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ジャズ漫画「BLUE GIANT」3巻~7巻徹底解説・ピアノ沢辺雪祈(さわべゆきのり)登場

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。

*キャッチ画像を始めとする文中のBLUE GIANTの画像は全て小学館「BLUE GIANT」からの引用です。

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第3巻と4巻を読みましょう。

 

 大のサックスの音はどんな音?

漫画からは音が出ませんから大のサックスの音を色々想像します。

とにかく「音がでかい」でまず思い出すのは ソニー・ロリンズですね。

Sonny Rollins

Sonny Rollins

学園祭で吹くとき、大はロリンズのこの モヒカン刈り を真似するんですよね。

それからやはり、ジョン・コルトレーン。

John Coltrane

John Coltrane

大が良く聴いているサックス奏者ではデクスター・ゴードンとジョニー・グリフィン。

Dexter Gordon

Johnny Griffin

Johnny Griffin

この4人の音を足して4で割ったような感じ、と思っていれば、だいたいよろしいんじゃないでしょうか。

ロリンズの音を聴いてみましょうか。えーBLUENOTE のVol.1から
〈Sonnysphere〉    

Sonny Rollins (tenor saxophone); Donald Byrd (trumpet); Wynton Kelly (piano); Gene Ramey (bass); Max Roach (drums). 1956年-→それにしてもこれカッコいいすね!

*とにかく音がでかいのが特徴らしいですからこんな↑ロリンズみたいな感じなのでは?と思います。

右手親指のマメ

第27話の4ページ目に「親指のマメ…また大きくなったべ」
というシーンがありますが、何故右手親指にマメが出来るのでしょうか。

これです↓

2014-10-14 02.40.17

サックスはストラップで首からぶら下げているのですが、右手親指でも写真のように、支えているのです。   ちなみにわたくし… 全くありません。

(余談ですが、こういうのはマメというよりタコというのではないでしょうか?)

 コード記号

4巻の初め、Jazz Bar Bird  でのライブ演奏で、大がソロを吹きながら

F7→B♭6→E♭M7 みたいに呟いてますが、これコード記号です。

ギターとかピアノでポピュラー音楽をやっている方は常識でしょうが、普通楽譜にこの記号が書いてあって、それを見ながら和音を弾いています。

前に書いたようにサックスは単音楽器なので、和音を吹くことはできないのですが、コードの流れ(コード進行)は、曲の進行上大事なことです。

和音は吹けませんが、分散和音は吹けますし(C7ならド、ソ、シ♭みたいな)
アドリブを吹く時に、頼る情報です。

これは、アルトサックス用の楽譜ですが、ちゃんとコード記号が書かれています。

2小節ごとにコードが変わっていますが、この後すぐ登場するピアニスト沢辺君などは一音ごとにコードが変わるオリジナル曲を書いたりしてますね。

音楽の歴史でコード記号が現れるのは新しくて、どうも戦後(第二次大戦のことです)のようです。 

例のバークリー音楽院がポピュラー音楽を効果的に教えるために発明(?)したようですよ。

コード進行の単純な例としてロックンロールやR&B で有名な12小節ブルースというのがあります。

C-C-C-C

F-F-C-C

G-F-C-C

みたいなコード進行です。
1小節1コードで、上記で12小節、これを何回も繰り返す訳です。

◎◎えーと、えーと、コードを軽く説明しその先に「モード・ジャズ」      (BLUE GIANT でも6巻以降くらいから良く出てくる言葉)を説明 する動画をみつけました! 菊地成孔先生です。これは必見です。二重丸です。

(*私が「ジャズの名盤ベスト100」の1番に何故〈Kind Of Blue〉を置いたかも分かって頂ける映像です)

 

各話に書いてある曲名

この本では各話に英語表記で 曲名 が書いてありますね。

例えば 第25話 CHEROKEE

    第26話 DON’T EXPLAIN         みたいに。

有名曲も多いですが、聞いたことが無い名前もあります。

またジャズ曲でないものも混じっているようです。

例えば

第32話 PIANO MAN     これは、ビリー・ジョエルでしょ。

第40話 JAZZ EDUCATION     そんな曲は無いと思います。

 

さて、第4巻の最後でいよいよ、ピアニスト沢辺雪祈(サワベユキノリ)が登場してますます音楽が加速してゆきます。

bg-1

今気付きました。こんなのがありました。↓
BLUE GIANT とのコラボCDが出ているのですね。

 

 

ピアニスト沢辺雪祈 登場

第5巻からピアニスト沢辺が本格的に登場します。 沢辺のピアノはすごく新しい感覚のピアノという設定です。

ちょうど、60年代初めにハービー・ハンコック Herbie Hancock が出てきた時の感じでしょうか。

現代なら、たとえるなら誰でしょうか。 ブラッド・メルドー?

メルドーは確かに新感覚です。和音の選び方など、今までのピアニストになかったものですが、ただメルドーはどちらかというと抒情的な感じですよね。

bg-6

沢辺は抒情的な面もあるようですが、もっと激しいプレイもするようですね。

えー、敢えて探すと サイラス・チェスナットですかねぇ。

ちょっと聴いてみます?(外見は無視でお願いします)

*石塚先生が具体的にイメージしているピアニストがいるのでしょうか?

