ジャズの名曲「ボヘミア・アフター・ダーク」そして「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」
BOHEMIA AFTER DARK ボヘミア・アフター・ダークという曲。
ベーシストのオスカー・ペティフォードが作った曲です。
Contents
Bohemia After Dark というケニー・クラークのアルバム
アルバムとしてはケニー・クラークのこのアルバムが有名です。
この時代錯誤なジャケットを見て下さい! (Bの位置が・・・)
このアルバム録音されたのは1955年です。
確かに古い、60年以上前の録音です。
しかしこのジャケが醸し出す雰囲気はもっと古い感じです。
そのアナクロ感が今日のテーマです。(本当か?)
まあ、とにかくこのアルバムの1曲目、問題の「ボヘミア・アフター・ダーク」を一発ぶちかましましょう。
メンツは
Nat Adderley (cor)
Donald Byrd (tp)
Julian “Cannonball” Adderley (as)
Jerome Richardson (ts,fl)
Horace Silver (p)
Paul Chambers (b)
Kenny Clarke (ds)
注目はキャノンボールとナットのアダレイ兄弟とピアノのホレス・シルバーでしょうか。
以下はAmazonのディスク・レヴューにlemonearth氏(わたしです)が書いたものです。
1曲目、Bohemia After Darkのメロディーが流れだすと、一気にそちらの世界に連れていかれる。
ドアを開くと、夜の時間の始まり。大人の時間の始まり。
煙草の煙、酒の匂い、女の声。もしかしたらヤクの売人も混じっているかも。今のジャズに欠けているものがあるとすれば、このある種いかがわしくも華々しい雰囲気かもしれない。
そして何とも言えない高揚感みたいなもの。
この空気感はどこへ消えてしまったのだろう?
何故今の人達にこの雰囲気が出せないのか?
多分ジャズマンそのものが背負っているもの、生き方みたいなものが反映しているからだろう。キャノンボール・アダレイの新人とは思えない上手さ。
ホレス・シルバーが創る独自の世界。時代の雰囲気を伝える名盤。
何故ボヘミアなのか?
何でボヘミア・アフター・ダークなのか?ボヘミアン?とか思ったトーシロのあなた。
実は当時ニューヨーク・シティに Cafe BOHEMIA というクラブがあったのです。
で、そのハウス・コンボ・リーダーだったのがこの曲を作ったベース奏者、オスカー・ペティフォードなんです。
ペティフォードは自分のバンドのクロージング・テーマとしてこの曲を作り、実際に演奏の最後の曲としてこれをやっていたのです。
George Wallington Quintet at Bohemia
同じ1955年に白人ピアニスト、ジョージ・ウォーリントンがクラブ・ボヘミアで実況録音盤を作っていて、これ↓なんですけど、最後の曲として「ボヘミア・アフター・ダーク」を演奏しています。
演奏聴きます?
こっちのメンツは
Donald Byrd (trumpet)
Jackie McLean (alto sax)
George Wallington (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)
さっきのと共通してるのはペットのドナルド・バードとベースのポール・チェンバースですね。
チェンバースはこの時20才の新人です。
さっきの方が「いかがわしさ」がありましたね。
こちらはちょっと清潔感が出ちゃってる。
カフェ・ボヘミアでのライブ盤というと、他にもアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズがライブしてました。これです。
これもまた1955年です。結成したてのアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ。
ピアノがやはりホレス・シルバーで2トップはケニー・ドーハムのtp,ハンク・モブレーのtsですねぇ。
いやー、時代を感じます。若い時代です。1955年って昭和で言えば30年ですよ。
昭和で言っても仕方ないか^^
ファイブ・スポット というクラブもあった
そして Five Spot Cafe というのもあったんです。
何でそんな話をするかと言えばーーー
Five Spot After Dark という曲があるんですよ!
