マイルス・デイビスの初期代表作を聴こう!バグス・グル-ブ、マイルストーンズなど
■JAZZの帝王と呼ばれた男、マイルス・デイビスの音楽を時代別に聴く企画です。
■この回では初期の作品を、全ては紹介できないですが、代表的なものを出来るだけご紹介させて頂きます。
■マイルスのキャリアは1940年代半ばに始まるのですが、チャーリー・パーカーのサイドメンとしての頃のものなど、見習い時代(?)のものは割愛します。
■また1948年の〈Birth Of The Cool〉「クールの誕生」という作品は歴史的には有名ですが、聴いて面白いものではないので、これも省略です。
◎ここでは1951年~1958年(Prestige record,Columbia record の初期、一部BlueNote Record)の録音にスポットします。
Contents
DIG (1951)
DIG というタイトル、ジャケット・デザイン、メンバーにソニー・ロリンズ、ジャッキー・マクリーン、アート・ブレイキーというメンバー。
どこを見てもマイルスの第1作という雰囲気が漂う作品です。
ただ、いくら’51年と言っても、録音が良くないのが残念です。
Miles Davis Vol.1 (BLUENOTE) (1952,53)
迷いましたがやはりこれを外すわけにはいきません。
〈Tempus Fugit〉〈C.T.A〉などバップ期の名曲がずらりと入っています。が、やはり聴くのはこの曲〈Dear Old Stockholm〉
メンバーは Miles(tp),J.J.Johnson(tb),Jackie McLean(as),Gil Coggins(p),Oscar Pettiford(b),Kenny Clarke (ds) 1952
若き日のジャッキー・マクリーンのソロ、J.J.ジョンソンのソロなどグッとくるものがありますね。マイルスはすでに自分のスタイルを模索、確立しつつあるようです。
Bag’s Groove (1954)
これは間違いない名盤です。
メンツを見てください。
マイルス・デイビス(tp)
ミルト・ジャクソン(Vib)
セロニアス・モンク(p)
パーシー・ヒース(b)
ケニー・クラーク(ds)
おっとこのメンツ、ピアノがジョン・ルイスならMJQですね^^
ブルースの表題曲を聴いてください。
Bags Groove
この曲以外ではソニー・ロリンズが加わり、ピアノがホレス・シルバーに替わります。
こちらのメンバーでの演奏も素晴らしいので、ロリンズの曲〈Oleo〉を是非聞きましょう。
oleo
ロリンズ、太く、逞しく、かっこいいです。これぞJAZZでしょうか。
Miles Davis & The Modern Jazz Giants (1954)
これもねー。素晴らしいのですよ。
聴いてください。お願いします。
〈The Man I Love (take2)〉です。
●この曲実は先ほどの〈Bag’s Groove〉と同じ日(1954/12/24←クリスマスセッションと呼ばれます)に
同じメンバーでやっているのです。
ややこしいですね。1枚のレコードにまとめてくれればいいのにと思います。
しかし、何といい演奏でしょうか。
ピアノのモンクが途中で演奏を止めてしまいますが、どうしたのでしょうか?最初は戸惑った感じがあったのが、いい感じになったところで、手がとまります。まあ、モンクさんは何があってもおかしくない人ですが。(こんなところに書くのもなんですが、モンクは統合失調症だったと思われます)
The Musings of Miles (1955)
〇 マイルス(tp)、レッド・ガーランド(p)、オスカー・ぺティフォード(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)のカルテット。
アルバム1枚がマイルスのワン・ホーンだけというのはこのアルバムだけ。
そういう意味でも貴重かも。
〇文字も何も書いてないジャケットがかっこいい。
〇私が持っているCDは↑と同じでRudy Van Gelder Remastered なのですが、1955年R.V.Gelder録音。そして53年後の2008年に同じR.V.Gelderの手によってリマスターされています。これってすごいことですよね。
〇村上春樹の処女作「風の歌を聴け」の中で、主人公が知り合った女の子が働くレコード店に行って、数枚のレコードを買う中にこれが入っていました。その時主人公は『「ア・ギャル・イン・キャリコ」が入ったマイルズ・デイヴィス』と注文していました。
〇1曲目の〈Will You Still Be Mine?〉を聴きましょう。
Round About Midnight (1955)
出ました。この決定的にカッコいいジャケット!
