映画「髪結いの亭主」(パトリス・ルコント監督)・テーマは性と生と死

      2017/01/13

 

 

12歳の少年アントワーヌは太った女が一人でやっている床屋に通いつめる。
「女は赤毛だったので体臭が強烈だった」などと呟きながら、その臭いと垣間見える乳房に恍惚としている。

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少年の夢は「女の床屋と結婚すること」になる。

それから何十年、中年になったアントワーヌ(ジャン・ロシュフォール)は、あらゆる意味で理想的な女の床屋を見つけ、すぐに求婚する。驚いたことにすぐに受け入れられ、幸せな生活が始まる。

女が経営する理髪店に男が移り住み、日がな働く女を見つめるだけなのである。
女を演じるアンナ・ガリエナが素晴らしい。撮影当時36才。見事な身体。顔はエロティックそのもの。

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この理髪店の空間では何をしても許されるという満足感と恍惚。
実際、客に対して仕事をしている女の後ろに回って、両手で乳房を揉んだり、スカートの中に手を入れパンティを下して頬ずりしたりするシーンさえある。

夜オーデコロンで変なカクテルを作って飲み、セックスをする。
男が「今世界中で女に入れている男は何人?」などと言い、女は「一万人、だけど私が一番幸せ」と答える。

このあたりから、この幸せは永遠には続かないという喪失の予感が漂い始める。
店に来る客を見て「老い」を感じ、それを語るシーンなどがその伏線に見える。

そう、この映画のもう一つのテーマは「老い」なのだ。
理髪店を女に譲った今は養老院で暮らすホモ・セクシュアルの元店主の存在も老いというものを暗示している。

そう言えば、女は早い時期に「愛してるふりだけは絶対にしないで・・」と言っていた。

ラストについては何も書きません。

なお、アントワーヌが子供のころからやっていて何度も繰り返される、アラブの音楽をかけて自己流のベリーダンスを踊るという趣味(?)は生理的に好きになれない人もいるかもしれないと思う。

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◎全てが夢の世界を描いた映画だという気もする。

◎フランス映画以外ではあり得ないという気もする。
こんな映画を作ってしまうこと自体がすごいことかも。

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