アート・ペッパーという特別なアルトサックス奏者の名盤はどれだ?
アート・ペッパー:Art Pepper 本名:Arthur Edward Pepper, Jr.、アルトサックス奏者(1925年9月1日 – 1982年6月15日、56歳没)
アート・ペッパーは私にとって特別なアルト奏者です。
アート・ペッパーほどその音楽が突き刺さってくるプレイヤーは他にいません。
それだけに、却って書きにくくて書くことが遅くなりました。
白人ジャズメンの例にもれず、ペッパーの音楽人生も麻薬との関わりから逃れることは出来ません。
その生き様も彼の音楽と切り離せないように感じます。(特に後期の音楽にそれを感じます)
ともあれWikipediaがペッパーの代表作をうまくまとめているので、それをコピーします。⇩
Contents
ディスコグラフィー(by Wiki)
- 1.Surf Ride (1952)
- 2.Art Pepper Quartet (1956)
- 3.Art Pepper With Warne Marsh (1956)
- 4.Modern Art (1956)
- 5.The Art of Pepper (1957)
- 6.Art Pepper Meets the Rhythm Section (1957)
- 7.Art Pepper + Eleven (1959)
- 8.Smack Up (1960)
- 9.Getting Together (1960)
- 10.Intensity (1960)
- 11.Living Legend (1975)
- 12.The Complete Village Vanguard Sessions (1977)
- 13.Art Pepper Today (1978)
- 14.Live in Japan (1978)
- 15.Among Friends (1978)
- 16.Straight Life (1979)
- 17.Winter Moon (1980)
- 18.Roadgame(1981)
- 19.One September Afternoon (1981)
- 20.Goin’ Home (1982)
- 21.Tete a Tete (1982)
ペッパーについてのあれこれ
ペッパーの主要作品が掲載されているのですが、まだまだ抜けているものもあります。
*例えば’56 ’57録音で The Return Of Art Pepper といういい作品があります。
*また、チェット・ベイカーと組んだ作品 Playboys なども忘れられないものです。
*それから、ペッパー名義ではないアルバム、例えばマーティ・ペイチ名義のアルバムなどでもペッパーの溌剌とした演奏を聴く事ができるのですが、それでは余りにも膨らみますので、ペッパー名義アルバムに限定します。
*私もほとんどの作品を持っています。
(ほぼ最後の盤 20.Goin’ Home は余りにも切なくて、売ってしまいました)
*ところで上のディスコグラフィーは2つに色分けしています。
その境、1960年の10.Intensity と1975年の 11.Living Legendの間に15年のブランクがあります。
この15年をペッパーは、薬物中毒者のためのリハビリテーション施設シナノン(ジャズメンの間では有名な施設です。ここでの録音さえあります)で過ごしているのです。
56歳で没したジャズ・ミュージシャンの35歳から50歳までの15年が空白とは余りにも悲しいことだと思います。
それでも残されたアルバムは素晴らしいものなのです。
こうしてペッパーの音楽は’60年以前と’75年以降にはっきりと二分されることになったのです。
以前よく言われたことが、’60年以前の音楽と復帰後’75年以降の録音のどちらがいいかという論争でした。ジャズ評論家岩浪洋三氏が「後期のペッパーが断然イイ」と主張していました。
しかし、それも今となっては余り建設的な議論だったとは思えませんね。
確かに前期と後期では大きく演奏が違いますが、どちらのペッパーもペッパーだと思って、向き合うのがペッパー・ファンでしょうね。
前期
Surf Ride から1曲
大好きな「ティックル・トゥ」は別の所でアップしましたので、Sinnamon (シナモン) にします。
サックスがもう1本聞こえますが、テナーサックスのジャック・モントローズです。
本当はこのアルバムからもっと聴きたいのですが諦めます。
*このアルバムについては次のような文も書いていますので、よかったらどうぞ。
⇨ 村上春樹の長編「ねじまき鳥クロニクル」と短編「偶然の旅人」とジャズの曲名の関係