こちらを作ったのは「あの」ベニー・ゴルソンなんですね。
あのステキなサックス吹きのゴルソンは曲を作らせても一流でした。
I Remember Clifford を作曲したことは余りにも有名ですね。
で、この Five Spot After Darkもヒットするんです。
Curtis Fuller /Blues ette
こちらは少し後の1959年なんですけど、トロンボーン奏者のカーティス・フラーのアルバム、BLUES ette ブルースェット で世に出るんです。
1枚目に紹介したアルバムとの共通点はレコード会社が SAVOY(サヴォイ)である点です。
いやこれがまたいい曲でねぇ。流行るはずです。
聴きましょう。ふぁいぶすぽっとあふたーだーく。
こちらのメンツは
Curtis Fuller( trombone)
Benny Golson( tenor sax)
Tommy Flanagan( piano)
Jimmy Garrison( bass)
Al Harewood( drums)
くーっ、たまらん!の名曲です。
ちゃんと作曲者、ゴルソンも入ってます。そしてピアノがトミー・フラナガン。
さすがにこちらは洗練されて、かなりモダンですよね。
Mt.Fuji Jazz Festival
この曲、日本で余りにも売れたので、Mt.Fujiジャズフェスティバルなんかでも演奏されたりします。 動画見ましょ。ヒノテル(若い!)が入ってます。
テーマメロディが流れると聴衆から「おーっ」とどよめきが起きます。
それにしても豪華メンバーです。
ゴルソン=フラー=ヒノテル の3管で、生でこの演奏を聴けた人が羨ましいです。
ロン・カーターのベース・ソロも聴けますしねぇ。
ピアノのマルグリュー・ミラーもイイ。
そしてドラムスがビリー・ヒギンズさんですからねぇ。
まあ、こうして動画が見れることを喜ばなくちゃいけませんね。
で、またボヘミアに戻ったりして・・・
ボヘミアに戻るんですよ。
何故ならこの曲、他にもイイ演奏があるから。
ロン・カーター
ベースのロン・カーターのアルバムから。
ここで、すぐ前のMt.Fujiでファイブスポットをやっていたロン・カーターとベニー・ゴルソンがボヘミアをやっているのです。(ややこしい?)
これはなかなかスマートで知的なボヘミアですね。
(スマートで知的とは、英語なら同語反復ですね)
カーターはベースの先輩オスカー・ペティフォードを尊敬したようで、このアルバムでペティフォードの曲を3曲も演奏しています。(Tamalpais,Bohemia after dark,Blues in the closetーーどれもいい演奏なので是非お聴きください)
キャンボール・アダレイクインテットinサンフランシスコ
一番初めのケニー・クラークのボヘミアにも参加していたアダレイ兄弟、自分たちのバンドを作ります。
そして1959年サンフランシスコでライブ・レコーディングされたのが、このアルバムです。
この中でも、ボヘミア・アフター・ダークを演奏しています。
(これはフルアルバムです。一番最後40:36からボヘミアです)
Recorded live at The Jazz Workshop, San Francisco, California on October 18 & 20, 1959.
Cannonball Adderley (alto saxophone)
Nat Adderley (cornet)
Bobby Timmons (piano)
Sam Jones (bass)
Louis Hayes (drums)
「モーニン」でファンキー・ブームを作った立役者のピアニスト、ボビー・ティモンズが参加しています。
テンポも速くなり一番初めとは随分雰囲気も変わってきています。
まとめ
BOHEMIA AFTER DARK
FIVE SPOT AFTER DARK
という2曲を聴いてもらいました。
あの「時代の雰囲気」が少しでも伝わったら幸いでした。
(*いや、筆者は子供の頃なんですけどね^^後追いで聴いてるのです)
約60年前のプレイヤーたちがこんなことをやっていたんだと。
それでは、また!
クロマチックハーモニカ/ 徳永 有生
追加)クロマティック・ハーモニカによる「ボヘミア~」を追加させて頂きます。
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Comment
[…] 曲の詳しい解説などはこちら!クロマチックハーモニカの最低音域の辺りからスタートして、とてもダークですが、カッコいいメロディーになっています。奏者や生徒の皆さんはよくご […]
クロマテック・ハーモニカによる演奏、素晴らしいですね!