コルトレーンを聴け!インパルス時代のコルトレーン(その2):名盤・「クレッセント」~「至上の愛」~「オラトゥンジコンサート」

      2017/01/23

「コルトレーンを聴け!」は勿論原田和典氏の本のタイトルですが、確かにこの時代のコルトレーンの録音には、決して聴き易いとは言えないものもあります。
誰かに「聴け!」と強制されて聴くこともいいかもしれません^^。
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Impulse インパルス・レコード時代のコルトレーンを追っています。

〇前の記事で1962年のアルバムまで書きました。

⇒ ジョン・コルトレーン:ジャズを変えた男の名演、名作、代表作

〇なお、インパルス以前のコルトレーンについては、こちらで書いています。

⇒ コルトレーンの初期代表作

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【トリビア】日本では「コルトレーン」と表記するのが、習慣化してますが、ライブでの紹介などを聞くと「ルトレイン」(にアクセント)と書くのが正しい発音に近いようです。
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この記事では1963~1967年(死ぬまで)の最後の5年間のコルトレーンの軌跡を辿ります。

インパルス時代(つづき)

ライブ録音 ’63、’65

1.Selflessness 1963,65

2.Coltrane at Newport
1963&65

3.Coltrane Live at Birdland
1963

1.のSelflessness は2曲が’63年ニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライブ。(My Favorite Things,I Want to Talk About You)
ドラムがロイ・ヘインズになっています。
残る1曲が’65年のSelflessness。 ファラオ・サンダースが参加しています。
この演奏は強烈です。

*ロイ・ヘインズのドラムはエルヴィン・ジョーンズとは全然違いますが、凄くかっこいいです。逆説的にエルヴィン・ジョーンズの規格外の凄さも感じます。

2.のAt Newport は’63年と’65年のニューポートでのライブの完全版を1枚のCDにまとめたもの。

’63年の2曲は1.と同一のもの。
My Favorite Things が中心になっていますので2年でどう変化したかを聴き比べると興味深いです。 

3.Live At Birdland 

1963年、マンハッタン52丁目にあった名門ジャズクラブ”Birdland”でのライブ。

カルテットの充実度が高い。もしかしたらこの辺りが一番聴き易いライブアルバムかもしれません。

クレッセント & 至上の愛

Crescent 1964

 

A Love Supreme
1964

 

■Crescent クレッセント

黄金のカルテット、最高のバラード集

コルトレーンのテナー音が深い。

これを聴いたら〈Ballads〉など生ぬるくて聞けません。

Side 1  

Crescent
Wise One
Bessie’s Blues

Side 2

Lonnie’s Lament
The Drum Thing 

全ての曲が素晴らしい。

■A Love Supreme 至上の愛

世界的にはコルトレーンのアルバムで一番売れているアルバム。

日本ではいまだに賛否両論。

けなす人の言い方は、寺島靖国氏に代表させると「笑ってしまう。気の毒だなあと思う。ちょっと変だな、と思うのが普通の神経」となる。

しかしこのアルバムの主旋律はとてもキャッチーでポップだとさえ思いますよ。

後続の様々なジャズ・プレイヤーのデディケート演奏を聴いてもそう思うし、やはり感動します。

私が最も好きなデディケート演奏は、ローランド・カークによるもの、とブランフォード・マルサリスによるもの。

カークの演奏は、アルバム〈Volunteered Slavery〉で、バカラックの曲〈I Say A Little Prayer〉が途中から〈A Love Surpreme〉に変わる ところが感動的です。

ブランフォードの演奏はアルバム〈Footsteps Of Our Fathers〉と〈Red Hot+Cool〉で聴くことができます。

「至上の愛」がコルトレーンの「最高傑作」かどうかは分かりませんが、「代表作」であることは間違いないでしょう。

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充実の1965年

Quartet Plays

Transition

Sun Ship

 

■Quartet Plays

「マイ・フェヴァ」と同じでソプラノサックスで「チムチム・チェリー」を演奏。しかし嬉しいのは「ネイチャー・ボーイ」。このポップ曲がコルトレーンの手にかかると、素晴らしいジャズ曲に。聴き易い!

