ポール・デスモンド:唯一無二のアルトサックスを吹き続けた男の名盤

ポール・デスモンドをご存知ですか?
ワン・フレーズいや一音聴くだけで「あ、デスモンド」とわかるアルトサックスを生涯吹き続けた男です。
デスモンドが一番有名になったのは、デイヴ・ブルーベック・カルテットのアルトサックス奏者として”Take Five“という曲をヒットさせた時かも知れません。
この4分の5拍子という変拍子の名曲を作ったのもポール・デスモンドです。
私はデスモンドを聴くと、変わらないことの凄さを感じます。
周りに影響されないで、生涯自分の音楽を続けることの凄さ。
デスモンドを聴くと、その変わりなさに安心感を覚えます。
ポール・デスモンド(Paul Desmond、1924年11月25日 -1977年5月30日)
52才で亡くなっています。
Contents
デイヴ・ブルーベック・カルテット時代
長い間在籍したデイヴ・ブルーベック・カルテット時代には膨大な録音があると思いますが、先ほど書いた”Take Five” が入った〈Time Out〉が一番有名なアルバムです。
その”Take Five”を聴きましょう。(動画の方で) 永遠の名曲です。
●DBQでのアルバムを追うとキリがないので、もう1枚の紹介に留めます。
Time Outより6年ほど前の録音になりますが〈 Jazz at Oberlin 〉というライブ・アルバムです。
曲は「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」にします。
聴衆が湧いているのも良く分かります。1953年のライブアルバムでこれだけキレイに録音されているものは珍しいのでは?と思います。
このアルバム’50年代前半のハードバップではないジャズ・インスト演奏の白眉だと思います。
First Place Again
アルトサックス奏者として、雑誌(Playboy誌)の人気投票で1位になったことを記念して作られたアルバムですが、素晴らしいアルバムとなりました。1959年の録音です。
〈I Get a Kick Out of You〉を始めとする7曲はどれも素晴らしい演奏です。
メンバーは
Paul Desmond-alto sax
Jim Hall-guitar
Percy Heath-bass
Connie Kay-drums
1曲聴きましょう!
大好きなスタンダードナンバー〈East of The Sun〉
いかがでしょうか?
デスモンドのやわらかな音色、唯一無二と呼ぶ訳も分かって頂けたでしょうか。
このような音でアルトサックスを吹いた人は他にいません。
またこのアルバムではジム・ホールのギターのとの、音のブレンドがたまらない魅力になっています。
MJQのベース(パーシー・ヒース)、ドラム(コニー・ケイ)のサポートも完璧です。
文句なしの名盤と言えるでしょう。
その他のジム・ホールとのコラボ盤
上記の後、ジム・ホールとのコラボレーション盤が何枚も出ました。 どれも上質な音楽ですが、さすがに同じような趣向で飽きられた面もあったかもしれません。
私が好きでおススメの盤を3枚紹介します。
1.
2.
3.
この中から2曲ほど聴きたいと思います。
どれもいいのですが、1.の「黒いオルフェ」Black Orpheus を聴きます。
2.からは〈When Joanna Loved Me〉を聴きます。
CTIレーベルでのデスモンド
1970年代になって、イージーリスニング・ジャズの名門レーベルCTIが聴き易くて、かつ密度が高い秀作を次々と世に送り出します。
我らがポール・デスモンドもCTIから何枚かのアルバムを出しました。
次のアルバムはチェット・ベイカー名義で出た盤ですが、
Chet Baker (trumpet)
Paul Desmond (alto sax)
Bob James (keyboards)
Ron Carter (bass)
Steve Gadd (drums)
というすごいメンツで、忘れられない1枚でした。(1974年)
このアルバム、原題は〈She was too good to me〉なのですが、日本では代表曲の「枯葉」で通っています。その代表曲を聴きましょう。
主役はあくまでチェット・ベイカーなのでここに挙げるのは適当ではないかもしれませんが、ポールもちゃんとソロを取りますし、何と言ってもこのメンツでの演奏が最高に素晴らしい!
愛聴盤です。
晩年の録音 the paul desmond quartet live
晩年と言っても52才で亡くなっているのですが、キャリアの後期、デスモンドはカナダでのライブ盤を何枚か出しました。
その中で最高の1枚がこれです。(Recorded Oct. and Nov. 1975 in Toronto)
デスモンドの演奏を集大成するような素晴らしいライブ盤です。
⇩
Paul Desmond-alto sax
Ed Bickert-guitar
Don Thompson-bass
Jerry Fuller-drums
●おすすめのポイント
デスモンドの優しい音色が最高に生かされた演奏です。
またエド・ビッカートのギターが実に効果的です。
長い間デイヴ・ブルーベック・カルテットにいたのですが、ジム・ホールとのコラボといいピアノレスのギターカルテットでの演奏がデスモンドには似合います。
*このアルバム・ジャケットの青いシャツを着て、オレンジっぽいタイを絞め、煙草とコーヒーを前に微笑むデスモンドの姿ーーがたまらなく好きです。
●残念ながらこのアルバムからの曲はYouTubeには1曲もアップされていません。
替わりに同メンバーによる’75年3月録音のこの⇩アルバムからの演奏が多数アップされていますが、明らかに演奏の質が落ちます。デスモンドのサックスの音にハリが無いので弱々しく聞こえるのです。デスモンドは優しく奏でましたが、決して弱々しくはないのです。よってこのアルバムの曲はかけません。
こちらです(参考までに)
追記)Wave がアップされましたのでシェアします。
まとめ
ポール・デスモンドの演奏いかがだったでしょうか?
カナダでの1975年のライブ盤を聴くことが出来ないのが残念ですが是非CD(or LP)でお聴きください。
One And Only なアルトサックス奏者でした。
◎デスモンドを2枚だけ、というならこの2枚です。
◎同一メンバーで同じBourbon Street Club でのライブ盤で〈Paul Desmond–Last Live〉という作品があるのですが、
不思議な事に今Amazonで探しましたが全くありませんでした。
私はLPレコードで持っているのですが、CD化もされていないようです。(これは1975年10月の録音です)
(artisthouseというマイナー・レーベルから出ていました–そのせいでCD化されないのでしょうか?)これもいい作品なのでCD化されることを希望して終わりにします。
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