ジャンゴ・ラインハルト:不世出のジプシー・ジャズ・ギタリスト、そしてそのフォロワー達
ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt, 1910年1月23日 -1953年5月16日、43歳没)
ベルギー生まれのロマ(ジプシー)ギタリスト。ロマ音楽とスウィング・ジャズを融合させて世界に影響を与えた。
ジャンゴについては、次の2つの事実で、その偉大さを想像してください。
1.単に過去の(繰り返しますが1953年に43歳で亡くなっているのです)有名なギタリストというだけではありません。
ジャンゴ・フォロワーと呼ばれる、ジャンゴの奏法、音色に憧れるギタリストが今も世界中にあふれています。(*日本語の慣習でフォロワーと書きましたが、英語ではTrailerと言うようですね)
日本だけでもどれだけいることでしょう。
2.18歳の時に火事を消そうとして左半身に大火傷を負いその後遺症で、ギタリストとしては致命的とも思われる左手の2本の指(薬指と小指)が使えないというハンディキャップが残った。それにもかかわらず、独自の奏法を編み出し、信じられない音楽を作り出した。
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ジャンゴの動画、音楽
ここでジャンゴのことをまとめた、いい動画がありますので、まずそれを見ます。(フランス語ですが)
先程の左手3本指での演奏シーンも見ることができます。
Minor Swing
ジャンゴはたくさんの曲を作っていますが、おそらく最も有名な曲の一つ「マイナー・スウィング」を聴きましょう。
1937年フランス・ホットクラブ5重奏団の演奏です。
盟友となるフランス人ヴァイオリニスト・ステファン・グラッペリも参加しています。
今聞いてもその音楽の魅力に驚きます。
古い、新しいではなく普遍的な音楽の魅力がありますね。
ファ#、ラ、ド#、シ、レ、ファ#
ファ#、ラ、ド#、シ、レ、ファ#
ファ#、ラ、ド#、シ、レ、ファ# と3回繰り返すだけ、それを2回やって
その後ベースがドーンと入って、後はもうアドリブというシンプルさです。(alto sax key)
そして、ジャンゴのギターの音色の魅力です。
微妙なヴィブラートのギターの音は、後のジャンゴ・フォロワーのところでも触れますが、時代を超えて人の心を掴むようです。
Les yeux noirs 「黒い瞳」
ロシア民謡→スタンダード の名曲「黒い瞳」
このスタンダード・ナンバーの演奏を聴いて、驚くべきはテーマの後に現れるジャンゴのインプロヴィゼーション(即興演奏)能力です。
ジャズの最先端をゆく即興演奏だと当時のミュージシャンは感心したはずです。
DJANGOLOGY「ジャンゴロジー」
いま、ジャンゴのCDを1枚買うとすれば、この1枚をお勧めします。
1949年イタリア・ローマのクラブでの演奏です。私家録音ですので決して音は良くないのですが、それに余りある演奏が繰り広げられています。勿論ステファン・グラッペリが一緒です。
著書「ポートレイト・イン・ジャズ」の中で村上春樹は次のように書いています。
ほんとうにオリジナルな音楽だけが持つ、背筋が通った熱い気迫に加えて、「今ここで生きていて、こうして音楽を作ることができるんだ」という自由な喜びというようなものが、最も自然なかたちで音となって結晶している。ラインハルトはほかにも多くの優れた演奏を残しているけれども『ジャンゴロジー』におけるジャンゴとグラッペリの、水も漏らさぬほど緊密な、それでいてやくざっぽさを具合よく残したコラボレーションは、いつ聴いても惚れぼれしてしまう。
というわけで、23曲も名曲が入っているこのアルバムから、敢えて La Mer 「海」(英語タイトルは〈Beyond The Sea〉を聴きます。
ジャンゴ・フォロワーたち
はじめに書きましたように、世界中にジャンゴの音楽を慕い続け、ジャンゴにインスパイアーされた音楽をやっている人たちがいます。
日本ではゴンチチがその代表でしょう。
ゴンチチだけではなく、日本の各地にプロ・アマを問わずジャンゴ・フォロワーがいます。
世界で言えば、一番有名なのはローゼンバーグ・トリオでしょう。
オランダ出身の3兄弟です。
次に同じロマのルーツを持つと言われている ビレリ・ラグレーンがいます。
他にもいるのですが、省略します。
彼らの演奏も聴きたいですね。
それによって、ジャンゴの魅力と偉大さを再確認することにもなりますので。
Rosenberg Trio ローゼンバーグ・トリオ
どうせなら新しいライブ映像をみましょう!
Godfather Theme をやっています。
テーマが終わって、テンポが変わるところからが聴きどころですのでお聴き逃しなく!
どうでしょうか?
彼らを始めとするジャンゴ・リスペクターたちは、ジャンゴのギターの音、音色を大切にしていることが良くわかります。
見事にジャンゴのスピリットを現代に生かして表現していますね。(勿論、ジャンゴは「ゴッド・ファーザー」はやっていません。)
そして、彼らがこれほど熱狂的に受け入れられているという事実も凄いですよね。
彼らを聴くことで逆にジャンゴを知ったという若い人もいることでしょう。
ローゼンバーグ・トリオ、いい演奏がたくさんあります。
例えば〈Blue Bossa〉なども大好きです。
ジャンゴの生きた時代には無かった曲がこうしてジャンゴ・スタイルで演奏されるのを聴くのも喜びです。
Rosenbarg Trio ではこの2枚のアルバムが好きです。
ビレリ・ラグレーン
ラグレーンは Thomas Dutronc と〈 Django’s Tiger〉をやっている映像が気に入りましたのでそれにします。
Thomas Dutronc:トマ・デュトロンはフランス人ギタリストです。
ラグレーンのCDは何枚か持っていますが、これが好きです。
ラグレーンは勿論ローゼンバーグ・トリオと共演もしています。
シルヴァン・リュック(同じくギタリスト)との共演盤も悪くなかったです。↓
ここではジャズのスタンダード・ナンバーばかりをやってます。まとめ (&映画「永遠のジャンゴ」)
えー、このようにジャンゴ・ラインハルトをフォローするギタリストが世界中にたくさんいます。
最後はこんな動画で終わります。
“Minor Swing”
Romane – Stochelo Rosenberg – Richard Galliano – Christophe Cravéro
一番最初に聴いたジャンゴの代表曲「マイナー・スウィング」をみんなでやっています。
ロマーヌはフランスのDjango派ギタリスト、ローゼンバーグ・トリオのストーシェロ、
そしてガリアーノは同じくフランスのアコーディオン奏者、クリストフさんは知りません。
みんな、楽しそうに演奏してますね。
もし、ジャンゴという巨星が、いなかったなら、彼らの音楽はどうなっていたのでしょうか。
◎最後、GONTITIのジャンゴ愛を表明した、ジャンゴ・コンピレーション・アルバムを紹介です。
このゴンチチによるコンピ盤、他では聴けないような曲もあって、結構貴重だと思います。
このように、今も世界中でリスペクトされているジャンゴ・ラインハルトなのです。
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