マイルス・デイビス:帝王と呼ばれた男・モードジャズからエレクトリックへの移行期から書き始めることにしよう

      2017/08/18

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はじめにーMiles Davis のこと

日本語表記について

Miles Davis の日本語表記は様々あります。代表的なものは下記の3つでしょうか。

マイルス・デイビス

マイルス・デイヴィ

マイル・デイヴィ

本を当たってみると例えば↓

やはり「マイルス・デイビス」ですね。

この本の翻訳者は元スィング・ジャーナル編集長で「マイルスを聴け!」の著者でもある中山康樹です。

●他に寺島靖国の「辛口!JAZZ名盤1001」でも同様の表記です。

今は無くなったSwing Journal というジャズ雑誌がこの表記を定めたので、いわゆるジャズ評論家の人はこれに従っているようです。

●一方言葉にこだわる人、その代表である村上春樹は終始「マイルズ・デイヴィス」表記です。ジャズに詳しくアメリカにも住んだ村上春樹の表記が一番正しい表現に近いと思われます。

 

マイルスの基本情報

出生名:Miles Dewey Davis Ⅲ
(マイルス・デューイ・デイビス3世)

誕生日:1926年5月26日

出生地:イリノイ州オールトン

死没: 1991年9月28日(65歳没)

活動期間:1944-1991

レーベル:プレスティッジ・レコード

     コロンビア・レコード

     ワーナー・ブラザーズ

                ——wikipedia

    • マイルスの音楽の変遷

人によって異なるマイルス評価

 
この「ジャズの帝王」と呼ばれた稀有のトランぺッターは、ジャズについて書こうとする者にとって、結構やっかいな人です。
 
その50年近い活動期間で、その音楽は(当然のことながら)変化しているのですが、その変化の具合が普通ではないのです。
 
ジャズという音楽の範疇を軽く超えてしまっています
まさに本人が言ったように「マイルス・デイビスという音楽」を演った人でしょう。
 
ジャズ・ファンの間でもその評価の仕方はさまざまです。
 
■ごく簡単に言えば「アコースティック時代のマイルスは好きだが、エレクトリックになってからのマイルスは好きではない」という人が大変多いですね。
 
 ■一方さきほどの「マイルスを聴け!」の中山康樹のように、全てを聴かないと本当のマイルス者ではない」と主張する人もいます。
 
■寺島靖国の場合は「辛口!ジャズ名盤1001」で紹介しているマイルス盤はたったの5枚です。ズート・シムスの23枚などと比べてみても、これはいくら何でもバランスを欠いていると思います。
 
しかもその5枚が
クールの誕生 (これは貶すために採り上げています)
バグス・グルーブ 
ワ―キン
ラウンド・アバウト・ミッドナイト
いつかは王子様が (Someday My Prince Will Come)
 
なのです。
寺島氏はエレクトリックどころかモード・ジャズすら認めていない(または分からない)ことがうかがい知れます。
 
しかし、それは趣味・好みですから仕方ありません。
 
ちなみみに寺島氏のこの本は(偏ってはいるが)ジャズの案内書として名著だと思っています。
誰しも偏っているものですからね。
 
 
「ジャズ・名盤」とタイトルにつく本で〈Kind Of Blue 〉を入れないという暴挙、愚挙をしている唯一の本でしょうね^^しかも本気で良くないと思っているのですから、その偏りも普通じゃないです。
 
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最大の劇的な変化は1968年、European Tour 1967~In A Silent Way~Bitches Brew

 
先ほど アコースティック/エレクトリック と書きましたが、その劇的な変化があったのは1968年のことです。
 
 1967年にマイルス・デイビス・クインテット
:マイルス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービーハンコック(P)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)
はヨーロッパ・ツアーを行っていました。
これがアコースティック・マイルス・デイビス・バンドの最後の姿でした。
 
ブートレグCDも出ていますが、公式DVDで見ることができます。
 
 
この映像について管理人がAmazonレビューに書いたものを引用させて頂きます。
 

1967年のMiles Quintet,ヨーロピアン・ツアーの記録。
正確には2つのセッションからなっている。
1)In Stockholm,SWEDEN, Oct.31.1967
2)In Karlsruhe,GERMANY, Nov.7.1967

話を簡単にするため、1曲に絞る。2)ドイツでの4曲目、Walkin’である。
信じられない速さで演奏されるこの曲。
超高速をたたき出すトニー・ウイリアムスとロン・カーターもめちゃくちゃ凄い。
モーダルなピアノで応酬するハンコックも凄すぎる。
しかし問題はウエイン・ショーターである。
ショーターの頭には数ヶ月前に死去したコルトレーンがよぎっていたに違いない。

ショーターのソロの終わりのほう(6分あたりから)、演奏しているのだけど、ほとんど音を出していない(モゴモゴモゴ)ーーというところには(失礼ながら、不覚にも)笑ってしまった。
これはモード・ジャズの究極、それは結局フリージャズだったというような演奏だ。

