Never Let Me Go「わたしを離さないで」という曲がカズオ・イシグロのノーベル賞受賞で注目されている?
画像はYouTubeより引用加工。
カズオ・イシグロが今年(2017)のノーベル文学賞を受賞しましたね。
そこで当然カズオ・イシグロの作品に注目が集まっています。
私は残念ながらこれまで「夜想曲集」という短編集を1冊読んだだけです。
「日の名残り」は本は読んでいませんが、映画を観た後で短い感想文を書きました。 ⇨
そしてもう一つの代表作が「Never Let Me Go、わたしを離さないで」です。
こちらも映画化されています。
(筆者は未読、未見です。見てないので書けませんが、クローン人間を扱ったSF的作品のようです)
そしてこのタイトルは音楽の曲名でもあります。(ジャズのスタンダード・ナンバーです)
美しいメロディの曲です。聞き覚えのある方も多いと思います。
結構古い曲です。
今ざっと調べましたが何時作られたかは分かりませんでしたが、若い頃のナット・キング・コールも歌っていましたから遅くとも’50年代初めには出来ていた曲のようです。
クレジットでは Jay Livingstone(詩) Ray Evans(曲)となっています。
この機会にこの美しい曲を見直してみたいと思います。
Contents
Never Let Me Go という曲
●「Never Let Me Go という曲」と書くと、少し混乱があるようですので、整理します。以下の3種があります。
1.アメリカのスタンダード・ナンバーとしての Never Let Me Go
2.カズオ・イシグロ原作の映画「Never Let Me Go」の挿入曲
ジュディ・ブリッジウオーターという架空の歌手が歌っている。3.日本のテレビドラマ「Never Let Me Go」の挿入歌
(やまだ豊:曲、ジュリア・ショートリード:歌)⇨私が語っているのは 1.の意味です。
(最後に少しだけ2.についても書いています)
という訳で、とにかくその曲を聴いてみましょう。
ビル・エヴァンズ
ビル・エヴァンズのピアノ・ソロでメロディを思い出して下さい。
どうでしょうか? 聴き覚えあったのではないでしょうか?
このアルバムに入っています。
ちゃんと歌詞もついているので、歌詞があったほうがわかり易いかも知れませんね。
あとで歌詞付きの曲もアップしますので、もう少しおつきあい下さい。
村上春樹とカズオ・イシグロ
既存の曲名をそのまま本のタイトルに使うのは村上春樹が良くやることで有名ですね。
村上春樹はカズオ・イシグロと作家同士として仲が良いようで、時々村上の書くものにカズオ・イシグロの名前が出てきたように思います。
中でも「小澤征爾さんと、音楽について話をする」の文庫本版では、文庫で追加された最終章「厚木からの長い道のり」で村上とカズオ・イシグロの歓談の様子を書いていました。
私がこの本を紹介したブログ記事 ⇨ からその部分をピックアップします。
この章の最初は村上春樹が英国人の作家カズオ・イシグロと東京で会って食事をするエピソードから書き始められている。イシグロはちょうど長編小説を書き上げたばかりで、あとは出版を待つばかりという時期だったとのこと。
その時音楽の話から、ジャズの話になって村上春樹が「日本にジュンコ・オオニシという素晴らしいピアニストがいるんだよ」と言う。
「高い音楽性と、見事なリズム感を持っている。彼女は本物だよ」と。イシグロが興味を持ったようなので、村上は後でイシグロが泊まっているホテルまでオオニシの新しいCDを届ける。
数か月後イシグロの新作長編が出版され、そのタイトルを見て村上は息を呑む。その本のタイトルが「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」だったからだ。
『僕がイシグロにプレゼントした大西順子のCDの中にも「Never Let Me Go」が含まれていた』
どのCDかは書かれていないが、私は大西順子が出したCDはほとんど持っているので勿論どのCDか分かります。 これです。↓
大西順子
という訳で大西順子が演奏する Never Let Me Go を聴きます。
ロイ・ハーグローブ
音がきれいなトランペッター、ロイ・ハーグローブがこの曲を愛奏していたようです。
ライブ映像がありますので、是非聴いてみましょう。
ここではフルーゲルホーンで吹いています。叙情的ないい演奏ですね。
⇒いい動画だったのですが、消されてしまいました。(残念です)
⇒(追記)またアップされましたので再度貼り付けます^^
●ハーグローブは このアルバムでも、Never Let Me Go をやっています。
このアルバムはタレンタイン、ジョー・ヘンダーソン、ブランフォード・マルサリスといったテナー奏者と曲変わりで演奏しているという面白いアルバムなのですが、何故かこの曲だけはテナー無しで、ピアノトリオ伴奏でしっとりと演奏しています。
ウィントン・マルサリス
トランペットと言えば、ウィントン・マルサリスが Standard Time Vol.3 でこの曲をやっています。
お父さんのエリス・マルサリスのピアノ伴奏だけで吹いています。
この曲、トランペット吹きも刺激する曲のようです。
ジョン・ヒックス
この曲〈Never Let Me Go〉多くのピアニストがやっています。
キース・ジャレット(Standards Vol.2所収)やマッコイ・タイナーの演奏もありました。
しかし、私が気に入ったジョン・ヒックスのトリオの演奏をアップします。
明快なタッチでくっきりと曲を演奏するヒックスの演奏には好感が持てます。
ドン・フリードマン
Too Much かもしれませんが、最後にもう一つピアノトリオの演奏をアップします。
ビル・エヴァンズ的に(と言ったら本人は不満かもしれませんが)美しいピアノで有名なヴェテラン、ドン・フリードマンのライブ動画 がなかなか素晴らしいのです。
ーーーー引き続きヴォーカル・ヴァージョンを紹介します。
この曲のヴォーカルヴァージョン
インストルメンタルの演奏だけで、この曲の美しさはお分かりと思いますが、
やはり歌詞付きで聴きたいという方もいらっしゃるでしょうね。
アイリーン・クラール
アイリーン・クラールは余り有名ではありません。46才と早死にしたこともあります。
むしろ兄のロイ・クラールが一般的には有名でしょう。ジャッキー&ロイ というヴォーカル・グループで活躍をしました。
ともあれ、アイリーンの歌を聴きましょう。
ボズ・スキャッグズ
あのボズ・スキャッグズがこの曲を歌っています。
このアルバムに入っています。
それを聴きましょう。
なかなかステキなジャズ です。
*ヴォーカルも数多くあるんですが、2つにとどめます。
まとめーー映画についてなど
Never Let Me Go という曲、6つのインスト演奏(4つのピアノ、2つのトランペット)
と2つのヴォーカル・ヴァージョンで楽しみました。
ただ、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」でこのサイトを訪ねて下さった方には情報が足りないでしょうから、スタンダードナンバーとしてのこの曲から離れて、
映画の予告編をアップして終わりにします。
ここで歌われているジュディ・ブリッジウオーターという謎の歌手のオールディーズ的な歌についてはよく分かりません。
劇中で歌われているようです。なかなか涙腺を刺激するような設定、曲、歌唱ですね!
私はアル・パチーノが主演した映画「Sea Of Love」の挿入歌を思い出しました。(メロディが似ていますが、そのオールディーズなチープ感も似ていると思います)
*この小説(映画)は予告編でも想像されるように、異色のシリアス世界を描いているようですね。私は申し訳ないですが、今のところ小説も映画も余り読みたい、観たいとは思いません。
★これで終わります★
★最後までつきあって下さってありがとうございました★