ジャズの名盤:ギター編(ラテン系、フュージョン系からメインストリーム・ジャズ・ギタリストまで)
皆さんはジャズ・ギターといえば誰の名前を思いつきますか?
ケニー・バレル、ジム・ホール、ウェス・モンゴメリーなどの名前が浮かぶ方も多いと思います。他にもたくさんいますよね。
だがちょっと待てよ。
ジャズ周辺音楽、特にラテン音楽にも目を向ければ、たくさんのギタリストの名前が出てきます。
考えてみると、ギターという楽器はジャズに限らず、【ポピュラー音楽】で最も使われている楽器だった。 うーん、してみると、ギターについて書こうとすると、一筋縄ではいかないことになります。
少し分類してみると、、、
1.ジャズ、メインストリームのギタリスト
2.いわゆるフュージョン系
3.ブラジル、ボサノヴァ系
4.スパニッシュ系
5.ジプシー系(というか、ジャンゴ系)
6.ブルース系
(フォークとロックはジャズと一番遠い音楽として、省きますーーこの辺の詳しい話は菊地成孔先生に聞いてください)
それぞれの「系」をどんどん追求していくと、どんどんその深い世界に入ってしまう。それでは主旨から遠ざかるので、ジャズに限りなく接近したギタリストに話を限ることにしよう。
ギターはそれだけ広い世界を持った楽器なんだなぁ、と改めて思う。
メインストリームのジャズ・ギタリストは一旦横に置いて、そういうジャズ周辺ギタリストを聴きながら,
ジャズギターに近づこうと考えます。
Contents
スタン・ゲッツと共演したギター
Stan Getz と共演したラテンのギターと言えばまず、Joao Gilberto(ジョアン・ジルベルト)を思い出します。何しろこの〈Getz /Gilbert〉というビッグ・ヒット・アルバムがありますから。
この盤の前に発売されたボッサアルバムで共演したのが Charlie Byrd(チャーリー・バード)とLuiz Bonfa(ルイス・ボンファ)でした。どちらもステキなアルバムで〈Getz/Gilbert〉がヒットする下地を作りました。
その2枚からチヤ-リー・バ―ドとの共演ので「ディサフィナ―ド」を聴きましょう。
〈Desafinade〉StanGetz(ts)-Charlie Byrd(g)
Album:Jazz Samba (1962)
ブラジル系ギタリスト
ブラジル系のギタリストで最もジャズ界で活躍したのがLaurindo Almeida(ローリンド・アルメイダ)。この人はレイ・ブラウンなどが参加したL.A.4にも入っていました。
◎他にBarden Powell などがいる。
◎ブラジル系だがヨーロッパで活動している好きなギターがいる。
イタリアのジャンニ・バッソと一緒にやっている、Irio De Paula(イリオ・デ・パオラ)。 共通して言えることは「哀愁」。
〈BLUE BOSSA〉Gianni Basso(ts),Irio De Paula(g),Cege Munari(ds),Giorgio Rosciglione(b),Riccardo Biseo(p)
Album:RECADO BOSSA NOVA (2007)
スパニッシュ系ギタリスト
スパニッシュ系にいくと、本来ギターの本場なので、たくさんの人がいます。
◎スーパー・ギター・トリオのメンバー3人は余りにも有名
Al Di Meola (アル・ディ・メオラ)この人は確かメキシコ系アメリカ人。(下の動画の中央)
Paco De Lucia (パコ・デ・ルシア)パコは2014年に亡くなりました。(左)
John McLaughlin (ジョン・マクローリン)ーこの人は英国人だが。(右)
Mediterranian Sundance
◎ドミニカ出身のピアニストMichel Camilo と共演したTomatito もいる。
ジャンゴ・ラインハルト系
この辺で登場するのがジプシー系
これはもう、Django Reinhardt(ジャンゴ・ラインハルト)の一人一ジャンル
か。
「しかしジャンゴ・フォロワーとも言える人たちが世界中に存在する」
◎有名な順に書くとThe Rosenberg Trio
この盤↑のサブ・タイトルは〈Tribute to Django Reinhardt〉
- Rosenberg Trio〈Bossa Dorado〉
◎フランスのサックス、バルネィ・ウィランと共演していたPhilip Catherine(フィリップ・カテリーン)もジャンゴ・リスペクト派だ。
◎他にRomane なども。
色々聴きましたが、これ→〈Standards〉が一番良いようです。
ベースがNiels Henning Orsted Pedersenのトリオ 。
◎私が住む九州にもSwing Amor というジャンゴ・フォロー・バンドがあるくらいですから、世界中に一体どれだけあるのやら。
ブルース系
