晩年のチェット・ベイカーが演奏する、エルヴィス・コステロが作った曲「オールモスト・ブルー」
↑キャッチ画像出典:https://103tommy.com/chet-baker-sings
チェット・ベイカー(Chet Baker、1929年12月23日 – 1988年5月13日)
チェット・ベイカーは若くして認められ、人気もあって「ジャズ界のジェームズ・ディーン」などと呼ばれた時期もありました。
しかし、当時の白人ジャズメンのほとんどがそうであったように麻薬の常習癖から抜け出すことが出来ませんでした。
しかしその演奏(と歌)は晩年(と言っても58歳で亡くなっているのですが)に至っても味わいのようなものを深めていきました。
若い頃の演奏も素晴らしいのですが、むしろ晩年の演奏を好むファンも多いようです。
そういう私もどちらかと言えば、後年のヨーロッパで録音されたアルバムを聴くことが多いです。
Almost Blue という曲について
そんなチェットが最晩年に好んで演奏した曲に、エルヴィス・コステロの曲〈Almost Blue〉があります。
もともとコステロは、チェットの若い頃の演奏〈The Thrill is Gone〉にインスパイアされてこの曲を作ったそうですから、チェットがこれをやるのは自然なことだったのです。
*〈The Thrill is Gone〉は〈Chet Baker Sings〉に入っています。
「オールモスト・ブルー」を聴きましょう。
ペットの演奏、その後歌います。
深いですね。
コステロのこの曲はさすがにチェットにぴったりです。
コステロ自身の歌より味、深みがあります。
そんな曲を作れるのがコステロの才能ですね。
映画「レッツ・ゲット・ロスト」
この曲チェットの人生をドキュメントした映画「Let’s Get Lost」のサウンドトラック盤に収録されています。
このCDに納められた演奏と歌はほとんど「痛々しい」と言ってもよいものです。
しかしその痛々しさが、味になるという稀有な例です。それはひとえにチェットの「俺はどんなになっても、ただ出来ることをやるだけだ」という潔い姿勢にあると思うのです。
このドキュメンタリー映画の中で〈Almost Blue〉を歌うシーンを見ましょう。
チェット・ベイカー・イン・トーキョー
死の前年’87年の最後の日本公演でも歌っています。
その時の動画を見ます。(昭和女子大学人見記念講堂)
この時の模様は2枚組のCDとして発売されています。後期チェットの名盤の一つです。
☆ ☆ ☆
チェットは翌’88年5月13日にアムステルダムでホテルから転落死しています。
(死因は不明とされています)
チェットの外見の劣化も50代とは思えないほどで、その人生が過酷だったことを想像させます。
麻薬の売人とのトラブルのために、トランペッターにとって最も大事な前歯の多くを抜かれるという目にも合っています。
(管楽器をやる方ならわかると思いますが、前歯がないと吹けません)
チェットも義歯で復活するのに2年間は吹けなかったそうです。
復活してからも、特に歌う時の影響が大きく義歯になってからの歌は明らかに違ってしまっています。
まとめ
チェットの人生は波乱万丈でした。
ぼろぼろになるまで演奏をして、それでも、それは不思議に聴く人の心に迫りました。
十分にジャズを生きたミュージシャンだったと言えるのではないでしょうか。
最後に〈Every Time We Say Goodbye 〉を聴いて終わりたいと思います。
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