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微笑みの国タイの「いいかげんさ」と「寛容さ」そして日本人の非寛容と窮屈さ

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。

私が住んだことがある唯一の外国タイという国について思い出すことを書いてみます。

そして、翻って、さて私たちの国日本はどうなんだろう?

特にその「寛容度」について考えてみたいのです。

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タイという国に住んで感じたこと

 

私がタイで暮らしたのは1988年から1995年までの7年間でした。

もう25年も経っていますので、書く内容に古さがあるかもしれませんが、本質的なところは余り変わらないと思っています。

日本人が短い旅行ではなく、長い滞在で「微笑みの国」タイランドにいて感じることは、現地の人の いいかげんさ、緩さ、ルーズさ、でしょう。

早めに書いておきますが、その「緩さ」がすっかり気に入って、はまってしまう日本人もたくさんいるという事実もあります。

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「いいかげんさ」と書きましたが、それは悪口というばかりではないのです。

では具体的にどんな風に「いいかげん」なのかを書いてみます。

とにかく時間にルーズ。約束の時間を守らない。

これは仕事でもプライベートでも同じです。

日本人はすごくパンクチュアル(時間に正確)ですよね。約束の時間を守らないと怒りますよね。

タイの人は1時間の遅刻くらい当たり前です。1時間遅れてやってきたくらいでは謝ることすらしません。当然という顔でやってきて「こんちわ」と椅子に座ります。

さすがに2時間の遅刻だと「ちょっと渋滞していてね」…くらいの弁解はします。だけど謝ったりはしません。

私が経験した実話を一つ書きますと、現地では割と有名な会社のタイ人と約束をしました。

「午後1時に私の会社に来てもらって打ち合わせをする」という約束でした。
ところが午後2時になっても来ません。
もう現地事情に慣れていた私は「やれやれ、やっぱりね」と思いました。
で、午後3時を過ぎました。さすがにちょっと苛立った私は彼の会社に電話をしました。
すると、彼は会社に居ました。

全然悪びれてもいません。「1時に約束したよね」と言いました。

日本人なら「あっ忘れてた!」とか演技したりするかもしれませんが、彼は平然として「イエス」と言います。 

わたし
1時に約束したよね
かれ
イエス
わたし
じゃあ、何故そこにいるの?
かれ
・・・・
わたし
こっちはずっと待ってたんだよ。何かあって、来れなくなったのなら、少なくとも電話くらいすべきじゃない?
わたし
It’s a common sense,Isn’t It ? (それが常識ってもんじゃないない?)
かれ
It’s your common sense, not mine .(それは君の常識で私の常識ではない)

 

ちなみに「彼」はタイの東大(この言い方が失礼かも)と言われるC大学卒です。
さすが、巧いことを言う・・・って感心したりして。

「わかった。じゃあもう君とは仕事はできないね!」と言って電話を叩き切ることしかできませんでした。

日本の会社でこんなことがあったら、どうなりますか?

ちなみにこの「時間を守らない問題」は何もタイに限ったことではなく、東南アジア一般に言えることでしょう。 いや、ラテン系の国でもよく言われることですよね。

日本でも「沖縄時間」などと言いますから、南に行くほど時間にルーズになるのでしょうか。

 

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車に関するルールがとんでもない

多くの道路に路上駐車します。縦列駐車です。

暗黙のルールは サイドブレーキをかけない、ギアをニュートラルにしておく ことです。

バンコクはチャオプラヤ川の河口の平坦な町で坂がないので問題ないのです。

ぎっしり縦列駐車してあるんですが、すこし隙間を見つけると、停めてある車を押してバンパーを前の車にぶつけてスペースをつくります。
後ろ側も同じ。そうやって自分の車を停めるスペースをつくって器用に駐車します。

バンパーはぶつけるためにあるという考え方です。

日本でバンパーをぶつけてそのままにしていたら、「当て逃げ」という罪になるでしょうね。

警察がいいかげん、役人がいいかげん

これはちょっとさすがに詳しく書くことはできません。

とにかく日本人の「常識」からすると、とんでもないことがたくさんありました。

*そんなタイの人々、それだけいいかげんですから、他人にも寛容です。外国人にも寛容です。さすが「微笑みの国」と言われる国です。

日本がその気配りに溢れたホスピタリティーで評判がいいのと違う意味で、外国人に優しい国だと思います。

 

タイになじむと・・・

仕事でタイに来ている人(会社の駐在員など)は、このタイのいい加減さ、ルーズさに悩んだり苛立ったりするのですが、

この緩さに馴染んでくると、段々心地よくなってくるのです。

タイは暑い国です。1年中夏だと思って頂けばいいです。

その暑さの中でカッカとして、頭に血をのぼらせている日本人を見ると、「何もそんなにあくせくしなくても・・・」と思うようになります。

いわゆる現地化ですね。「郷に入れば郷に従え」ということです。

私の場合身体のほうがまず現地化しました。
タイに住んで2年ほど経った時、体温が37度2分になって下がらなくなりました。

病院に行って「微熱が下がらないんですが」というと、タイ人医師は「タイに来て何年ですか?」と聞いた後、笑って「身体がタイ人になったんですよ。37度2分はタイ人の平熱ですよ」と言われました。

会社に帰って現地スタッフに聞いたら確かにその通りでした。

何だか気持ちいいなぁ、という感じでした。

身も心も現地化したという訳です。

実に楽なのです。服装も一年中同じでいいし、衣替えの面倒さもない。

トロピカル・パラダイス だと思いました。

プーケット、サムイ島を始めとするビーチ・リゾートもたくさんあるし、

物価は安いし。(感覚ですが、当時は日本の四分の一から五分の一という感じでした)

タイでは歴史上、餓死した人、凍死した人がいないそうです。

それはそうでしょう。裸で寝て平気な気候ですし、南国の豊かな果実が実ってますから。

プーケット

プーケット

それと宗教が仏教であり、立憲君主国(王様がいる)ということも日本人には親しみを感じやすい国柄だと思います。

そんな国に7年間を暮らして、日本という国に戻ってきたらどう感じるか?

