ザ・ジャズドラマー:ビリー・ヒギンズが残した名盤・名演
The Jazz Drummer :Billy Higgins ( 1936/10/11ー2001/05/03)
ビリー・ヒギンズがレコードに残した演奏は実に多様で、実にたくさんの名演があります。
一体どれほどの有名アルバムでドラムを叩いているのか、探索してみましょう。
オーネット・コールマンのバンドから出発していますので、フリージャズのアルバムもありますが、ヒギンズはメインストリームのジャズドラマーでした。
ビリー・ヒギンズの足跡をクロノジカル(年代順)ではなく、思いつくままに辿ります。
Contents
オーネット・コールマン 「ジャズ来るべきもの」
クロノジカルではなく、と書きましたが1曲目はやはりオーネット・コールマンの1959年の超問題作〈The Shape of Jazz To Come〉での演奏から初めたいと思います。
ヒギンズにとってもやはり記念碑的作品であったと思いますので。
曲はこのアルバムで一番有名な曲〈Lonely Woman〉
Alto Saxophone – Ornette Coleman
Cornet – Don Cherry
Double Bass – Charlie Haden
Drums – Billy Higgins
Recorded- May 22, 1959
曲自体はフリー系ですが、ヒギンズの演奏は特にフリーという訳ではなく、ハードバップの先端を行くドラミングだったと感じます。
リー・モーガン のアルバム
ヒギンズの出自を紹介したので、早速ですがヒットアルバムでの演奏を聴きましょう。
それにはまずリー・モーガンのアルバムですね!
The Sidewinder ザ・サイドワインダー
Lee Morgan – trumpet
Joe Henderson – tenor saxophone
Barry Harris – piano
Billy Higgins – drums
Bob Cranshaw – bass
1963年
このアルバムに書かれた「ボブ・クランショウーベース、ビリー・ヒギンズードラムス」というクレジットはジャズ史に残るリズム・セクションとなりました。
ヒギンズのドラムはかっこいいの一言に尽きます。(クランショウのベースと共に)
Cornbread コーンブレッド
タイトル曲〈Cornbread〉
Lee Morgan – Trumpet
Herbie Hancock – Piano
Billy Higgins – Drums
Hank Mobley – Sax (Tenor)
Larry Ridley – Bass
Jackie McLean – Sax (Alto)
ピアノがハンコックに変わっていますが、何かハンコックの曲みたいですね。
しかしこの曲はリー・モーガン作曲です。
ベースはラリー・リドレイに変わっています。テナーはモブレー。
The Gigolo ザ・ジゴロ
このアルバムではタイトル曲〈The Gigolo〉もすごくイイんですが、よりヒギンズを聴くために〈Speedball〉の方をアップします。
Lee Morgan (Trumpet)
Wayne Shorter (Tenor Saxophone)
Harold Mabern Jr. (Piano)
Bob Cranshaw (Bass)
Billy Higgins (Drums)
このアルバムはこの時代のモーガンの集大成のような充実したハードバップです。
サックスがウェイン・ショーターでピアノはメイバーンになっています。
リー・モーガンのアルバムでのヒギンズを3枚聴きました。
ハンコック 「ティキン・オフ」
ハービー・ハンコックのこのアルバム
〈Watermelon Man〉が有名です。このアルバムのドラムもヒギンズでした。
テナーがデクスター・ゴードン、トランペットはフレディ・ハバードです。
ベースはブッチ・ウォーレンになっています。
ヒット曲を聴きましょうね。
ハンク・モブレーのアルバム
Dippin’ ハンク・モブレー
このヒット・アルバムのドラムがまたヒギンズなんですねぇ。
〈Recado Bossa Nova〉行きましょう。
Lee Morgan, Trumpet
Hank Mobley, Tenor Sax
Harold Mabern, Jr., Piano
Larry Ridley, Bass
Billy Higgins, Drums
ジャズ・ロックに関してはほとんどヒギンズが主役だったと言えそうです。
そのメリハリのある正確なリズム、時にドラマティックに叩くヒギンズは(人によってはウルサイという人もいますが)時代の要求に十分に応えた演奏だったでしょう。
Reach Out! ハンク・モブレー
Dippin’の後もモブレーとは何枚かのアルバムを出すのですが、キリがないので、’68年の〈Reach Out!〉から〈Up Over And Out〉を聴きます。
ヒギンズのドラムのカッコよさ(特にシンバル・ワーク)を再確認することになります。
Hank Mobley — tenor saxophone
Woody Shaw — trumpet, flugelhorn
LaMont Johnson — piano
George Benson — guitar
Bob Cranshaw — bass
Billy Higgins — drums
シダー・ウォルトンのアルバム
’60年代後半~’70年代には、素晴らしいピアニスト、シダー・ウォルトンのトリオで何枚かの録音を残しています。
この
シダー・ウォルトン Cedar Walton-piano
サム・ジョーンズ Sam Jones-bass
ビリー・ヒギンズ Billy Higgins-drums
のトリオ(時に管楽器も入る)はステキなバンドだったと思います。
2曲聴きます。
アルバム〈Cedar!〉から〈My Ship〉
そして日本のPit-Innでのライブ盤〈Pit-Inn〉から〈Fantasy In D (Ugetsu)〉(’74)
Mt.Fuji ジャズフェスでの動画
ビリー・ヒギンズは何度も来日しています。
マウント富士ジャズフェスティバルにも出演しているのですが、、、
大西順子のピアノトリオでのヒギンズの動画を見たいと思います。(’93)
曲はオーネット・コールマンの曲〈Congeniality〉ですね。
大西順子:ピアノ
ロドニー・ウィテカー:ベース
ビリー・ヒギンズ:ドラムス
愛される人柄でもあったとどこかに書いてありました。
やはりヒギンズの小気味の良いスネア~シンバル・ワークが魅力的です。
*この映像はブレイクする直前の大西順子を捉えた映像としても貴重です。
奇しくも最初と最後が、オーネット・コールマンの曲になりました。
まとめ
ビリー・ヒギンズでした。
こういうドラマーのようなサイドメンの作品は調べるのが大変でした。
検索にはなかなか引っかかってきません。
ほとんど記憶が頼りで、それを確認するという作業になりました。
もっとあるはずですが、書ききれない分、知らない分があることを了解下さい。
こうしてヒギンズに焦点して聴いてゆくと、頭の中で、スネアとシンバルの素早い音の動きが鳴り続けています。
ヒギンズ65歳で亡くなっているのですね。
時代を作ったドラマーでした。
◎私の記事 ジャズのドラム:厳選10人のドラマー
の10人にも入れることが出来なかったので気になっていました。
●最後まで付き合って下さってありがとうございました!★