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エリック・ドルフィー:あのコルトレーンをビビらせた男、ジャズのアルトサックス、バスクラリネット、フルート奏者

 
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団塊世代ど真ん中です。 定年退職してからアルト・サックスを始めました。 プロのジャズサックス奏者に習っています。 (高校時代にブラスバンドでしたけど当時は自分の楽器を持っていませんでしたので、それっきりになりました) 主にジャズについて自由に書いています。 独断偏見お許しください。
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エリック・ドルフィー


Eric Dolphy、1928年6月20日 – 1964年6月29日、 36歳没)

エリック・ドルフィーについてどんなイメージをお持ちですか?

ジャズに詳しい方はよく知ってあるでしょうが、

そうでない方は、何となくフリージャズ⇨ の人?って思ってある人もいるかもしれませんね。

ドルフィーは基本的に、ハードパップも踏まえて、伝統的なジャズをやった人だと筆者は思っています。

ただ、そのアドリブが か・な・り 先鋭的だったので、アヴァンギャルドな雰囲気ではありました。

しかし、それは卓越したテクニックを持っていたからこそ出来たことなのです。 

それと、ドルフィーの吹くバスクラリネットの音が、時におどろおどろしい雰囲気を醸し出していたかもしれません。このジャズにバスクラリネットという楽器を持ち込んだ功績も忘れてはいけないものです。

ドルフィーは「マルチ・リード奏者」と言われますが、演奏したのは主として

アルトサックスバスクラリネットフルート です。

ーーーーーーー

ドルフィーの簡単な経歴

1958年チコ・ハミルトン楽団に参加。その後チャールズ・ミンガス楽団に加わる。同時にソロ活動も開始した。

1961年にトランペット奏者ブッカー・リトルとの双頭コンボを組むも、同年10月のリトルの急逝で頓挫。1961年~62年まで、ジョン・コルトレーンのグループに参加し、1964年には再びミンガス楽団に加わった。

同年夏、ミンガス楽団のヨーロッパツアーに参加中、糖尿病による心臓発作のため、ベルリンにて他界。遺品となったバスクラリネットとフルートは、ドルフィーの両親からコルトレーンに贈られた。
ーーーーーーーーーーーーWikipedia より引用

 

 

ドルフィーの演奏

Far Cry

ドルフィーがいかに伝統的なジャズ奏者であったかを知っていただくために、

まず、スタンダード・ナンバー〈Tenderly〉をやっているのを聴いてください。

アルバムは〈Far Cry〉です。

ドルフィーのサックスの音が普通にきれいであることが分かります。

この曲はソロでの演奏でしたが、このアルバムのメンバーは以下のような素晴らしいメンツです。

Eric Dolphy (Alto Saxophone,Bass Clarinet, Flute)
Booker Little (Trumpet)
Ron Carter (Bass)
Roy Haynes (Drums)
Jaki Byard (Piano) 

Eric Dolphy At The Five Spot

また、ブッカー・リトルとの双頭バンドの記録として以下のような優れたアルバムがあります。

このライブはコンプリート盤もあります。

このアルバムの最初の曲マル・ウォルドロンの曲〈Fire Waltz〉を聴いてください。

Eric Dolphy, alto sax
Booker Little, trumpet
Mal Waldron, piano
Richard Davis, bass
Ed Blackwell, drums.

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European Tour LIVE

もっと分かりやすように、動画で〈Take The A-Train〉をやっているところも聴いてみましょう。

ここではドルフィーはバスクラリネットを吹いています。
1964年ミンガスグループでのヨーロッパ・ツアーでの演奏です。
live on April 12, 1964 filmed in Norway
メンバーは
Eric Dolphy – Bass Clarinet
Charles Mingus – Bass
Clifford Jordan – Tenor Sax
Johnny Coles – Trumpet
Jaki Byard – Piano
Dannie Richmond – Drums

ミンガスがまだ若いですねー。

この2ヶ月ちょっと後にドルフィーはベルリンで客死します。

貴重な映像です。 この’64年のヨーロッパ・ツアーはほとんど記録されています。

ドルフィーに限ったことではないのですが、ヨーロッパではこうしてちゃんと記録を残しているので、今となっては多くのジャズメンの貴重な映像がヨーロッパでのライブ ということになりました。

Impressions with John Coltrane

’61~’62の間、ドルフィーはコルトレーンのバンドに在籍したことを書きました。

その時の演奏を聴いて頂きたいと思います。NYC,Village Vanguard で録音されたものです。曲はコルトレーンの曲〈Impressions〉。
これは11月1日のヴァージョンです。

●ポイント

すごいですね~
このメンバーは
John Coltraneーts.
Eric Dolphyーas.
McCoy Tynerーp.
Reggie Workmanーb.
Elvin Jonesーds.です。

何が凄いと言って、ドルフィーの演奏は明らかにコルトレーンより過激です。

3分10秒あたりで入ってくるドルフィー。それまでのコルトレーンの演奏を予定調和的と感じたであろうドルフィーは、「コルトレーン、あんたならそんな生ぬるい演奏じゃないはずだ」と言っているように見えます。

この頃のコルトレーンをビビらせたのは後にも先にもドルフィーだけでしょう。

 

*全く余談ですがドルフィーの額にはコブがありますね。

*小野好恵(男性です)という若死にした慧眼のジャズ評論家が「コルトレーンに対する唯一の不満として、ドルフィーという天才を自己のバンドで十分に生かし切ることが出来なかったことだ」と書いていました。

この頃の演奏は下の4枚組CDに記録されています。1961年 NYC Village Vanguardでの4日間のライブです。

 

もっと紹介したいアルバムがたくさんあるのですが、あと1枚にします。

Last Date

余りにも有名なアルバム、有名な曲で恥ずかしいくらいですが〈You Don’t Know What Love Is〉

June 2,1964 (死の18日前)オランダでの録音です。スタジオ・ライブ。

メンバーは

Eric Dolphy(fl)
Misja mengelberg(p.)
Jacques schols(bass)
Han bennink(ds.)  
ミシャ・メンゲルベルク、ハン・ベニンクなど、ヨーロッパでは一流のメンバーです。

このレコードの最後に収録されている、ドルフィーが語った言葉はJazzという音楽の本質を端的に表現したものとして有名になりました。 ドルフィーの肉声は若々しく、ビューティフルです。

When you hear music,

after it’s over,

it’s gone in the air,

you can never capture it again.ーーーーEric Dolphy

 

まとめ

ドルフィーの演奏をたった4枚のアルバム、1つの動画で聴いてみました。

ドルフィーの録音は(若くして死んだのですが)結構たくさん残されています。

●自己名義ではないものにも、例えばマル・ウォルドロン、オリヴァー・ネルソン、ジョージ・ラッセルのアルバムなどでも、まるで主役のように目立つ活躍をしています。

●エリック・ドルフィーの最高傑作という人も多い〈Out To Lunch〉のことを書くことを忘れました。紹介だけしておきます。

◆もしも・・・を言ってもしょうがないですが、「もしもドルフィーがもっと生きていたら、ジャズのその後が違っていた可能性がある」と思わざるを得ない存在だったと思います。

エリック・ドルフィーという特別な奏者の一端にでも触れていただけたら幸いでした。

——————————-Thank you very much for visiting the site.

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