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セロニアス・モンクの名盤を聴く:何故その不思議な音楽が人の心に入り込むのか?

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。
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たくさんの音楽やジャズを紹介してきました。

しかしセロニアス・モンクについては余り書いていないように思います。

モンクの音楽について書くことはけっこう難しいことです。

モンクの音楽は不思議な音楽です。

あの調子外れに聞こえるピアノを弾くミュージシャンの音楽が、(モンクが音楽界から身を引いて既に半世紀近く経っているにもかかわらず)いまだに聴かれていて、21世紀になっても下のような本が出版されているという事実は何を意味するのでしょうか?


*この2冊の本(どちらも村上春樹翻訳です)はこの記事を書くにあたって参考にします。

 

いま、この下の目次を見て「げっ、10曲以上あるみたい。そんなに聴いてる暇はないよ、聴けるかいっ!」と思ったそこのあなた!

だったら4番目の「スタンダード曲をやるモンク」で、ソロで「アイ・ラブ・ユー」という曲をやっています。モンクという人が少しわかります。 または一番最後においている有名なアルバム「5by Monk by 5」の「ストレート・ノーチェイサー」でもいいです。

 

とにかく聴いてみて! 聴きなさい! 
聴くんだ!  聴け!

聴いて下さい!

 


モンクが作った曲:Round Midnight

どこからモンクのことを書き始めたら良いのか、とまどいを感じるのですが、モンクが作った曲のことから初めましょう。

モンクはたくさんの有名な曲を作っています。

中でも ’Round Midnight 「ラウンド・(アバウト)・ミッドナイト」という曲は余りにも有名です。

もしかしたらジャズ史上最も有名な曲ではないでしょうか?

聴いてみましょう。勿論モンク本人の演奏で。
たくさんあるのですが、どうせなら一番古い録音、1947年にBLUENOTEレコードに吹き込んだ演奏で聴きます。

このアルバムに入っています。

◎あるいはマイルス・デイビスのこのアルバムでこの曲を知ったという方も多いのでしょうか。
これもモダンジャズを代表する名盤ですね(ジャケットがカッコよすぎる!)

このマイルスの演奏する’Round Midnight もこの曲の名演であることは間違いないので、この機会に聴きましょう。サックスはコルトレーンです。

◎筆者がこの曲を最も数多く聴いたのは、〈Thelonious Himself〉というソロアルバムでの演奏でした。

 

若いころ(正確に言えば大学受験浪人生のころ)このレコードをよく聴いていました。

なぜそんなに惹かれたのかはよく分かりません。

しかし、その頃の私がこのアルバムを必要としたことだけは間違いありません。

 ★ ☆ ★ ☆

モンクの名前はこの曲を作曲したというだけで、歴史に残るべきです。

こんな奇妙で魅力的な曲を作れるなんて天才です。

この曲をモンクは何度も演奏、録音していますがその度に名演が生まれています。

しかしモンクは他にも数多くの印象的な曲を作っています。

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Well You Needn’tとBlue Monk w/ジョン・コルトレーン

 

Well You Needn’t

「そうさ、必要ない!」という曲。

これも余りにも有名な曲ですが、〈Monk’s Music〉というアルバムに入っているこの曲の演奏が良く知られています。

テナーサックスがジョン・コルトレーンです。(マイルスのバンドをクビになったコルトレーンを誘ったのがモンクでした)

そしてこの演奏の2分20秒あたりで「コルトレーン、コルトレーン!」と呼びかけるモンクの肉声が聞こえます。

おそらくコルトレーンが自分のソロの順を忘れボンヤリしていたために発せれた声だと思われます。

佐賀県鳥栖市に今もあるジャズ喫茶「コルトレーン・コルトレーン」はここから名前を取ったそうです。

写真はGoogle mapより

 

それにしてもこの演奏は不思議な活力と魅力に溢れています。

後から出てくるもう1本のテナーサックスはコールマン・ホーキンスです。

1957年5月の録音です。

Blue Monk 

モンクの自作曲はたくさんあるのですがこの「ブルー・モンク」も外せない曲です。

繰り返し演奏されていますが、ここではやはりコルトレ―ンとの演奏にします。

音源は2005年に発掘されて、コルトレーン・ファンを狂喜させた〈Thelonious Monk Quartet with John Coltrane at Carnegie Hall〉からのものにします。(1957年11月)


ベースはアーマッド・アブドゥル・マリク、ドラムスはシャドウ・ウィルソン。

●この文はモンクについて書いているのですが、’57年のコルトレーンがいかに凄いところまで来ていたかを確認できる貴重な発掘音源です。またそれを引き出したのがモンクであったという意味でモンクという人の凄さを確認できることにもなります。
モンクとコルトレーンの「対話」をここまではっきりと捕えた盤は他にはありません。
(他の盤でのチャーリー・ラウズのテナーと比較して聴いて頂くと面白いですーー後で紹介するLive at It Club 盤でも1曲目に演奏されています。)

 

モンクとマイルス・デイヴィス、ミルト・ジャクソンの共演

■もしかしたら、モンクの曲や演奏の特異性に馴染めない方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、ここでモンクの作曲ではない曲でマイルス、ミルト・ジャクソンと共演している〈Swing Spring〉を聴いていただきたいのです。

このアルバムからです。

これは大変興味深いアルバムです。

マイルスがMJQのメンバー、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds)と共演しているのですが、何故かピアノがモンクなのです。 アルバム〈Bag’s Groove〉のタイトル曲と同じです。

マイルス、ジャクソン、モンクがソロを受け渡しますが、見事なものです。

このアルバムではモンクの曲〈Bemsha Swing〉などもやっています。
マイルスのクールなカッコよさも改めて感じます。

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スタンダード曲をやるモンク

ソロのモンクが素晴らしい。

そして自作曲ばかりが有名だが、人の作った曲でも素晴らしい演奏が出来るという意味でラブソング・スタンダードの〈I Love You〉を弾くモンクを聴いてみましょう。

どう思われましたか?いやどう感じられましたか?

