーロッパ・ツアーに参加、1964年6月29日ベルリンで客死します。まだ36歳でした。

同年(1964)夏、ミンガス楽団のヨーロッパツアーに参加中、糖尿病による心臓発作のため、ベルリンにて他界。遺品となったバスクラリネットとフルートは、ドルフィーの両親からコルトレーンに贈られた。
———————————–wikipedia より引用

◇コルトレーンに対する唯一の不満の声として、「ドルフィーという天才を充分に自己のバンドで活かすことができなかったこと」と書いているジャズの批評家が約2名(日本人とイギリス人)ほどいます。

→*参考文献:「ジャズ最終章」小野好恵 

 

ともかく、このライブ演奏は聴いてもらうしかありません。(と言ったら身も蓋もないのですが)
コルトレーンとドルフィー、どちらがどちらを煽っているのか、どちらが悲鳴をあげているのか分からなくなる瞬間があります。

こんなライブ演奏を毎夜のようにやっていれば、それは命を縮めるよなぁ、と思わせます。
(*コルトレーンも40歳で亡くなる訳ですし)

〈Chasin’ the Trane〉〈India〉〈Spiritual〉〈Impressions〉〈Miles’ Mode〉などの曲が繰り返し演奏され、どれも凄いことになっています。

 

John Coltrane

 

Eric Dolphy

 

■エリック・ドルフィが退団し、いよいよ黄金のカルテットと呼ばれた四重奏団が始動します。

ジョン・コルトレーン(テナーサックス、ソプラノサックス)
マッコイ・タイナー(ピアノ)
ジミー・ギャリソン(ベース)
エルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)

Impressions , Coltrane

 

Impressions
1961/11 & ’62,’63

COLTRANE
1962

 

■Impressions 

収録曲
1.India
2.Up ‘Gainst the Wall
3.Impressions
4.After The Rain

1.と3.は上で紹介しましたVillage Vanguard ライブの11月3日の録音です。今ではそちらで聴けますが、LPレコード時代にはここでしか聴けませんでしたので、そういう価値がありましたし、今でも、あります。
3.と4.は’62と’63年のスタジオ録音です。
そして4.After The Rain はその印象的なタイトルと美しいバラード演奏で発売当時から有名になりました。

*この記事は動画をリンクすること無しで仕上げたいと思っていたのですが、この曲〈After The Rain〉 の余りにも良く作られた動画がありましたので、添付します。 コルトレーンの墓石の映像まで写っています…。

■Coltrane ーーーシンプルな名前だけのジャケット。

1曲目が〈Out Of This World〉で2曲目が〈Soul Eyes〉で分かるように若干バラード・アルバム。

しかしコルトレーンのソロ、エルヴィンのドラムが、下に書く〈Ballads〉などとは全然違います。
勿論こちらの方が遥かにコルトレーンらしいアルバムです。

 

Ballads など

以下の3枚は日本で人気があるようです。
(個人的にはお勧めできません^^)

特に〈Ballads〉は日本ではコルトレーンのアルバムで一番売れているアルバムだそうです。

売れているのはひとえに「聴き易い」からでしょう。

*この3枚はいわゆる「企画盤」です。会社、プロデューサーの指示に従って作ったアルバムです。そのこと自体が悪いとは言いません。
しかしImpulse では、他に凄いアルバムが目白押しなので、この3枚が生ぬるく感じてしまうのです。
「バラード演奏が好き」というのは分かります。私もコルトレーンのバラード演奏は好きです。しかしインパルスには、この3枚以外にもっとコルトレーンらしいアルバムがあります。

ジョニー・ハートマンとの1枚はコルトレーンとしては珍しい「歌伴奏」として貴重ではあります。

Ballads

Duke Ellington & John Coltrane

John Coltrane And
Johnny Hartman

■やはり書き始める前の想定より長くなりましたので、この後は

⇒ インパルス時代のジョン・コルトレーン(その2)

という記事で続けたいと思います。

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