まず、日本の冬が物凄く寒く感じました。こんなに寒かった?と思いました。

それはまあ、いいのですが、問題だったのは、

「日本人が怖い」と思うほどの圧迫感と窮屈さと戸惑いを感じたのです。

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「いいかげん」で思い出した村上春樹のエッセイ

どの本だったか探すのが面倒なので、記憶で書きますが(細かいところで違いがあったらすみません)
村上春樹がイタリアに住んでいたころのエピソードをエッセイで書いていました。

ある日郵便局に行った。(郵便がキチンと届くのは日本の常識で、イタリアなどでは届かないことも多いという話も書いてあったと思いますが、それはここでは別の話です)

そこでいくつかのものを買った。 確か額面の違う切手を何種類か違う枚数買った、ということだったと思います。
この計算がどうなるか?

窓口の女性が電卓で計算するのだが、その計算結果がどうもおかしい。納得がいかない。
それでそう言うと、計算し直す。すると違う数字になる。計算し直す。また違う数字になる。
最後は頭に来た係の女性が、4つの数字を書いた紙を見せて「この中から好きなものを選べ」と・・・。 当然一番安い数字を選んだけど、それだって高かったかも・・・

という話だったと思います。

 

私が言いたいことは、日本という国は良くも悪くも「異常なほどキチンとした特別な国」だということです。

私が暮らした国はタイ国だけなので、そのことを書きましたが、ヨーロッパ(特にラテンの国では)でもこんなことがあるということです。

 

アメリカの柔軟性(フレキシビリティ)

アメリカの柔軟性について2つのエピソードに触れます。

高速道路の料金所が無料開放

これは随分前の話だったと思いますが、テレビで見たことです。

高速道路がひどく渋滞していた。

特に料金所で車がつかえていた。

そこで料金所の係員が自己判断でバーを挙げて無料で開放した。

おかげで渋滞は解消し、この処置と判断が称賛された、というエピソードです。

日本ではあり得ないでしょうね。特に係員の自己判断というところが。

ロスの空港の売店のレジのフレキシブルな対応

これは私が体験したことです。

日本に帰る時、トランジットでロスの空港に居た時ポケットの中に15ドルと数セントが入っていました。 こんな小銭を持って帰っても仕方ないので使おうと思い、売店を見ると15ドルの長袖Tシャツがありました。

それを持ってレジに並びました。(レジは混んでいました)
15ドルを払うと「TAX分が足りない」と黒人女性のレジの人に言われました。

「そうか、気付かなかった」と思いながら持っていた僅かなコインを見せると、「OK、それでいい」と言って売ってくれました。そのわずかなコインではTAXに足りないことは明らかだったのですが。

このこと、日本なら諦めてレジを離れるしかないケースだと思います。

日本では個人商店でも無い限り、1円でも足りないとおまけしてはくれません。

そういうシステムになっているし、レジ係に1円をおまけする権限が与えられていません。

もし混んでいるスーパーのレジで1円が足りない(10円でも100円でもいいんですが)おばあさんがいたとしてあなたがレジ係だったらどうしますか? 通してあげて、その分を自分が負担するのが一番適切な対応でしょうね。
 

まとめー日本人は内弁慶?

今、日本人の細やかな気遣いが、外国人旅行者にとっては「素晴らしいホスピタリティ」と評判だという意見が多いですね。

確かにそうだと思います。

しかし、日本人が日本人に対する態度は、そんなに優しく、あたたかいものではないこともまた事実ですよね。

むしろその几帳面さゆえに、同胞(などという古めかしい言葉を使ってしまいました)にはひどく厳しいのではないでしょうか。

時間に関しては1分の遅刻も許さないという、マシーンのような、ロボットのような対応ですね。

外国人(旅行者)への優しさに比べると「日本人は内弁慶か?」と思います。

外国人に対して1分遅れたからダメ!」などと言いますか?

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・タイといういい加減でルーズではあるが、外国人にも身内にも同じように、寛容である国民性を知っている私には、日本人の几帳面さ、非寛容さ、が気になって仕方ないのです。

・特にルールを守らない人を見つけた時の、鬼の首でも取ったような、ヒステリックな非寛容性が、はっきり言って嫌いです。

・ある程度のルーズさに対する寛容さこそ、本当に成熟した社会だと思えてならない私は、日本人として異常なのでしょうか?

・アメリカのフレキシブルな対応を見ても、どうしてもそちらのほうが成熟社会という気がします。

・ただ、日本という国ではその几帳面さ、ルールに厳密なことで、全てが正確で規則正しく、パンクチュアルな社会が回っていることは分かります。

しかし、それでもなお場合によっては緩い、規則を敢えて曲げる判断もあって良いのではないか?と思ってしまいます。

最後まで読んで下さってありがとうございます

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