Dear Old Stockholm「ディア・オールド・ストックホルム」の10の名演、名盤を聴く
DEAR OLD STOCKHOLM
もともとはスウェーデンの民謡です。 Swedish 〈SVENSK〉folk song
1951年にスウェーデンを演奏旅行で訪れたスタン・ゲッツが取り上げたことで有名です。
勿論この呼び方は英語の題名です。
“Ack Värmeland, du sköna” or “Värmlandsvisan” is a Swedish popular song best known in the English-speaking world as “Dear Old Stockholm“.
ーーーWikipedia
最後10番のスコット・ハミルトンだけでも聴いてください。
いいサックスを吹いています。ウソぢゃありません^^
Contents
スタン・ゲッツ
では、まずこの曲を最初にジャズで演奏したスタン・ゲッツを聴いて下さい。
*この↑写真のアルバム〈Roost Session, the sound 〉には入っていませんので気をつけて下さい。
マイルス・デイヴィス
ゲッツによってアメリカに輸入された〈Dear Old Stockholm〉ですが、
この曲が本当に有名になったのはマイルス・デイヴィスが1956年のアルバム〈’Round About Midnight〉で取り上げたからではないでしょうか?
(*実はマイルスはBLP-1501(’52年)でJ.J.ジョンソン、ジャッキー・マクリーンなどのメンバーでこの曲を録音しているのですが、マイルス自身も聴く方も満足できなかったと思われます)
このJazzを代表するようなジャケット写真の世紀の名盤で、全6曲の最後で「ディア~」が演奏されました。
マイルスとそのメンバーたちがこの曲と出会い、ポール・チェンバースはすぐ翌年に自らのリーダーアルバムでこの曲を演奏することになり、後にコルトレーンも自己のカルテットで演奏します。
Miles Davis — trumpet
John Coltrane — tenor saxophone
Red Garland — piano
Paul Chambers — bass
Philly Joe Jones — drums
ポール・チェンバース
上で書いたようにベーシスト、ポール・チェンバースがBLUNOTEレーベルの’57年録音の自己名義アルバム〈Bass On Top〉でこの曲をやります。
ベーシストとしてのチェンバースの演奏も注目ですが、何と言ってもこの曲ではギターのケニー・バレルとピアノのハンク・ジョーンズの活躍が素晴らしいのです。
Hank Jones (piano), Kenny Burrell (guitar), Paul Chambers (bass), Art Taylor (drums)
カーティス・フラー
このカーティス・フラーの演奏は余り有名ではないと思われますが、フラー(tb)、ジミー・ヒース(ts)、フレディ・ハバード(tp)、シダー・ウォルトン(p) のソロがそれぞれステキなのでアップします。
Freddie Hubbard (tp) Curtis Fuller (tb) Jimmy Heath (ts) Cedar Walton (p) Jimmie Merritt (b) G.T. Hogan (ds) Recorded in November 15-17, 1961
ジョン・コルトレーン
John Coltrane (tenor sax), McCoy Tyner (piano) ,Jimmy Garrison (bass) ,Roy Haynes (drums)
*コルトレーンに〈Dear Old Stockholm〉というオリジナルアルバムはありませんので、これはコンピレーション・アルバムなのですが、もはやこれで聴くのが一番都合がよくなっています。’63&’65の録音ですがドラムがエルヴィンではなく、ロイ・ヘインズで統一されている点でもオリジナルアルバムと同等です。
スタン・ゲッツ&チェット・ベイカー
スタン・ゲッツとチェット・ベイカーが現地ストックホルムでライブを行い、この曲をやった素晴らしい記録があります。
The Stockholm Concerts (2nd Concert) Recorded at “Södra Teatern”, Stockholm, Sweden on February 18, 1983
*この3枚組のアルバムですが、私が知って以降、長く入手が困難な状態です。再発してもらいたいものです。○ライブ動画(1983)
上の演奏の動画が残されてています。
動画で見れることは勿論嬉しく感動的ですが、音質はやはりCDの方がはるかに良いです。
トミー・フラナガン
ここからピアニスト3連発なのでよろしくお願いします。
トミフラ→ジョン・ルイス→バド・パウエルです。
ジョン・ルイス
John Lewis and Barry Galbraith – Warmeland (aka Dear Old Stockholm) (1956)
ギターのバリー・ガルブレイスとのデュオです。
バド・パウエル
アメリカから逃げるようにヨーロッパに渡ったバド・パウエルが、その晩年の録音〈Bud Powell in Paris〉で演っています。
Bud Powell – piano
Gilbert Rovere – bass
Kansas Fields – drums
パウエルがアメリカに戻って亡くなるのは’66年7月ですから、残された時間はあと2年間でした。
● 1964年パリでの録音です。
確かに昔の勢いはここにはありません。
しかしそれに代わる味わいがあるのではないでしょうか。
特に〈I Can’t Get Started 〉「言い出しかねて」はこの時期のパウエルだからこそ出来た演奏だという気がします。
そして〈Dear Old Stockholm〉を聴いても、天才と言われ飛ぶ鳥を落とす勢いであった時代のパウエルは、こんな心に沁みる演奏はしなかったのでは、と思ってしまうのです。(ここにJazzや音楽の不思議がありますね)
この演奏大好きです。
スコット・ハミルトン
デビューした時にはイミテーターみたいで感心しなかったのですが、年月を経てすっかり円熟して、いいテナーを吹くようになった、スコット・ハミルトンの新しい演奏がなかなかに素晴らしいので、この曲の最後としてアップします。
*スコット・ハミルトン少しゲッツに似てきましたね。
●そのアルバム名も「スウェディッシュ・バッラッズ&モア」です。
ピアノがヤン・ラングレン(スウェーデン)、ベースがイェスパー・ルンゴー(デンマーク)という欧州のトリオを從えての演奏です。
後半のスコットのソロで「ダークアイズ」の引用フレーズが現れるところはヨーロッパ、北欧、ロシアの関連を思い感動しました。いかにもテナーサックスらしいスコハミ(勝手にそう呼んでます^^)の音は魅力です。🎷
それにしても、さすが地元スウェーデンのラングレンのピアノはイイですね。
素晴らしい現代の「ディア・オールド~」でした。
まとめ
スウェーデンの民謡がジャズのスタンダードとなり、スタン・ゲッツ、マイルス、チェンバース、コルトレーン、チェット・ベイカー、トミー・フラナガン、ジョン・ルイス、バド・パウエル等まさにジャズの巨人たちによって引き継がれ演奏されてゆく様子は、それだけで感動的です。
この名曲はこのように多くの名演を呼ぶことになりました。
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