「アイ・ラブ・ユー」というラブソングです。
もしあなたが女性なら、ものすごく不器用な男から告白を受けているような気分になりませんでしたか?(笑)
少なくとも男の誠実さは伝わって来たのではないでしょうか?
どこか人の心を打つものがあります。
そして(やはり陳腐な言葉を使うことになりますが)癒やしを感じます。
不器用な男が不器用な愛の告白をする姿を見るように。

誠実さは人の心を癒やすと思うのです。誠実であれば、人生悪くないかもと。
そんな音楽だと思います。

 

この↓ただMONKとかかれた真っ黒なジャケットのアルバムに入っています。

モンクのライブ動画 ’66

このへんでモンクのバンドを動く姿で見てみたいですね。

曲はまたモンクの曲「リズマニング」 In Londn,1965 

いやー、動画だとまた違いますね!
メンバーは

Thelonious Monk (p)
Charlie Rouse (ts)
Larry Gales (b)
Ben Riley (d) です。

マイルスやコルトレーンとは違った意味でのモンクのカッコよさも感じます。

モンクはその名前にちなんで「ジャズの高僧」と呼ばれました。その名にふさわしい映像でした。
長くモンクのバンドに在籍したテナーのチャーリー・ラウズの奮戦ぶりも見応えがありました。
ラウズのいぶしがかかったようなサックスの音はモンクの音楽に良く似合います。

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Live At It Club

ライブ演奏を見たところで、モンクの音楽を堪能できる優れた2枚組ライブ録音CDがありますので紹介します。

ジャケットも凄くイイです。

このアルバムから1曲。

どの曲もいいのですがスタンダードの〈All The Things You Are〉を聴きます。

’64年のライブ録音ですが、音も良く、聴きやすいアルバムです。

モンクがやる「荒城の月」

 

ここで、一般の興味に応えるためにモンクのグループがやるJapanese Folk Song (←そうじゃないんですけどね)即ち「荒城の月」を聴きます。

チャーリー・ラウズのサックスがいい感じですね。

それにしても凄いことになってますね。

このアルバムに入っています。

———————————

Solo Monk

モンクのアルバムにはジャケットが秀逸なものが多いですね。
次の2枚などその最たるものです。

■Solo Monk

■Underground

〈Solo Monk〉から〈Dinah〉を聴きたいです。

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モンクが奥さんネリーのために書いた曲

モンクという人は今の言い方で言えば統合失調症だったと思われます。ドキュメンタリー映像を見ましたがその行動は明らかにヘンです。

ネリーという献身的な妻(黒人、決して美しくはない)がいなくては何にも出来ないような人です。

 

そのネリーのためにモンクが書いた曲があります。

〈Crepuscule with Nellie〉という曲です。変なタイトルです。「ネリーと(共に)夕暮れ」みたいな感じでしょうか。

聴いてみましょう。モンクらしく甘い曲ではありません。モンク節です。

我が日本が誇るジャズ・ウーマン・ピアニスト、大西順子はこの曲を聴いて衝撃を受けクラシックからジャズに転向したとどこかで読みした。

「クレプスキュール」はMonk’s Musicに入っています。

クレプスキュール で終るわけにはいきませんので、最後はやはり Riverside レコード時代を2枚聴いて終わりたいと思います。

ミステリオーソ

キリコの絵をカヴァーに使ったアルバム〈misterioso〉です。

1958年 Five Spot Cafe でのライブ録音です。

曲は〈In Walked Bud〉にします。

メンバーは

Thelonious Monk (Piano)
Ahmed Abdul-Malik (Bass)
Johnny Griffin (Tenor Saxophone)
Roy Haynes (Drums)

サックスにグリフィンは珍しいですね。このメンツもなかなかに魅力的です!

5by Monk by 5 から「ストレート・ノーチェイサー」を

このアルバムも忘れられません。
最後にこのアルバムからこれもモンクが作った代表曲と言える〈Straight,No Chaser〉を聴いて終ります。

Thelonious Monk( piano)
Thad Jones ( cornet)
Charlie Rouse( tenor sax)
Sam Jones ( bass)
Art Taylor ( drums)

↑このメンバーでのこの曲はたまりません。特にサドの参加が白眉です。最高です!
これを聴いて感動しないならJAZZなんか聴かないほうがいいです。

 

まとめ

作曲家として演奏者として、モンクは間違いなく天才でした。

セロニアス・モンクの音楽を紹介するにあたってこの選盤、選曲で良かったのか?疑問は残ります。

ただ、出来るだけモンク自身が作曲した曲を選びました。

モンクの作る曲はモンク自身に演奏されることを望んでいる曲だと思えるからです。

モンクの名前は(パーカー、マイルスと共に)ジャズという音楽が続く限り語り継がれることでしょう。

最後まで読んでくださってありがとうございます

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