◎ブルース系ギターですが、ここは深入りすると、厄介みたいですので、軽く流したいです。ジャズとの共演ありで John Lee Hooker でとどめましょう。
*白人ブルース系で、結構好きな人がいるんですが、Mike Bloomfield,Butterfield Blues Band,Stevie Ray Vaughan,Roy Buchanan など。しかし筋から外れるので止めておきます。
(Ray Vaughan の”Tin Pan Alley”はかなりジャズですね)
フュージョン系
フュージョン系 ですが、ここも色々なタイプがいてひとからげにフュージョンと呼ぶのもはばかられるのだが、便宜的にそう呼んで、名前を挙げるだけにさせてください。
George Benson
Earl Klugh
Lee RItenour
Larry Carlton
Larry Coryell
Cornell Dupree
Eric Gale
ジャズ・ギター
やっと、メインストリームのジャズギターになります。
◎まず、モダン・ジャズ・ギターはこの人から始まるというCharlie Christian
1941年の録音に既に全てがあることに驚きます。
◎Kenny Burrell
ケニー・バレルはブルージーにアタックする側面と優雅で静的な面の2つがある。その両方が大好きだ。で、2枚づつ4枚のCDを。
〈Saturday Night Blues〉K.Burrell(g).Stanley Turrentine(ts),Major Holley(b),Bill English(ds),Ray Barretto(conga)
Blue Bossa Album:Moon And Sand
◎Jim Hall
ジム・ホールにも多様な作品がある。
1枚目、大ヒットしたCTIでの「アランフェス協奏曲」
2枚目、ビル・エヴァンズとのデュオ”Undercurrent”
3枚目、Paul Desmond との共演シリ-ズも素晴らしい。これは〈Easy
Living〉
◎Wes Montgomery
ウエスのギター音を聞いてジャズギターが好きになった方も多いはず。ギター
奏法の革新者であり、大衆化の立役者。
◎Barney Kessel
◎Joe Pass
ジョー・パスは〈Virtuoso〉のようなスーパー・テクニックを見せるものよ
り、この2点のような抑えた語り口のほうが好きだ。
↑〈One For My Baby〉
◎Jimmy Raney
ジミー・レイニーはギターの本来の音を最もキレイに聞かせてくれる。
2枚目のVisits Paris のジャケットは所有欲をかきたてる。
〈There Will Never Be Another You〉
Album:Visits Paris Vol.1
Jimmy Raney (g), Sonny Clark (p), Red Mitchell (b), Bobby White (ds)
recorded Feb. 6, 1954 Paris
◎John Pizzarelli
ピザレリは歌うイメージが強いが、ギタリストとしても凄腕。
↑ギターとユニゾンでスキャットするのも得意技のひとつ。
◎Pat Martino (パット・マルティーノ)
を忘れているやろ!という声が聞こえましたので、慌てて追加します。そうです。こんなすごい現存するギタリストを忘れてはいけません。
まず、アルバム〈EL HOMBRE〉1967年 から〈Just Friends〉
オルガンは女性オルガニストTrudy Pitts です。
●マルティーノ、次は鬼才と呼ばれ出した’74年のアルバム
〈Consciousness〉から、コルトレーンの〈Impressions〉
Pat Martino – guitar,Eddie Green – electric piano,
Tyrone Brown – electric bass,Sherman Ferguson – drums, percussion
●マルティーノ3連発!曲はまた〈Blue Bossa〉
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まとめ
いやー、ギターはやはり脱線しちゃいました。そのくせグラント・グリーンとか外しているし・・・。
ジャズギターに限って、バレル、ホール、ケッセル、ウェス、グラント・グリーンあたりでまとめてしまうことも可能でしたが、、、それでは面白くないですものね。
そもそもジャンゴ・ラインハルトという存在がジャズとしては異端ですから。
ボサノバとジャズの出会いもそうですが、ジャズは周辺のさまざまな音楽を取り込みながら、歩んできたわけですから。
ギターというポピュラーな楽器はその辺の関わり合いを象徴するような楽器だと思います。
★脈略なく長い文を最後まで読んで下さって誠にありがとうございます。