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沢木耕太郎の2冊の映画エッセイ『世界は「使われなかった人生」であふれている』『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。
 

沢木耕太郎には2冊の映画エッセイがあります。

映画評ではない、と本人が書いています。「映画から始まるエッセイ」と考えていただいたほうがいい、と書いています。

1冊目は『世界は「使われなかった人生」であふれている』

 

これが大変面白かったので2冊目も読むことになりました。↓
2冊目は『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』

どちらも「暮しの手帖」で連載されたものが、単行本で出たあと文庫化されたものです。

どちらも長い題名ですが、なかなかにステキなタイトルだと思います。

そして、そのそれぞれのタイトルに相応しい映画が選ばれているように感じられました。

どちらも約30本の映画について書かれています。(2冊で60本以上の映画が紹介されていることになります)

どのような文章なのかをちょっと紹介したいと思います。

 

 

 

まず「切ない記憶」という、海辺の家」という映画について書かれた文章の最初の部分を、少し長くなりますが引用します。

私の老いた母親がこんなことを言う。
「あなたがいくつになっても、思い出すのは小さい頃のあなただわ」

あるいは世の中にこんな言い方がある。
「親は子にいくら親不孝されても仕方がない。子は親に、その可愛らしさで、すでにもう3歳位までに親孝行の全てを済ませているのだから」

たぶん、こうした言葉が実感を伴って心に沁みてくるのには、現実に自分が子を持ち、ある程度の年月がたってみないとわからないのだろう。

「あなたも子供を持ってみればわかるわ」母はそんなこともよく言っていた。

それにしても、どうして親には子供の幼いころのことがそれほど強く記憶されているのだろう。
もしかしたら、その当時の自分の若さと関係があるのだろうか。
つまり、幼い子をもったときの、若い父親や母親としての自分の記憶と密接に関わっているため、忘れがたいのだと。

一般に動物の子供は親に育ててもらうために可愛らしく生まれてくるという。
                                                                             (以下 略)

親と子の関係を語っています。

この文に続いて、映画の紹介に入っていきます。

映画「海辺の家」の主人公はジョージという男です。(ケヴィン・クライン)

16歳になる息子が一人いる。
しかし、ジョージは離婚をしたため、今は息子ともめったに会えない状況にある。

別れた妻、ロビン(クリスティン・スコット=トーマス)は、息子のサムを連れて再婚し、生活力のある新しい夫とのあいだに二人の幼い息子をもうけている。

しかしサムはその環境下ですっかりグレてしまっているらしい。

ジョージは海辺の小さな家に一人で住んでおり、家をメンテする気力もなく、家は荒れ果てている。

ジョージの仕事は、建築設計会社に勤めて、建築の模型を作る仕事だ。
しかし、その仕事はコンピューターに取って代わられ、ついにわずかな退職金でリストラされる。
ジョージは自分が精魂込めて作ったいくつもの建築模型を叩き壊し、会社を出てゆく。

そんな男に運命は過酷だ。意識を失って昏倒し、診断の結果、余命が余り無いことが分かる…。

そんな男が取った行動は・・・海辺に自力で家を建てることだった・・・

その家を建てることを息子のサムも手伝うことになる。

そして別れた妻、ロビンも・・・

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このように観ていない映画の世界に誘われてゆき、その映画を観たくなるというしかけになっています。

(*追記:すみません。最初に引用した沢木の文と映画の関係が、私の紹介文よく分からないですね・・・)

●勿論観た映画についても書かれていますが、それはそれでその映画を思い出しながら読むという楽しみになります。

ただ本自体も10年近く前の本ですし、沢木の映画の取り上げ方もランダムなものなので、映画はやや古めで1990年代の映画が中心になっています。

●今調べましたが、一番新しい映画が2006年の「ヒストリ-・オブ・バイオレンス」(デイヴィッド・クローネンバーグ監督)とクリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」でした。

●私が観た映画でこの2冊で紹介されていたのは以下の作品でした。

1.バグダッド・カフェ

2.スピード

3.許されざる者

4.ダンス・ウイズ・ウルブス

5.フォーリング・ダウン

6.17歳のカルテ

7.フェイク

8.ペイ・フォワード

(ここまでが1冊目、以下は2冊目)

9.モーター・サイクル・ダイアリーズ

10.プリティ・ウーマン

11.ライフ・イズ・ビューティフル

12.陽のあたる教室

13.フィールド・オブ・ドリームス

14.ブラス!

15.光の旅人 K-PAX

16.硫黄島からの手紙

でした。

●この2冊を読んで是非観たいと思い、観た映画は以下の5本です。

1.日の名残り

2.髪結いの亭主

3.フィッシャーキング

4.運動靴と赤い金魚

5.トゥルーマン・ショウ

そしてどの映画も本当に観て良かったという佳作でした。

 

●ですから最初に紹介した「海辺の家」など、観たいと思う作品のリストが何本か頭の中に出来ています。

 

沢木耕太郎が語る映画の中に興味を感じるものをみつけて、それを探して、観るというのもひとつの楽しみではあります。

ちょっと残念なのは、私の家の近くのTSUTAYAさんには、この本に紹介されている映画が余り置いてないことです。

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読んで下さってありがとうございます。
Thank You For Reading The Site.

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