聴きやすくて楽しいジャズ:Phil Woods Plays Michel Legrand (フィル・ウッズ・プレイズ・ミシェル・ルグラン)
今回は’70年代にアルトサックス奏者フィル・ウッズがミシェル・ルグランとコラボレーションした2枚のアルバムを紹介します。
Contents
ミシェル・ルグラン
Michel Legrand(1932年2月24日 – )はフランスのクラシックピアニスト、ジャズピアニストで、数々の映画音楽を作曲したことでも有名です。
パリ国立高等音楽院でナディア・ブーランジェのピアノ伴奏クラスにおいて学び、1950年代からジャズ、映画音楽の分野で活動。ジャック・ジャック・ドゥミ監督と共に手掛けた『シェルブールの雨傘』、『ロシュフォールの恋人たち』をはじめアカデミー歌曲賞を受賞した『華麗なる賭け』(主題歌『風のささやき』)、『思い出の夏』、『愛と哀しみのボレロ』(フランシス・レイとの共作)、『栄光のル・マン』『ネバーセイ・ネバーアゲイン』など数々の映画音楽を創作し、20世紀後半のフランス映画音楽界を代表する存在である。携わった作品の数はテレビも含めると200以上に上る 。ーーーWikipedia
フィル・ウッズ
アメリカの白人アルト・サックス奏者。
’50年代に〈Woodlore〉〈Warm Woods〉〈Phil Talks With Quill〉などの傑作を残した。
しかし、アメリカで仕事の口が無くなり、1967年ヨーロッパに渡る。
ウッズがフランス人を中心に結成した Phil Woods and his European Rhythm Machine はヨーロッパで好評を博し、何枚かの傑作アルバムを残す。
アルバム Images
あの素晴らしいグループだった、フィル・ウッズ&ヨーロピアン・リズム・マシーンを解散したウッズは’73年にアメリカに戻ります。
しかし、やはりアメリカでは仕事がありません。
そこにミシェル・ルグランから録音予定のアルバムに参加してくれないかと依頼があり、喜んで参加します。それが次のアルバムです。
ここでのルグランの曲〈You Must Believe In Spring〉(先に挙げた『ロシュフォールの恋人達』のために作られた曲)でのウッズの演奏は素晴らしいもので、二人の信頼感が高まりました。
そして、1975年ルグランがフル・オーケストラで録音するこのアルバム「イメージ」にもウッズが参加することになります。
ウッズは全曲に渡ってたっぷりソロを取っています。
聴きましょう。アルバム1曲目です。 レオン・ラッセルの大ヒットをここで演っています。 ●ここで「おもいでの夏 The Summer Knows」に行きたいところですが、残念ですがアップされていませんでした。これはまた叙情的ないい演奏でした。 ●最後に置かれている〈Images〉という15分近いルグランの曲は、オーケストラ、ウッズのアルト、ルグランの美しいピアノと、ジャズ的に盛り上がる圧巻の演奏なのですが、長いのでここでは省略します。 ●ウッズが作った「ニコール」Nicoleという曲もキレイな曲です。 *先程の「おもいでの夏」とともに是非CDで聴かれてください。 ・スティーリー・ダン/うそつきケイティ/Doctor Wu ・ポール・サイモン/Still Crazy After All These Years ・ビリー・ジョエル/The Stranger/The Way You Are (素顔のままで) *あー、あの演奏はフィル・ウッズだったのか、と思う方もいるかもしれません。 次のアルバムは1978年のアルバム〈Le Jazz Grand〉 です。 このアルバムについて語る前に「ルグラン・ジャズ」と言えば1958年のこちらのアルバムが有名です。 こちらにはマイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンなども参加しているのですが、実はフィル・ウッズも入っていました。 Small Group と Big Band が表記されています。 Michel Legrand ミシェル・ルグラン(p,cod) Big Band には約20人の名前があります。 1曲目の「サザーン・ルーツ」は23分を超える大作なので、アップすることは控えますが、オーケストラ、ソロとも聴き所の多い曲です。 曲の初めからウッズが飛び出してくるLa Pasionariaを聴きます。 ●3曲目〈Malagan Stew〉はジェリー・マリガンをフィーチャーした曲です。 ●4曲目〈Iberia Nova〉はトランペットのジョン・ファディスをフィーチャーしたバラード曲です。 このアルバムから、ウッズが活躍している2曲を聴きました。 ’75年と’78年の2枚のアルバムから、ミシェル・ルグランのオーケストラの中でフィル・ウッズがソロを取る曲を中心に5曲を聴きました。 ウッズは2015年に亡くなるまで、バッパーとしての演奏を続けたアルトサックス奏者だったと思うのですが、ここではミシェル・ルグランという天才的なメロディー・メーカーとの巡り合いにスポットした選曲でした。 (追記)そのルグランも2019年1月に亡くなりました。 ★最後まで読んでくださってありがとうございます★
(カーペンターズで大ヒットした曲)
I Was Born In Love With You (Michel Legrand)
風のささやき The Windmills Of Your Mind
ルグランが率いるオーケストラをバックにウッズ、気持ちよく吹いています。
この曲はたくさんの歌手に歌われることになりました。
ソング・フォー・ユー A Song For You
愛のプレリュード We’ve Only Just Begun
(アーティスト/アルバム名/曲名)
ジャズ・ルグラン Le Jazz Grand
このちょうど20年後に作られたのが「ルグラン」と「ジャズ」を入れ替えた「ジャズ・ルグラン」なのです。
Small Groupは以下です。
Gerry Mulligan ジェリー・マリガン (bs)
Phil Woods フィル・ウッズ (as)
Jon Faddis ジョン・ファディス (tp)
Ron Carter ロン・カーター (b)
Grady Tate グラディ・テイト (ds)
Portinho ポルティーニョ (perc)
リズムセクションにロン・カーター、グラディ・テイトなどの名前が入っています。
とけい草 La Pasionaria
ウッズのバッパー魂が炸裂しています。(世の中はフュージョン全盛時代でした)
オーケストレーションも見事にマッチしています。
テイトのドラムがスピード感に溢れています。
パーカッションの参加も効果的でした。バスケット Basquette
ジャズ・ピアニストとしてのルグランの演奏が聴けます。
マリガン→ウッズ→・ファディスのソロ廻しもかっこいいです。
まとめ