グラント・グリーンのSOLID:ブルーノートのLTシリーズの名盤発掘(こんないい演奏がオクライリしていたのが不思議)
BLUNOTEレコード にLTシリーズというものがあります。
LPレコード時代に、発表されないまま(unissued)でオクラ入りしていたものを後にマイケル・カスクーナが発掘して、1980年頃からレコード化CD化しているシリーズです。
「BLUENOTE最後のコレクターズ・アイテム」と言われています。
日本ではEMIから「ブルーノートBNLT999」としてCDで33タイトルが発表されました。そのアルバム・デザインから「レインボウシリーズ」との愛称もあります。
さてその33枚のラインナップの中からどれを選ぶか?
GRANT GREEN ”SOLID”
判断基準は(いつもそうなんですが)
・パーソネル(演奏メンバー)
・録音年
・曲目 です。
ずばりこの1枚が光ります。
データは
Recorded :June 12,1964
Grant Green-guitar
Joe Henderson-tenor sax
James Spaulding-alto sax
McCoy Tyner-piano
Bob Cranshaw-bass
Elvin Jones-drums
曲目
1.Minor League
2.Ezz-Thetic
3.Grant’s Tune
4.Solid
5.The Kicker
6.Wives And Lovers
もうこのデータを見ただけで間違いないと確信しました。
まず’64年のマッコイ・タイナー(p)とエルヴィン・ジョーンズ(ds)が入っています。
(ジョン・コルトレーン・カルテット在籍中ー’64は「至上の愛」の年です)
その上にジョー・ヘンダーソン(ts)とジェームス・スポールディング(as)が参加しているグラント・グリーン盤が悪いはずはありません。
ちなみにグラント・グリーン盤では〈Idle Moments〉(’63)と〈Street Of Dreams〉(’64年11月)の間に位置します。
曲目も全曲興味深いものです。
1.はデューク・ピアソンの曲。
2.はジョージ・ラッセルの曲。(リー・コニッツとマイルスの”Ezz-Thetic”というLPレコードを持っています)
3.はグリーンの自作曲。
4.はソニー・ロリンズの曲。〈Moving Out 〉に入っていたカッコいい曲。
5.はジョー・ヘンダーソンの曲(ホレス・シルバー〈Song For My Father〉に入っていて印象的だった曲。
6.はバート・バカラックの曲。
聴きましょう。
タイトル曲 SOLID
The Kicker
ジョー・ヘンダーソンのテナーはコルトレーンとは異なる、新しい感覚を示しているように聴こえます。(実際ジョーヘンのテナースタイルはフュージョン時代も生き抜き’90年代に届きました。2001年没)
Minor League
この曲を作ったデューク・ピアソンのことに触れますが、
ピアソンは優れたピアニストでありBLUENOTEに自己名義アルバムも出しているのですが、その能力を社主のアルフレッド・ライオンに認められBLUENOTEのスタッフとしても働いていました。A&Rマンとしてスカウトやプロデュースを担当しました。つまりBLUENOTEでは色んな意味で重要な人です。
それでは聴きましょう。
飛び出してくるジェームス・スポールディング(as)のテンションが尋常無い高さです! グリーンのソロも!
そしてエルヴィンのドラムスが何と色彩感に溢れていることか!
そして、ジョー・ヘンダーソンのソロもマッコイ・タイナーのソロもカッコいいものです。
まとめ
グラント・グリーンの「ソリッド」という1枚のアルバムから3曲を聴きました。
それにしても、こんな素晴らしいアルバムをボツ、オクラ入りにするなんて、BLUENOTEというレコード会社の質の高さを逆証明していることになりますね。
それとも何らかの事情、戦略のようなものがあったのでしょうか?
このLTシリーズ、他にもリー・モーガン、ドナルド・バード、ボビー・ハッチャーソン等などの作品がラインナップされています。
999という数字は2012年発売時の値段が999円だったからですが、
残念ながら、今はどの盤もかなり値上がりしているようですね。
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