■Transition 

ここでもコルトレーンは「ディア・ロード」というバラード演奏の名演を残している。

■Sun Ship

全然人気がない、というか余り語られることもない Sun Ship.

しかしこれこそ、黄金のカルテット
John Coltrane-ts
McCoy Tyner-p
Jimmy Garrison-b
Elvin Jones-ds
の集大成。

コルトレーンのテンションも凄いが、マッコイのピアノとエルヴィンのドラムスが超絶的に凄い!

1965年の異色作

OM 1965

KULU SE MAMA 1965

■この2枚、コルトレーンの中でも異色な作品。

ファラオ・サンダースが参加しノイズをまき散らす。

しかし、マッコイのピアノは抒情的。

お経?のようなボイスは無視してください(大概の人がここで諦める)

個人的には〈クル・セ・ママ〉は大好きです。

アセンション Ascension

 

 
1965年には触れないわけにはいかない作品がもう一つあります。
アセンションです。
いわゆる集団即興演奏の実験作です。
「偉大なる失敗作」のように言われることが多いようですが、一度は聴くべきでしょう。

フレディ・ハバード(何故かこういう時には必ず出てくる、〈Free Jazz〉にも参加していた)アーチー・シェップ、ファラオ・サンダースなど11名のプレイヤーがフリー・インプロビゼーションを繰り広げる。

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【ご注意】これらのコルトレーンの作品をぶっ通して何枚も聴かないようにしてください。身体に良くない場合があります。
途中にスティーリー・ダンとかの音楽を挟んで、アタマをほぐすようにしてお聴きください。

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黄金のカルテット以降 ’65~’66

Meditations
1965/11

Village Vanguard Again
1966/5

Live in Japan
1966/7

■Meditations 

このアルバム。とにかくメンバー(パーソネル)を見て下さい。
*このメンバーを見て「おっ、凄い。聴きたい!」となる人だけ聴いて下さい。

John Coltrane-tenor sax (left channel)
Pharoah Sanders-tenor sax (right Channel)
McCoy Tyner-piano
Jimmy Garrison-bass
Elvin Jones-drums(right Channel)
Rashied Ali-drums (left channel) 

コルトレーンとファラオ・サンダースの2テナーにエルヴィンとラシッド・アリのツィン・ドラムスーーーそれが左右のチャンネルにきちんと分かれているのが大変嬉しい。 この種の音楽はそのあたりが分からなくて困ることがままありますから。(*エルヴィンのドラムだけははっきり分かります)

□この後、ピアノのマッコイ・タイナーとドラムスのエルヴィン・ジョーンズがコルトレーンのグループを去ります。残ったのは(心優しい)ベースのジミー・ギャリソンだけでした。

■Live At The Village Vanguard Again!

このアルバムからコルトレーンのグループはピアノが2度目の奥さんのアリス・コルトレーン、ドラムスがラシッド・アリ、そしてファラオ・サンダースが加わったものになります。

このライブアルバム、このメンバーで「ネイマ」「マイ・フェヴァ」をやっています。

■Live In Japan

1966年7月、死ぬちょうど1年前の、最初で最後の来日公演の記録。(CD4枚組)

メンバーは上記(Live At The Village Vanguard と)メンバーと同じです。

この来日公演は15日間で日本中を廻る過酷なスケジュールだったようです。

録音されているのは11日と22日の東京公演のものです。

日本の聴衆の反応が感動的です。

結果的にコルトレーン最後の海外公演になりました。

 

John Coltrane
1966年 7月15日
福岡市民会館
photo by takashi honda

最後の年 1967

1.Stellar Regions

 

2.Interstellar Space

3.Expression

 

□ コルトレーンはついに宇宙に旅立っていきました。^^

■Stellar Regions

コルトレーン、アリス、ギャリソン、アリのカルテットでの演奏です。1967年2月15日に1日で録音されています。

ファラオがいないこともすっきりして、良い結果となっています。(ファラオには悪いですが)

