夏の終わりのジャズ:ロン・カーターの「スターダスト」からオスカー・ペティフォードの名曲「タマルパイス」を
暑かった2018年(そして平成最後)の夏 も終わろうとしています。
夏の終わりは何となく寂しく物悲しい気分になります。
そんな気分に合うジャズを、手持ちのCDの中から探してみました。
RON CARTER / Stardust
偉大なるベーシスト、ロン・カーターのアルバムに行き当たりました。
Contents
ロン・カーター「スターダスト」
BLUENOTEの日本版という立場のレーベルsomethin’else から出ています。
なので、プロデューサーは行方均(日本で、数少ない信頼出来るプロデューサー)。
1.Tamalpais (Oscar Pettiford)
2.The Man I Love (George Gershwin)
3.Nearly (Ron Carter)
4.Bohemia After Dark (Oscar Pettiford)
5.Tail Feathers (Ron Carter)
6.Blues In The Closet (Oscar Pettiford)
7.That’s Deep (Ron Carter)
8.Stardust (Hoagy Carmichael)
・演奏者 personnel
Ron Carter;bass ロン・カーター
Benny Golson ; tenor sax ベニー・ゴルソン
Joe Locke ;vibe ジョー・ロック
Roland Hanna ; piano ローランド・ハナ
Lenny White ; drums レニー・ホワイト
帯に次のように書いてあります。
旧友ベニー・ゴルソン、ローランド・ハナとともに
ベースの巨人、オスカー・ペティフォードに捧ぐ。
収録されている8曲のうち、3曲がオスカー・ペティフォードの曲です。
タマルパイス Tamalpais
そして1曲めに置かれているのが、オスカー・ペティフォードの曲「タマルパイス」です。
この曲を知ってある方は少ないと思います。私もこのアルバムで聴くまで知りませんでした。
初めて聴いて驚きました。オスカー・ペティフォードのような人がこんな素晴らしい曲を書いていたとは!
このアルバムのライナーノートは寺島靖国氏が書いているのですが、この曲について「オスカー・ペティフォードのベツレヘム10インチ盤『ベイシカリー・デューク』に収録されている」と書いてあります。
こういうことを知っている人はどんどん少なくなっていますね。ネットで調べてもまず分からない情報です。
この曲、メロディが美しくて、哀愁があります。
そしてベニー・ゴルソンのサックスも、哀愁にあふれています。
ローランド・ハナのピアノも。
ヴァイブを入れたことも成功していると思います。
夏の終わりに聴くジャズとして推薦します。
オスカー・ペティフォードという1922年生まれのベーシストがこんな曲を作れたことが驚きです。
ちなみに寺島靖国氏は「ジューイッシュ・メロディ」だと書いています。
Oscar Pettiford(1922年9月30日 – 1960年9月8日)はアメリカ合衆国のジャズ・ダブルベース奏者・チェロ奏者・作曲家。ビバップ奏法での最初期の演奏者の一人。
—–Wikipedia
ペティフォードは37才で亡くなっているんですね。
◯「タマルパイス」の意味を調べたら、サンフランシスコ郊外にある小さな山ということが分かっただけでした。
ボヘミア・アフター・ダーク Bohemia After Dark
さてこのアルバムには「ボヘミア・アフター・ダーク」も入っています。
おそらくこの曲がペティフォードの作として一番有名でしょう。
私も以前この曲に関する記事を書いています。
ジャズの名曲「ボヘミア・アフター・ダーク」そして「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」 ⇨
この曲もまた、不思議な雰囲気を持った曲です。
楽しさ、華やかさ、猥雑さ、そしてやはり哀愁です。
ゴルソンのサックスがいいですね。
余談ですがベニー・ゴルソンは「ファイブスポット・アフター・ダーク」という曲を書いています。そのことは先程の私の過去記事に書いています。
*「ボヘミア」も「ファイブスポット」も当時NYにあったcafe の名前です。
cafe と言っても実際はジャズクラブでした。
オスカー・ペティフォード自身による「ボヘミア・アフター・ダーク」はこちらで聴くことができます。
せっかくですからそれも聴きましょう!
オスカー・ペティフォード Bohemia After Dark
ブルース・イン・ザ・クローゼット Blues In The Closet
あと1曲だけ聴きましょう。
こうなったら、あと1曲入っているペティフォードの曲〈Blues In The Closet〉にしたいと思います。
ロン・カーターが作った曲なども入っているのですが、ここはペティフォードで統一です。
この曲 バド・パウエルの演奏などでも有名です。
ここでもピアノ、ベース、ドラムスのトリオで演奏されます。
ローランド・ハナのピアノが活躍します。
夏の終わりのブルースです。(←無理やり^^)
まとめ
◯ロン・カーターのグループが演奏する、オスカー・ペティフォードの3曲はいかがだったでしょうか?
こんなアルバムが21世紀に入ってからも作られるということは、嬉しいことです。
◯ロン・カーターはペティフォードに会ったことも、生の演奏を聴いたことも無かったそうです。
しかし、そのベーシストとしての偉大さ、作曲家としての素晴らしさを心から愛しているからこそ、このようなアルバムを作ったのでしょう。
ジャズという音楽のエターニティ(永遠性)を感じます。
何しろオスカー・ペティフォードは1960年に亡くなっているのですから。
「夏の終わり」というフレーズは強引だったでしょうか?
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