フリージャズ【FREE JAZZ】とは何だ?=アヴァンギャルド・ジャズ=前衛ジャズを聴く

      2017/03/29

フリージャズというジャンルがあります。

私は系統的にフリージャズを聴いてきた訳ではありませんが、一応の知識はありますので、ここ半世紀ほどの間に発表された代表的なフリージャズ作品をご紹介します。

*お断りしておきますが、中には限りなく騒音(ノイズ)に近いものもあります。
再生されても、「これは・・・ちょっと」と思われたら遠慮なくストップされてください。

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言葉で説明するより先に、まず一つお聴きください。
オーネット・コールマンのダブル・カルテットによるタイトルもズバリ〈FREE JAZZ〉です。
このアルバムは私自身が初めて聴いた、いわゆるフリージャズだったと思います。

オーネット・コールマン

いかがでしょうか? 意外にまとも?な印象でしょうか。

●左チャンネル:オーネット・コールマン(アルトサックス)、ドン・チェリー(ポケット・トランペット)、スコット・ラファロ(ベース)、ビリー・ヒギンズ(ドラムス)

●右チャンネル:エリック・ドルフィー〈バス・クラリネット)、フレディ・ハバード(トランペット)、チャーリー・ヘイデン(ベース)、エド・ブラックウエル(ドラムス)

という8人のプレイヤーによる演奏です。録音は1960年。

ジャケットもなかなか洒落ていて、中にはジャクソン・ポロックの絵画が大きくフューチャされていました。ポロックはアクション・ペインティングで有名な抽象画家です。

オーネット・コールマンの演奏は、他のレコード「ジャズ来たるべきもの(1959年)」「ゴールデンサークルのオーネット・コールマン〈1965年)」等々色々ありますが、そのアルトはなかなか良い音だし、その音楽も楽しいと言ってもよいものです。この〈FREE JAZZ〉というアルバム以外はとてもフリージャズのジャンルに入れるような演奏とは思いません。

 

*1曲聴いたところで「そもそもフリージャズってナニ?フリージャズの定義は?」
ということを考えてみます。(難しいですが)

そもそもフリージャズって?

「フリー」というからには、何らかの約束事から自由になりたい演奏だと思っていいでしょう。

何から自由になりたいのか? 思いつくことを書いてみます。

1.音階(キー)からのフリー。

2.コードあるいはコード進行からのフリー。(もしくはモードからのフリー)

3.リズム(律動)からのフリー。

大体この3つでしょう。
あるいはこの全てからのフリー。そうすると全くのデタラメになると思われるのですが…。

ここで、一人でやるのか、集団でやるのかという問題があります。 一人ならどうやっても一応良いのですが、複数でやる場合はそこに何らかのルールがないと、音楽の調和がなくなる訳です。複数の奏者が勝手なことをやれば、限りなく騒音に近づく訳で、聞かされる方はたまらないということになります。(もはや音楽ではない?)

もう一つ有り得るのは、
4.そもそも最初から感覚が狂っている、または狂ったような演奏をする。

ということが考えられます。(天才と狂人は紙一重みたいな言い方があったと思いますが、その狂人のほうに近い人)
次に挙げるプレイヤーがそんなタイプだと思われます。

アルバート・アイラー

アイラー以外の奏者は少なくとも意識的に「フリージャズ」をやっていると分かるのですが、アイラーだけは、どこまで意識的なのかその点すら疑問です。

まあ1曲聴いてください。アルバム〈Spiritual Unity〉から〈Ghosts〉

自分のやりたいようにやったら「フリージャズ」と呼ばれる音楽になってしまう…とう感じがします。違う言い方をすると、自分では普通に演奏しようと思っているのに、何故かこんな風になる…みたいな。

もう1曲聴きましょう。
〈Spirits Rejoyce〉これは聴き始めたら最後まで聴いてくださいね。そうでないと何故ここに挙げるのか理解して頂けないことになりますので。

