BLUE GIANT SUPREME 4 :ジャズを描くマンガはヨーロッパに渡って
〈BLUE GIANT SUPREME 4〉 がいつの間にか出ていました。
約1ヶ月前にFacebookでもちゃんと発表されていました。
この SUPREME第4巻、いよいよ主人公・大がベルリンで本格的にバンド活動を始める様子が描かれています。
その青春マンガの側面についてコメントはしません。あくまでもジャズがどう描かれるか、そのリアリティーは?という視点で書いています。
またマンガそのものの巧拙についても(原則的には)コメントは避けます。
●過去にBLUE GIANT について書いた記事
ジャズ漫画『BLUE GIANT』主人公・大の楽器テナーサックス、練習方法など徹底解説⇨
第3巻の復習
第3巻は「繋ぎの章」でした。
・大はハンブルグで小柄なドイツ人女性ベーシスト・ハンナ・ペータースとデュオを組んで、小さなジャズ・クラブで演奏を始める。
・彼らを応援してくれていた楽器店主人ボリスの勧めでベルリンへ向かう。
・大とハンナには関係なく、ベルリンのフロ屋でバイトしながらセッションで腕を磨く、ポーランドから来たブルーノ・カミンスキというジャズ・ピアニストが描かれる。
→ブルーノと大たちが出会うであろうことを予感させて3巻は終わる。
第4巻
ストーリーは「読んでください」なんですけど、memo的な印象を書きます。
・いよいよ、カルテット(四重奏団)が出来そうなところまでが描かれています。
(まだ正式なグループ結成になってはいなくて、ライブハウスの飛び入りセッションで4人が初めて演奏する瞬間が描かれただけです)
↑こんな風に書くと、カッコイイですね^^。
◎その初めてのセッション・シーンですが、
すごくよく書けていると思います。漫画から音は出ないのですが、マンガ表現の極限まで描き込んであると思います。
楽器のディテールやプレイヤーの動き、そしてオノマトペ(シンバルの音ーーチーチチ、チーチチ、チーチチ・・・・)を総動員して表現されていました。
◎この後、第5巻ではこのカルテットの本格的活動が描かれるはずです。
◎ハンナは「好きなベーシストは?」と聞かれて「ミンガス」と答えます。
→ハンナの演奏が「とにかく力強い」ということからリアリティーを感じます。
◎ポーランドでクラッシック音楽を習っていた子供のころのブルーノがセシル・テイラーをレコードで聴いて衝撃を受けることが書かれています。
→今の所「なるほど」とは思いません。ブルーノの演奏は「美しく繊細」と書かれています。まあ、別に構いませんが。
◎先ほど、「マンガそのものの巧拙についても(原則的には)コメントは避けます」と書きましたが、絵のディテールとしてどうしてもおかしい箇所がありますので、ひとこと。
ページがふってないので、何ページと書けないのですが、第31話の”SOUND ROOMS”での練習シーンでの、人物(ブルーノ)とピアノのバランスが明らかにおかしいです。
アップライトピアノですが、いくらなんでもバランスを欠いて小さいです。エレクトーンより小さいです。
(ディテールは大事です。クラブでの演奏シーンに比べると手抜き感、落差を感じますーーここまで来たらこのマンガにはパーフェクトを求めてしまいます)
是非本で確認して下さい。
まとめ
多少悪口めいたことも書きましたが、とても面白かったし、ジャズ演奏シーンもリアルに描かれていると思いました。
この後の展開にも期待をもたせるものでした。(早く続きを読みたい、と思いました。)
作者は楽器演奏も始め、ヨーロッパを描くために現地取材もしているそうです。そうじゃないとこれだけのマンガは書けないでしょうね。
それにしても(いまさらですが)日本のマンガ文化はすごいですね。
これ、そのうち海外でも読まれるかもしれません。