映画「フィッシャーキング」ロビン・ウィリアムズ・現代アメリカの寓話または病理
不思議な映画だった。
考えてみれば2014年に自死したロビン・ウィリアムズが出演した映画には、このような不思議な味わいをもった映画が多かった気がする。
人気DJジャック(ジェフ・ブリッジス)はやりたい放題で、豪華なアパートに住み、いい女と暮らしている。
なんだか嫌な奴を見せられるなぁと思って見ていたが、
彼がラジオでそそのかしたオタク気味の男がレストランで乱射事件を起こし、その番組との関連を指摘され失脚する。
3年後ジャックはビデオ屋の女のヒモ同然になっていて酒浸りになっている。
ある日泥酔して彷徨うジャックは暴漢に襲われ殺されそうになる。そこを救ってくれたのがペリー(ロビン・ウィリアムズ)と仲間のホームレス達。
ここから物語は一気に不思議な世界に入ってゆく。日本人には馴染みのない聖杯伝説など、ちょっと分かりにくい点もあるが、ペリーが実はもとは大学教授で、レストランで食事をしていた時に乱射事件に巻き込まれ愛する妻を亡くし、精神に破綻をきたしているが分かる。
2重の負い目と恩を返すためにジャックがペリーのために、ペリーが見初めた女性との縁を取り持とうと動く。
このエピソードがこの映画を心温まるものにしているのは確かだが、ストーリーは単純なものではない。
現代アメリカの寓話のような話であり、一応ハッピーエンドで救われる気分になるのだが、アメリカ人の心の奥の病理みたいなものを垣間見た気もして、(ロビン・ウィリアムズの自死のニュースが影響しているのかもしれないが)ちょっと複雑な気分にもなる。
タイトルの「フィッシャー・キング」 はやはり