JAZZという音楽を代表するようなジャケです。
しかも内容も最高!
あのマイルス・デイヴィス・クインテットです。
「あの」というのは以下のメンバーです。
マイルス・デイヴィス(tp)
ジョン・コルトレーン(ts)
レッド・ガーランド(p)
ポール・チェンバース(b)
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
余りにも有名なモンクが作った表題曲をかけるのが普通でしょうが、
あえて、Miles Davis Vol.1 (BLUENOTE)でかけた〈Dear Old Stockholm〉を聴きましょう。比較のためです。
’52年の録音も朴訥として良かったのですが、3年後のこの録音、はるかにハード・ボイルドでかっこいいものになっています。コルトレーンのソロも聴きものです。’55年のコルトレーン。
Prestige でのマラソン・セッション4枚
そのマイルス・デイヴィス・クインテット、Prestige レコードとの契約を早く終了させるために何と2日間で4枚ものレコードを吹き込んでしまいます。
1956年5月11日と10月26日の2日間です。
以下の4枚です。
そんな作り方をしたにもかかわらず、4枚がすべて名盤といっていいレベルの作品ですので、驚きます。
どれを取り上げるか迷うのですが、3曲にします。
〇〈It Never Entered My Mind〉 from Workin’
〇〈Four〉 from Workin’
〇〈You’re My Everything〉 from Relaxin’
メンバーは先ほどのクインテットです。
念のためにもう一度書きます。
マイルス・デイヴィス(tp)
ジョン・コルトレーン(ts)
レッド・ガーランド(p)
ポール・チェンバース(b)
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
It Never Entered My Mind
Four
You’re My Everything
You’re My Everything で最初イントロをレッド・ガーランドがシングルトーンで弾き始めます。するとマイルスが「ヒュッ」と口笛を吹いて演奏を止め「ブロック・コード」と言います。
ガーランドはブロック・コードで弾きなおします。 そちらのほうがかっこいいのです。
マイルスはいつも正しいのです! それにしても、このイントロ部をカットせずに収録したPrestige Record の判断に感謝です。 スタジオの雰囲気をこうして聞くことができます。
1958年のマイルス
1958年にはいい録音がたくさんあります。
マイルス・コレクションをするなら次の4枚は外せないでしょう。
①
②
③
④
①からキャノンボール・アダレイ(as)が加わり増々音が豊かになります。
タイトル曲〈Milestones〉を聴きましょう。
milestones
えー、こんなことをやっているとキリがないので、曲はあと1つにします。
③④ではピアノにビル・エヴァンズが加わって、〈Kind Of Blue〉に繋がってゆきます。
③のジャケット・イラストは池田満寿夫が手掛けています。
最後の1曲は余にも有名な名曲の名演奏〈枯葉〉です。
②に入っています。このアルバムはキャノンボール名義になっていますが、内容的にはマイルスのアルバムです。
Autumn Leaves
メンバーはそこ↑に書いてあります(手抜き^^)
*注目はピアノのハンク・ジョーンズ、ドラムスのアート・ブレイキーでしょうか。
まとめ
こうして、1951~58年のマイルスのアルバムを紹介していると、本当にいいアルバムが多いことにあらためて気づかされます。
もっと紹介というか全アルバムを挙げたくなったほどでした。
例えば割愛したものに、ミルト・ジャクソンとのアルバム
なども筆者が好きなアルバムです。(1955年)
他にも〈Walkin’〉や〈MILES〉(俗に「小川のマイルス」と言われるもの)などもありましたが、割愛させてもらいました。
■マイルスについて書いた記事(年代順)
1.⇨ (この記事です)マイルス・デイビスの初期代表作を聴こう!バグス・グル-ブ、マイルストーンズなど
3.⇨帝王と呼ばれた男・モードジャズからエレクトリックへの移行期
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