演奏メンバーはAlbert Ayler (Tenor Saxophone),Charles Tyler (Alto Saxophone),Gary Peacock (Bass),Donald Ayler (Trumpet),Henry Grimes (Bass),Sunny Murray (Drums, Percussion)

アイラーは「変死」と言われるような死に方をして、もう50年近く経つのですが未だに根強いファンがいるようです。(これを聴いてファンになる方がいたりして…)

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次に行きます。

山下洋輔

日本が誇る山下洋輔です。
山下をフリージャズに入れるかどうかは疑問があります。アイラーとは逆にものすごく意識的だからです。でも、面白いから聴きましょう。

山下洋輔(ピアノ)、坂田明(アルトサックス)、森山威夫(ドラムス)のトリオです。

もう1本聴きましょう。

楽しいですね。山下洋輔は見る楽しみがあります。(だから動画2連発にしました)

そういう意味でエンターテイメント的だと感じます。

 

ジョン・コルトレーン

コルトレーンは1967年の死の2年前に「アセンション」(Ascension:昇天でしょうか、題名からしてヤバイですね(笑))というアルバムを出しました。
このアルバムは「偉大なる失敗作」と呼ばれることが多いです。聴いてみましょう。

先ほどの「フリージャズ」を定義しようとする時に書き忘れましたが、ジャズはもともと即興演奏(インプロビゼーション)が身上みたいなところが大きい音楽なのですが、その即興がフリーに向かうということは多いと思います。 これを聴くと「集団即興演奏はこうなる」という演奏だと思います。

● コルトレーンの死の5ヶ月前の演奏を聴いてみましょう。
〈Interstellar Space〉 私は実はこれは余り「フリー」だと思わないのですが。ドラマーのラシッド・アリとのデュオです。

いやー、素晴らしい演奏だと思います。そして音楽的だと思います。

(*個人的経験:うつ病の時にこのアルバムを聴いて、少し安心しました。そういう意味では恩があるアルバムです^^)

 

アート・アンサンブル・オブ・シカゴ

レスター・ボウイーが率いるArt Ensemble Of Chicago です。

自分で挙げておいてこう書くのもおかしいですが、彼らの音楽はアンサンブルとグループ名に入っている通り、計算された調和のある演奏だと思います。つまりフリージャズではない、と思います。フリーのような音は出しますが、フリーではない。
(フリーどころか譜面に書いて、その通りやっているのじゃないかと思うくらいです)

フリージャズで検索すれば、必ずこのAEOCの名前が挙がるので、一応ここに挙げて1曲聴きたいと思います。

非常に調和の取れた音楽だと思います。

セシル・テイラー

セシル・テイラーについては、ウィキペディアからの引用にさせて頂きます。

セシル・パーシヴァル・テイラーCecil Percival Taylor1929年3月25日-)はアメリカ人のピアニスト、詩人。クラシック音楽に基づく教育を受けているが、テイラーは一般的にはフリー・ジャズの先駆者として認識されている。テイラーの音楽は、極めて旺盛な生命力や精力を感じさせるものであり、また、肉体的存在を意識させる方法論、複雑でかつ即興によって創り出された音、塊として聞こえてくる音塊、極めて複雑な複層リズム、こうした要素が特徴だと考えることができる。テイラーのピアノ演奏の技術は、長らくパーカッションにたとえられてきた。例えば、「88個の異なる音階に調整されたドラムズ」(標準的なピアノの鍵盤数のことをさして言っている)と表されたりしている。また、テイラーは、「クラシックの現代音楽に必要な教育を受けたアート・テイタム」などと言い表されてもきた。

 

↑何だか英文を下手に翻訳したような文章ですが。

このアルバムのメンバー気になりますよね。

Cecil Taylor (piano); Jimmy Lyons (alto saxophone); Bill Dixon (trumpet); Henry Grimes, Alan Silva (bass); Andrew Cyrille (drums). でした。1966年録音です。

