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沢木耕太郎の本「銀の森へ」「銀の街から」は映画への誘惑に溢れている

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。

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沢木耕太郎が映画について書いた本

「銀の森へ」「銀の街から」の2冊は

「この映画が面白いよ!」「この映画観たら!」

と、映画を観ることへ誘惑する文章を集めたものです。

実際この2冊の本を読むと、紹介されている映画を「是非観たい!」と思いますし、既に観た映画であれば「また観直したい!」と思うのです。

 

両方のタイトルに「銀」と入っているのは、
(若い人で分からない方もいると思うので、一応書くのですが)
かって、白黒映画の時代には、映画のスクリーン(映写幕)は
Silver Screen「銀幕」と呼ばれていました。

 

「銀の森へ」「銀の街から」の背景

この2冊の本は、沢木が朝日新聞に連載(月に1回)した映画案内を(単行本→)文庫化したものです。

1冊に90本の映画について書いていますので、2冊で180本の映画を語っています。(1本につき4頁ほど)

ただ(当然ですが)最新の映画ではありません。

大体次のようになっています。

「銀の森へ」:1998~2006年の映画

「銀の街から」:2004~2013年の映画 

以前の沢木の映画の本

ところで沢木の映画の本と言えば、知ってある方も多いでしょうが次の2冊がありました。

 

こちらは「暮しの手帖」に連載されたものをまとめたものです。

こちらのほうが先ですので、もう少し古い映画について書いてありました。
(大体1990年ごろから2006年までの映画です)

こちらは2冊で60本くらいの映画を語っています。
「銀」の2冊とほぼ同じ厚さの本ですから、1つの映画について「銀」より3倍の長さで書いてあることになります。(よって映画エッセイと呼ぶべきような文となっています)

 

どちらも長いタイトルがつけられていますが、本を読み通せば「なるほど」とそのタイトルの意味を深く理解することになります。

この2冊も素晴らしい本でしたが、今日は「銀」について紹介します。

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「銀の森へ」「銀の街から」

一つの映画を4頁ほどで紹介する時、一体どのように書くでしょうか?

沢木耕太郎の紹介の仕方、特にその書き出し方が実に上手いのです。

どの映画でもいいのですが、書き出しの一節を引用したいと思います。
(本当にどの映画の文でも同じようにいいのです。)

トラフィック

全体を描くという野心

『この映画にはマイケル・ダグラスも出ていれば、デニス・クエイドやこれでアカデミー助演男優賞に輝いたベニチオ・デル・トロも出ている。
しかし、これは誰のものでもなく監督のスティーヴン・ソダーバーグの映画である。なぜなら、この映画はソダーバーグの「戦争の全体を描く」という野心に支えられているように思えるからだ。
そう、これは戦争映画だ。飛び交う銃弾は、火薬を内包した鉄の塊ではなく、麻薬と金。だが、この「麻薬戦争」と戦争の戦場はあまりにも広大すぎて、誰が敵でどこに味方がいるのかわからない。誰が兵士でどこが銃後なのかも定かではない。各地で無数の戦いが展開されているのはわかるのが、それらをすべて把握できている人はいない。ソダーバーグは、そうした「見えない戦争」を描くために、さまざまなレベルで同時多発的に起きている「戦闘」を、並列的に提出するという方法を採った』

これは言うまでもなく、スティーヴン・ソダーバーグが「セックス嘘とビデオテープ」「エリン・ブロコビッチ」の2作で名を挙げた後に撮った映画「トラフィック」について書かれた文章の書き出しです。

 

筆者はこの映画を観ているので、文を読むと、映画のイメージが頭に浮かび、また観たくてたまらなくなりました。あのデル・トロの顔が、あのマイケル・ダグラスの顔が、あのキャサリン・ゼタ・ジョーンズの顔をもう一度観たいと!

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天空の草原のナンサ

今度はモンゴル映画というマイナーな作品の紹介です。

モンゴルに生きる聖家族

『広大な草原にぽつりと建っている遊牧民の包(パオ)がある。そこには若い夫婦と幼い三人の子供たちが暮らしている。
ある日、一番上の女の子であるナンサが子犬を拾ってくる。父親は捨てなさいと命じる。いちど野生化した犬は狼を呼び寄せてしまうかもしれないというのだ。ナンサは父の命令に逆らうことはできないが、どうしても子犬を手放したくない。果たしてナンサはその子犬を飼うことができるだろうか?

実は、劇映画としての「天空の草原のナンサ」の骨格はたったこれだけなのである。冗談ではなく「果たしてそれで映画として成立するのだろうか?」と心配になってしまう。
ところがこれが見事に成立しているのである。それは虚構の枠組みを大きくはみ出す「存在の力」というべきものが全編にみなぎっているからだ』
(下線は筆者)

いかがでしょうか?この映画もちろん観ていないのですが、観たくなります。

 

まとめ

こんな風に紹介してゆくとキリが無いので、2本だけで止めておきますが、

何しろ180本の映画がこのように紹介されているのです。

それがどんな180本かは、こちらから↓見れるようになっています。

 

繰り返しますが、観た映画はどう書かれているかを読むのが楽しいし、未見の映画はどれを本当に観るか考えることになります。

「銀の森から」の方で筆者がすでに観た映画をリストアップします。

・ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
・モルコヴィッチの穴
・アメリカン・ビューティ

・ダンサー・イン・ザ・ダーク
・トラフィック
・ビューティフル・マインド
・ショコラ
・ピンポン
・戦場のピアニスト
・ミスティック・リバー
・殺人の追憶
・オールド・ボーイ
・ロスト・イン・トランスレーション
・21グラム
・Ray
・サイドウェイ
・ミリオンダラー・ベイビー
・メゾン・ド・ヒミコ
・かもめ食堂

*沢木耕太郎が珍しく、最初から最後までけなしていたのがソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」でした。けなすために書くというのも沢木としては珍しいことです。(無視すればいいのですから)余程気に入らなかったようです。

*4冊読めば、約240本の映画について知ることができます。

最後まで読んでくださってありがとうございました

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