Art Pepper Quartet から1曲
ラテンの名曲「ベサメ・ムーチョ」
この頃のペッパーは本当にいいですね。
音は基本クールサウンドなのですが、バップも消化してペッパー独自の熱を感じるところが何ともカッコよく感じます。
The Return Of Art Pepper から1曲
ずばりPepper Returns を聴きます。
Art Pepper (as)
Jack Sheldon (tp)
Russ Freeman (P)
Leroy Vinnegar (b)
Shelly Manne (ds)
というメンバーでカッコいい演奏を繰り広げています。
全員が同じようにノッテいる様がイイ感じです。
中でもペッパーのサックス音の突出が気持ちいいのです。
Modern Art から1曲
スタンダードの名曲 When You’re Smiling
Moder Art からの1曲にこの曲を選ぶ人は余りいないかもしれませんが、大好きなこの曲、ペッパーの演奏にはどこか哀愁が漂っています。
ペッパーの音色は軽快にも聴こえますが「泣き節」でもあるんですよね。独特です。
Art Pepper (alto sax)
Russ Freeman (piano)
Ben Tucker (bass)
Chuck Flores (drums) というメンツです。
ウエスト・コーストを代表するピアニスト、ラス・フリーマンとは数多くのレコーディングを残しています。
Playboys から1曲
さきほどちょっと触れたチェット・ベイカーとの共演盤 Playboys から1曲聴きたいものです。
ウエスト・コーストジャズらしいアンサンブルも聞ける Minor Yours にします。(ペッパーの作曲です)
テナーサックスはフィル・アーソです。ピアノはもう一人のウエスト・コースター、カール・パーキンス。
この曲のアンサンブル(テーマ合奏)は何度聴いても飽きません。
Chet Baker ( trumpet)
Art Pepper( alto sax)
Phil Urso (tenor sax)
Carl Perkins ( piano)
Curtis Counce ( bass)
Larance Marable ( drums)
チェットのトランペットも素晴らしいですね。カーティス・カウンス、ローレンス・マラブルなどの名前も懐かしいです。
*はい、キリがないので、名盤 Art Pepper Meets The Rhythm Section に行きましょう。
Art Pepper Meets The Rhythm Sectionから2曲
このアルバム全曲いいのですが、やはり余りにも有名なこの曲を外す訳にはいけませんね。
You’d be so nice to come home to
1957年1月に録音されたこのアルバム、ペッパーを代表する作品になりました。
「ザ・リズム・セクション」とは、当時のマイルス・デイヴィス・クインテットのリズム・セクションのことです。即ち
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums) です。
さすが、ザ・リズム・セクション と思わせるトリオです。特にドラムのフィリー・ジョーがそれまでペッパーが付き合ったドラムとは違うのですが、凄く効果的で嬉しくなります。(リム・ショット、ヵ、ヵ、ヵ、ヵ・・・など)
このアルバムからもう1曲 The Man I Love を。
本来バラードのこの曲を早いテンポでペッパーが歌いまくるのがカッコいいです。
そしてザ・リズムセクションも最高です。
このアルバム音がいいことでも有名です。
Intensity から2曲
前期の最後になるアルバムIntensity から聴きたいと思います。
これも1ホーンのカルテットです。
art pepper-alto sax
dolo cokar-piano
jimmy bond-bass
frank butler-drums
まず超カッコいいスタンダード曲 To Close For Comfort を!
音を飲み込んでゆくようなペッパー独特の節回し(省略の美学)と、自由自在なアドリブに参ります。
◎このアルバムからのもう1曲は I Can’t Believe That You’re In Love With Me にします。
ドロ・コーカーも良かったですね。
*ペッパーの音色はやはり独特です。
1音聴いて分かるという意味では、稀代のスタイリストだったと言えるでしょう。
★ ★ ★
まだまだ物足りないのですが、この辺で前編とします。
★読んで下さってありがとうございました。