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アーチー・シェップ

コルトレーンの弟子みたいな存在(?)のシェップが1967年に、ドイツのドナウエッシンゲンという現代音楽のミュージック・フェスティバルに出た時のライブ録音を聴きます。

2曲入っていますが、〈One For The Trane: part Ⅱ〉において、 アブストラクトな音のあと8分過ぎ辺りから〈The Shadow Of Your Smile〉のメロディが聞こえてきます。
それがやけに美しく感じられるということになります。
コルトレーンの死の3か月後の演奏です。コルトレーンへのレクイエムと聴くことができます。

ただ、これも余りフリーだとは思わない演奏です。

(A.シェップという人は、本来伝統的なタイプのサックス奏者だと思います。意識的にアブストラクトな音を出していることがはっきり分かるタイプです。最初のA.アイラーとはそこが全く違います。)

シェップは普通に吹くと、サックスの音がキレイですね。〈ボステナー〉の系譜に入るような伝統的ジャズらしい音だと思います。

 

阿部薫

阿部薫の楽器はアルトサックスです。

紹介する曲は「暗い日曜日」Gloomy Sunday というスタンダード・ナンバーなのですが、メロディを吹いているところ以外のいわゆるフリーク(freak)な音を出しているところですが、サックスを吹いていると、時に無茶苦茶なノイズを出して見たくなる時があります。私がやってみたらちょうどこのような音になりました…。などと書いたら叱れますね。阿部の演奏は勿論それだけではないですから。

【参考】ビリー・ホリディが歌う〈Gloomy Sunday〉

高柳昌行

阿部薫とも共演していたギタリスト高柳昌行です。

高柳昌行  & New Directions – Piranha 1969年
これは結構カッコいい音楽だと思います。
(*高柳はレニー・トリスターノに心酔していたという話もあります。)

デレク・ベイリー

日本人ギタリストを紹介しましたので、イギリス人のギタリスト、デレク・ベイリーを。

この人はフリーというより「前衛音楽」という言葉が相応しい感じがします。
「前衛の教祖」のように呼ばれることもある特異なギタリストです。

まとめ

●フリーキーな音(サックスの「ブギャー!」、ピアノを打楽器のように叩く音など)があると、フリーと思われがちですが、そうではない、そういう音の問題ではなく、その音楽が何らかの束縛から自由になりたい、と志向する音楽がフリージャズだと思って書き始めました。

しかし、正直に言って、書いていて分からなくなってきました。やはり定義があいまいだったと思います。

今、ちょっと調べましたが、こんな文がありました。

音階もコードもリズムも関係ない。各人、まったく好きなように演奏していい。

頼りはミュージシャンの直観のみ。それでどんな音楽ができあがるかやってみよう・・・それがフリージャズです。

↑ これに当てはまるフリー音楽が果たしてどれくらいあったでしょうか?^^

 

●音楽を聴いていると、思いのほか「フリー」ではない気がしました。
やはりある規則の中で演奏しているように感じます。それはそうだろうという気もします。商業的レコードとして出している訳ですから、「デタラメ」では、出せないですよね。

特にリズムはキチンと守られているようです。複数の人でやっていいて、リズムをフリーにすると、もはや音楽にならないからでしょうか? この辺を突っ込むためには現代音楽なども聞かないと語れないようです。

現代音楽だとジョン・ケージの「4分33秒」とか、あるんですけど。

これは忘れてください^^。

●ここに挙げた中では、先天的異端者アルバート・アイラーを別格にして、コルトレーンの「アセンション」とデレク・ベイリーの音楽が最もフリーな音楽かと思いました。

●FREE JAZZ:「自由であることは難しい」ということが一番感じたことです。

ルールがあってそのルールに従っているほうが、よほど楽だと思います。---このことは、他の様々なジャンルや事象にも当てはまることだと感じます。

 

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