Milesという人は慎重にフリーとの距離を置いてきた人だが、このショーターの演奏を見守る目つきは、いつになく鋭い。

かくしてMilesのアコースティック・バンドは終焉を迎え、Milesは翌68年初頭から、スタジオにこもり、そうして出てきたのが”Miles In The Sky”だった。

エレクトリック・マイルスが出現する直前のライブ映像として、貴重なドキュメントである。

上に書いたように、このツアーを終えた後、1968年に出てきたアルバムが〈Miles In The Sky〉であり、初めてエレクトリックを導入したアルバムだったのです。
 
*とは言っても慎重なマイルスのこと、ギターにジョージ・ベンソンを入れ、1曲でハンコックにエレクトリック・ピアノを弾かせ、ロン・カーターにエレクトリック・ベースを弾かせているだけなのですが…。それよりも驚かせたのはロック・リズムの導入の方だったかも知れません。
 
■この実験のあと、約半年後に出たアルバム〈In A Silent Way〉で3台のエレクトリック・ピアノを揃えて本格的にエレクトリック化を進めます。
ちなみにその3人のピアニストはハンコックチック・コリアジョー・ザヴィヌルなのだから半端ではありません。(ザヴィヌルはオルガンを弾いている時間の方が長い)
そしてギタリストとして、ジョン・マクローリン(マクラフリン)を迎えています。
またベース奏者をデイブ・ホランドに変えて全面エレクトリック・ベースにしています。
 
このアルバムこそ本当の意味で新しいマイルス・グループの誕生と言えるでしょう。
 
 
 
 
■更に「ビッチェズ・ブリュー」1969年という超有名な作品で、決定的に古いマイルス・ファンから見放されることになります。^^w
 
この後死ぬまでの20数年、マイルスは留まることなく自分がカッコいいと思う音楽を追求し続けます。
 
milesdavis3
 
 (この↑マイケルジャクソンのようなスタイルのマイルスが「もうダメ」と拒絶反応するのが、古いジャズファンです^^)
 
■〈In A Silent Way〉の良さが分かったら〈Bitches Brew〉の良さも分かってきました。ビッチェズから1曲だけでも聴きましょう。
〈Spanish Key〉です。カッコいい音楽です。
 

■マイルスを見放したジャズファンは、マイルスを「ジャズという音楽から離れた人」として、聴かなくなったと思います。

別にジャズじゃなくてもイイじゃんというマイルス・ファンはどこまでもついて行きました。

 
*ただエレクトリック・マイルスがジャズかどうかということは、ジャズという音楽の定義の仕方の問題ですから、人によって変わります。
これも良く言われることですが、「どんなにスタイルを変えても、マイルスのトランペットが奏でる音楽は同じだ。変わらない」という意見もあります。
 
*デューク・エリントンが言ったように「音楽には2種類しかない。Good Musicと、そうでない音楽だ」みたいな単純な意見に説得力を感じます。
 
*私のように「マイルスは何をやってもカッコ良かったんだ、マイルスは全て聴く価値がある」と思い直した人間もいるでしょう。
 
(但しそういう私もマイルスのベストを数枚挙げよと言われたら、全てアコースティック期のマイルス盤から選ぶでしょう)
 
 
 

Kind Of Blue に始まるモードのマイルス

この文章は1967~68年の大きく変わったマイルスのことを書いています。

そこから時代を逆行させて1959年に戻ります。

1959年~1967年のマイルスです。この時代を一言で言えば「モードの時代」と言ってよいでしょう。

その始まりは1959年のジャズ史上最も有名なアルバム〈Kind Of Blue〉です。

このアルバムについては記事を書いていますのでそちらを参照ください。
 Kind Of Blue / Miles Davis

いま、ちょうどこんなのも出ていますね。↓

 

■ところで、「モード」って何?
という方もいらっしゃると思います。
それをうまく、分かり易く説明することは私の能力を超えます。
(beyond my capability)

そこで、かの菊地成孔氏が分かりやすく説明している動画「モード・ジャズとは何か」という動画がありますので、興味のある方は御覧ください。
ちなみに菊地成孔氏はテナーサックス奏者が本業です。
ここでは、もうモード・ジャズというより、ほとんどマイルスと「カインド・オブ・ブルー」のことを語っています。

まとめ

■ 1967年、アコースティック期のマイルスが終わり、1968年エレクトリック・マイルスが始まる「大いなる変革期」のことを書きました。

■そして1959年の〈Kind Of Blue〉が出た時のことを書きました。
そこからモード時代のマイルスを書くつもりでしたが、長くなりましたので、一旦終わります。

*続きはこちらに書いていますので、よろしくお願いします。

⇒ マイルス・デイビス・クインテットの黄金期

*筆者のスピーカーはこれです。満足しています。一生ものです。

*いい音をもっと気軽に楽しみたい方には、こちらがお勧めです。

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