大が聴いているいるのは古典的ハードバップばかりのようだが、それでいいのか?という疑問

えー、ここで、ちょっと引っかかっていた疑問を書きます。

大が聴いているのが、ロリンズ、D.ゴードン、グリフィンなど、いわゆるハード・バップジャズの古典みたいなアルバムばかりというのが気になります。
(50年代、60年代の録音)

 

大の演奏は、聴く人を一発で驚かすような演奏ですよね。

音がでかいだけではないはずです。

コルトレーンを聴いているのは納得です。

パーカーとコルトレーンだけを徹底的に聴いて・・・・ということであれば納得します。(この二人は今の新しい奏者より新しいですから)

大はこれから雪祈という新感覚のピアニストと組むことになりますよね。
しかも、世界一のジャズ・プレイヤーを目指しているわけでしょう?

だったら、もっと新しいサックス奏者も聴いたらいいんでない? と思うわけです。

ただ、現代のサックス・プレイヤーと言っても、ジョシュア・レッドマンやブランフォード・マルサリス では「ちがう」という気はします。

大に聴いて欲しい現代のテナーサックス奏者は、ジェームス・カーターデヴィッド・マレイ です。

この二人、実力の割にはいまいち評価されていない、サックス奏者かも知れません。しかしすごい奏者です。

ちょっと聴いてみましょう。

マレイから。

マレイはコルトレーンも消化して自己の音楽を追及している、稀有な存在と思うんですけど。

次、ジェームス・カーターの演奏。
(20分目あたりからGiant Steps やります)

James Carter – saxophone (カーターはソプラノからベース・サックスまで全てのサックスを吹くのです)
Gerard Gibbs – organ
Leonard King – drums

こちらはオルガンとドラムのトリオの演奏ですから、やはり大には参考になると思うんですよねー。^^ 世界一の壁は厚いですよー。こんなすごい人達がいるんですから。

*↑の2本の動画ですが、どちらも1時間を超えるコンサートのフル画像ですが、もし両方を全部通しで見られたら、すごい充実度ですよ。そしてこの二人がいかに凄いプレイヤーであるか、納得されると思います^^。

 

*まあ、漫画ですから、どこまで踏み込めるかという難しさはあるとは思いますけどネ。 あとスポンサー?、協賛?の問題もありますかね。
BLUE GIANTコンピ盤も、50年代、60年代ハードバップばかりのようですし。 

ローランド・カークRoland Kirk とか出すわけにはいかないんでしょうかネ?

*あっ、沢辺君に最新のプレイヤーのライブ演奏に連れていかれたりしてましたね・・・。

これから描かれるのかも知れませんね。期待しましょう。 

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玉田、ドラマー・デビュー

大の高校の同級生、玉田がドラムを始めます。

300px-Drumkit
ドラムセットのことは余り詳しくありません。

知っているのは

①バスドラ ③スネア ⑤ハイハット     ⑥シンバル  くらいです。

昔に比べるとドラムセットの道具の数がどんどん増えてきてます。

最初、玉田は沢田の指示でハイハットをクローズでスティック1本で叩くことをやらされますね。

玉田君の頑張りには応援したくなります。

今のところこの本に出てくるドラマー名はアート・ブレイキーエルヴィン・ジョーンズくらいですが、今後トニー・ウィリアムス、ジャック・ディジョネットひいてはスティーヴ・ガッドとかの名前もでてくるのでしょうか?

それにしても雪祈クンの作るオリジナル曲、13/4 拍子とかドラマー泣かせですね。

 

彼らのトリオ JASS

 

トリオの名前をJASS(ジャス)として、本格的にライブ活動を始める3人。

*JASSの意味は本の中で語られる。

第48話、49話で彼らのセッションに飛び入り参加するヴェテラン・ジャズ・ギタリスト川喜多元にはリアリティーを感じました。

何となく高柳昌行を思い出しました。(高柳はフリージャズの人でしたが)

BONUS TRACK

単行本の各巻の終りには【BONUS TRACK】があって
さまざまな人がインタビューに答える形式になってますね。

これはすなわち、将来大が世界的プレイヤーになることを示しているのですね。  そこまでの道のりが描かれるのかと期待がふくらみます。

特に7巻では、著者石塚真一による、
Herbie Hancock&Wayne Shorter Interview というスペシャルになってます。

石塚真一が両手に持つLPレコードは

00000001ha
00000001wsjuju

Speak Like A Child                              JuJu  

ですねー。(いま割と活躍している日本の女性歌手Jujuはここから名前を取ったと聞きましたが、本当でしょうか?)

そう言えば、ショーターの名前は、ここまで出てこなかったですよね。

 

Tom Waits / Grapefruit Moon

 7巻54話 で雪祈が「ジャズじゃないけど」と言いながら弾く曲がありますね。
トム・ウエィツの「グレイプフルーツ・ムーン」
知らなかったですけど、いい曲ですね。

 

こういう感じでちょっと外すこと、歓迎です。


 

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★読んで頂いてありがとうございます。
この後も引き続き「BLUE GIANT」について書いています。
よろしかったら、どうぞご覧ください。 

                       BLUE GIANT 第8巻を読んで⇒

 

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