1曲がこの時期にしては短い(2:48~8:54)のも聴き易いですね。

■そしてInterstellar Spaceです。

このアルバムはラシッド・アリとのデュオです。

これも1967年2月22日に1日で録音されています。

これは素晴らしいアルバムです。

一見フリージャズに聴こえますが、アリのドラムは基本的律動をキチンと守ってますし、コルトレーンもフリーキーな音は出しますが、フリーだとは思えません。聴き易い音楽だと思います。

死の5か月前にこのようなアルバムをスタジオで録音していることが、まるでコルトレーンの遺言のように感じられます。

■Expression

コルトレーン最後のスタジオ録音。1967年2月&3月録音。

メンバーはコルトレーン、アリス、ギャリソン、アリ、ファラオ・サンダース(ファラオはここではサックスを吹かず、フルートとピッコロを吹いている)

60年代のジャズ・シーンを過激に走り抜けたコルトレーンの遺作。
最後には心の平安を取り戻し、穏やかな演奏を繰り広げる、リリシズムと豊かな創造性に満ちたコルトレーン・ジャズの究極の姿をここに聴くことができる。
ーーー国内盤オビの言葉より(一部筆者が書きなおしたもの)

 

■そして、これが最後の録音になります。

The Olatungi Concert

 

オラトゥンジ・カルチュラル・センターでの(センター・オープン記念の)ライブですが、Impulseは録音の予定をしておらず、正規の録音ではありません。(1967年4月23日)

音質は最悪です。ラジカセで録ってももう少しマシではというくらいです。

それにもかかわらず、これは世紀の記録と言えるものになりました。

曲は〈Ogunde〉でと〈My Favorite Things〉の2曲だけ。

もはや原型を留めないほどに解体された〈マイ・フェヴァ〉のラスト演奏は壮絶という言葉では表せない程、壮絶です。 

「これはJAZZのビッグバンだ!」と言った人がいました。

「コルトレーンの後にコルトレーン無し」という意味でビッグバンという言葉は適切です。

まとめ

コルトレーンの約12年の音楽活動をうまくまとめることなど、私にはできません。

代わりに、アーチー・シェップがコルトレーンに捧げた2枚のアルバムを紹介することで、まとめとします。

【参考CD】アーチー・シェップによるコルトレーンへの捧げ物

Four For The Trane

 

One For The Trane

 

■Four For the Trane

「フリージャズの闘士」アーチー・シェップが尊敬するコルトレーンに捧げたコルトレーン曲集。5曲中4曲がコルトレーンの曲で、タイトルのFour はその意味だと思われます。

録音されたのは1964年で、プロデュースをコルトレーン自身とボブ・シール(コルトレーンのプロデューサー)が行っている。
この状況って下手をすると、失敗!となりそうなのですが、さすがシェップ、見事に脱コルトレーンしながら、再構築しています。
それというのもひとえにメンバーが素晴らしかったからだと思います。

Archie Shepp-ts
John Tchicai-as
Roswell Rudd-tb
Reggie Workman-b
Alan Shorter-flh
Charles Moffett-ds

■One For The Trane 〈Live at Donaueschingen Music Festival〉

本来のタイトルは「ドナウエッシンゲンのライブ」なのですが、演奏されている曲が2曲だけ(それでも44分)で、それが

1.One For The Trane partⅠ
2.One For The Trane partⅡ 
 なので通称〈ワン・フォー・ザ・トレーン〉と呼ばれています。

*ドナウエッシンゲンはジャズ・フェスではなく、現代音楽のフェスです。

この録音がされたのは、1967年10月21日です。
コルトレーンが亡くなって3か月後です。

フリーフォームのジャズが続く中 part Ⅱの8分50秒から〈The Shadow Of Your Smile 〉(映画「いそしぎ」のテーマ曲)のメロディが現れます。 音の嵐の中から現れるこの曲がとても美しく感じられます。 17分あたりでもまたそのメロディが繰り返されます。

シェップなりのコルトレーンへのレクイエムだったのだろうと感じます。

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